前置きのストーリーがあります!まだ読んでない人は、どうぞ♪
■スピンオフ前置き■もーやめてー!元遍路の友人が元遍路の私に押し付ける絶対に要らない物!
■遍路スピンオフ■Noisyの影響を受けて遍路に行こうとしているグローバルな二人1/5
■遍路スピンオフ■泥沼にはまってこっそり泣く青年とお経が読めなくて泣く遍路2/5
■Noisyの連続3周自転車野宿遍路スピンオフ■
※登場人物名は全て仮名です。全5話
― Noisyの影響を受けて遍路へ行ってしまった人達のドラマ―
私は、また宿へと戻ると、いつものようにりょうちゃんに、楽しくて滞在が伸びている他のお客さん達や、新しくやって来るお客さんの相手に追われる。
りょうちゃんが宿にやって来てから既に1か月が過ぎた頃、なんとかりょうちゃんを送り出したいと思っていた私は、りょうちゃんを誘って出かけた。
楽しく、あちこち行った後、公園へ行き、腰を掛けて話し込む。
私「りょうちゃん、いつ出発するの?」
りょうちゃん「うーん・・・。僕は・・・Noisyと一緒に居たいです・・・。」
私「居たいってどういう意味?」
りょうちゃん「あ・・・僕は・・・。」
私「ちょっと、あんたー!あのねえ、私は38歳で、付き合うにしても前を向いて中身のある付き合いをしていきたいんだよ!あんたみたいな22歳で適当に恋をして3年くらい付き合ったけど、若気の至りだったわあみたいな感じだったとしても、あんたはまだその頃には25歳だろうし、どうにでもなるけど、こっちはそうはいかないっつうんだよー!」
りょうちゃん「いや。僕は、そんなつもりじゃないです!そんな若気の至りとか、火遊びとか・・・。」
私「あのねえ!あんたは、そう言うけど、22歳の頃ってそんなもんだよ。その時は気付かなくても、後から考えてみたらそうだったなって思うはずだから。それに付き合わされたら、私は、はっきり言って迷惑だから!」
りょうちゃん「いや!それは、違う!」
りょうちゃんが私のタイプではない事は明らかだったのだけど、別にりょうちゃんは素敵で純粋な人ではあったので、私としては友達でいても構わなかったのだ。ただ、それではりょうちゃんを私から引きはがすことはできないのだと判断して切り出した。
私「だから、あんた、もう山形に帰りなよ!もう、友達でもいない方がいいと思うから!このまま広島は楽しかったなあって帰りなよ!」
すると突然、りょうちゃんは、慌てたように私の手を掴んで泣き出してしまった。
りょうちゃん「いやっ!ちょっと!待って!それは、待って!俺は、楽しかったのにーー!そんなに言うなら、Noisyの邪魔は絶対にしないと約束をするから、せめて、僕をNoisyの友達にしておいてください!絶対に!絶対に!僕は、Noisyの人生の邪魔はしないけど、でも、僕の人生の中から、Noisyが消えるのが、絶対に嫌です!」
りょうちゃんは、必死だった。
私は、可哀想にもなるし、でも、好きなのに何もできない状態になってしまう、そんな環境に自分を置くのは辛くないのだろうかと心配にもなったのだが、必死のお願いに私は折れた。
私「わかった。じゃあ、まあ、友達ではいるから。もう、泣かないで。」
りょうちゃんは、安心したような笑顔を見せる。
私「でも、いずれにしても、あの宿にいつまでもいるのは良くないよ。次へ進まないと。」
りょうちゃん「そうですね。わかりました。それは、考えておきます。」
私「じゃあ、帰ろう!」
私達は、宿へと戻り、また皆と楽しい時間を過ごす。
公園で話してから数日後、りょうちゃんが話しかけて来た。
りょうちゃん「僕、松山へ寄ってから、そろそろ山形へ帰ります。」
私「そう。やっと決断したのね。」
りょうちゃん「そして、身支度を整えなおして、お遍路に行きます。」
私「おおお~~~~!お遍路に行くんだ!」
りょうちゃん「はい。だから、またお遍路の途中で松山から船に乗って広島へ来てもいいですか?」
私「いいよ!その時は、お遍路の途中だから、何かをお接待するよ!」
私は、その瞬間、閃いてしまった!
私「あ!そうだ!りょうちゃん!私、良い物持ってるんだった!歩き遍路に行くなら、菅笠がいるから、あげるよ!私、要らないのにくれた人がいて、ず~っと使わない部屋に放置してあって、邪魔なのがあるのよ。」
りょうちゃん「ほんとですか~!嬉しいです!それに、買わなくて済むから助かります!ほんとにいいんですか?そんなの貰っても?」
私「いや・・・。話せば長くなるけど、むしろ持って行ってくれって感じなんだよ。邪魔で。」
りょうちゃん「それなら、僕、もらいます!」
私は、ようやくせっちゃんから押し付けられた遍路笠をいい形で処分できて良かったと、胸をなでおろした。
そして、偶然、私は仕事で松山へ数日行かなくてはいけないことになる。
私「りょうちゃん。私、偶然、松山に明日から行かなきゃいけないんだけど、ついでに松山まで乗って行く?」
りょうちゃん「行きます!」
りょうちゃんにとっては、私が留守をする広島にいても仕方がないだろうし、松山へ丁度行く所だったので、一緒に行けば多少の交通費も浮く。
それに私にとっては、踏ん切りのつかなかったりょうちゃんを広島の宿から体よく送り出すことができる絶好の機会でもあった。
私は、りょうちゃんに遍路笠を持って来て渡し、りょうちゃんが泊まると言っている松山の宿へ車で送り届け、打ち合わせの場所へと向かおうと車で走り出すと、泣きそうになりながら、車を追いかけて手を振っているりょうちゃんの姿がミラーで見える。
可哀想な気もしたのだが、仕方ない。
ようやくこれでりょうちゃんも40日も滞在してしまった広島を離れる事ができた。
松山で数日を過ごして、広島の宿に戻ると、東京からスイスのマイケルが来ていた。
マイケル「Noisy!来たよ!自転車もここの近所で買ったから!」
私「そう!それじゃあ、お経を読めるように書き換えてあげるね!」
私は、マイケルに色々な物を訳したり、英語表記をしたりしてコピーしたものを渡し、一緒にお経の練習などもした。
マイケル「Noisy!本当に助かったよ!それじゃあ、遍路は、徳島から始めようと思ってるから、また徳島に到着したら、もう一度ここへ戻って来るから!絶対、Noisyには、報告をしたいし!」
私「そうね!わかった!それじゃあ、マイケル待ってるよ!お遍路楽しんで来て!」
マイケル「自転車は、徳島の最初の宿に宅急便で送っておいたから、明日はバスで徳島まで行くよ!」
マイケルは翌日、元気に自転車遍路の旅へと出発して行った。
また今日も違う楽しいお客さんが沢山やって来ている。
毎日、毎日、色んなお客さんの相手をしているある日、宿の電話が鳴ったので電話に出る。
私「はい。お宿です。」
マイケル「ヘイ!Noisy!」
私「おお!マイケル!」
マイケルの声は、落ち込んでいながら、興奮気味だ。
マイケル「あの・・・。実は、明日、そこの宿の予約を取りたくて電話したんだけど。」
私「えーー!?マイケル!遍路1周には、まだ早いでしょ?全部終わったの?」
マイケル「いや・・・。終わってないんだ・・・。」
私「えーーー!?止めるって事?」
マイケル「止めたくはないけど・・・止めるしかない・・・。」
私「今、何処?」
マイケル「高知市内。」
私「じゃあ、まだ半分じゃん!楽しくないの?」
マイケル「いや。すっごく楽しいし、すっごく悔しい。止めたくないから。」
私「何があったの?」
マイケル「実は・・・。自転車でぶつかってこけて。」
私「え!?怪我は?」
マイケル「幸い、怪我は全くなくて、僕は大丈夫なんだけど、自転車が・・・。」
私「じゃあ、直せばいいじゃん!」
マイケル「いや、それが、自転車のフレームが真っ二つに折れて・・・。」
私「えーーーーーーー!?自転車のフレームが真っ二つーーーー!?それは、無理だねえ!」
マイケル「うん。だから、ダメだと思って。でも、この自転車を買ったところが、そこの宿の近くで、1年保証が付いてるから、なんとかただで直してもらえないかと思ったんだ。」
私「マイケル!それは、無理よ!だって、欠陥商品ではなくて、自分の事故でしょ?それは、絶対あり得ないから!」
マイケル「でも、もう1台、これぐらいの自転車を買う予算もないし、それに1年保証があるからなんとかなるかもしれないし。」
私「マイケル!それは、ない!はっきり言うよ!それは、ない!絶対にその保証は効かないから!」
マイケル「いや!でも、わからないから!」
私「マイケル!ないって!絶対にないって!信じて!そんな事は、あり得ないよ!」
マイケル「でも・・・せっかくここまで来たから続けたいけど、自転車を買うお金はないし、保証が効かないなら僕は、諦めるしかない・・・。」
私「マイケル!自転車が壊れたからって、なんで自転車じゃなきゃいけないし諦めなきゃいけないって、決めつけてるの?」
マイケルは、私の言葉にハッとしたようだ。
マイケル「え?」
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