いよいよ最終章!私の連続3周野宿の旅のハチャメチャ珍道中を連載中!

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■最終章:終わりなき遍路■人生の遍路道はまだ続く

                   1. 遍路3周目結願へと向かう楽しい長い道のり

 

DAY111-1

 

私は、窮屈な体制に気付き、ハッと目が覚めると、博士の車の助手席にいた。

外は、明るく晴れている。

 

そうか・・・。

私は、昨日カラオケに行って、ここまで博士に連れて来てもらったんだった。

 

横を見ると博士も運転席で寝ている。

私の物音で博士も気づいて目を覚ます。

 

私「博士、ここ何処?」

博士「新居浜のローソンや。」

私「おお!博士、ありがとう!」

 

博士は、私が寝ている間、ずっと運転して来てくれていたのだろう。とても眠そうな顔をしている。

 

私「博士、どれくらい寝た?」

博士「2時間くらいや。」

私「そっかー!じゃあ、まだ眠いね!ありがとう!」

博士「でも、Noisyは、自転車で走らないかんから、寝たりとらんやろ。」

私「まあね。でも、5時間近く寝たから、なんとか行けそうだよ!」

 

私は、ローソンで身支度を整え、コーヒーなどを買って準備をすると、博士が車から自転車を降ろしてくれた。

 

私「じゃあ、博士!ありがとう!色々、楽しかったよ!」

博士「うん。気を付けて。」

私「また、遊びに来るから!」

博士「わかった!」

 

博士は、とても寂しそうなのだが、とりあえず、この瞬間は眠気の方が勝っているようだ。

 

私「じゃあ、博士、今日は、ゆっくり寝てね!」

博士「うん。そうする。それじゃあ!」

 

眠そうな博士は私を見送ってくれ、私は、自転車を漕ぎだした。

ここから59番国分寺へは約35キロ程ある。

時間は、まだ朝の7時なので時間には余裕があるだろう。

今日は、12月8日だ。

既に空気は冬の切れるような冷たさになっており、身体を温めるようにダラダラと漕ぎだした私の耳や手先が寒さで切れてしまいそうだ。

20分程ダラダラと漕いでいると、段々身体も温まって来て、ペースを上げる。

耳の痛さや手先の痛さが、身体が温まった事で緩和されたので、私の意識がふと、この遍路旅での仲間の事へと向く。

 

ああ・・・。

楽しかったなあ・・・。

もう、この状態で皆に会う事もないよね・・・。

でも、遊びもやり遂げたよ!満足だ!

博士も朝は眠そうで余裕がなかったけど、今頃、香川へと向かってるのかなあ?

ほんと、またいつか、違う形だけど皆には会いたい。

 

ふと左側の四国山脈にひと際背の高い石鎚山が目に飛び込んで来た。

 

あ!

雪が被ってるーーー!

うわーー!マジかーーー!

綺麗だけど、通りで寒いはずだ!

 

私が、せっちゃんと出発したのは、暑い夏の真っ盛りだったのに、今、ようやくもうすぐ3周目を結願して広島へ帰ろうとしている今日は、既に石鎚山頂上付近には雪が被っていたのだ。

 

うわー!

夏に出発したのに、帰りは、冬かーー!

 

 

何故か、その景色を見た時、3周目に自転車で走る事も精神的に解放されることも、旅自体を最後楽しむために皆とおもいっきり遊んだことも、全てに満足をし、突然、強い感情が私の心の底から沸き起こって来た。

 

もーーー!

満足!

私は、遍路3周に満足!

残りの寺さえ打てれば、もう思い残すことは、何処にもなし!

よーーーし!

59番から52番を逆に打ちながら、広島へ帰るぞーーー!

 

私は、心の底から、全てに満足して本当に帰ろうと思った。

新居浜のローソンを出発して、2時間ほど走ると、ようやく59番国分寺に到着する。

いよいよ、最後のお遍路の日だ。

気も引き締まりながら、お参り道具を持って境内へと入り、慣れた様子でお経も唱える。

 

ああ。

本当に、今日が最後か・・・。

 

私は、直ぐに58番仙遊寺へと向かう。

ここの上りは、最後きついのだが、今回は、暑くもなく蜂に追われることもなく、なんとか上り切った。

もう、これ限りで自転車遍路も終わりかと思うと、この坂道さえ切なく愛おしくも思える。

 

何度、上り坂に苦しんだことか・・・。

いくつの激坂を超えて来たことか。

本当によくここまで来た。

 

仙遊寺でもお参りを済ませ、仙遊寺の通夜堂に泊まった時に朝食で食べたご飯が、とても美味しかったのを思い出す。

今日は、朝早くから始めているとは言え、松山までは、何気に100キロ近くあるのだ。

どんどん進まなければ、日が暮れる。

私は、直ぐに自転車に乗り、山を下って、あっという間に57番栄福寺をお参りすると、56番泰山寺・55番南光坊・54番延命寺と、愛媛県の今治市辺りの近くに固まっているお寺を逆の順で打って行く。

54番を打ち終わると、お昼も過ぎ、1時近くになっていたので、近くのコンビニに止まり、食料を買い込み駐車場に座って適当に食事をした。

この後の予定を立てようと思って、地図やノートをあさっていると、見たことのないノートの切れ端が出てきたので、なんだろうと不思議に思い、手に取ってみる。

なにか、書いてあるようだ。

 

『Noisyへ

元気か?

まあ、ワシが先に帰っても君の事やからあちこちで知り合い作って楽しんでる事やと思うけど、事故と健康には気を付けてテキトーに頑張りや。

ほな。

(セ)』

 

せっちゃんだ。

せっちゃんが、しゅんちゃんのアトリエを出発する時にこっそり忍ばせておいたのだ。

 

そうか・・・。

せっちゃん、ありがとう・・・。

 

私は、せっちゃんと一緒にやって来て苦しかった1周目から始まり、今、終わろうとしているこの遍路旅の締めくくりの日をこうやってせっちゃんの温かいメッセージに気が付き、終われる事が嬉しかった。

せっちゃんのメッセージを見つめながら、一人、食休みをしていると、非通知の電話が入る。

 

ん?

沢村さん?

勝さん?

 

私「はい。」

声「俺だ!」

 

それは、しゅんちゃんのアトリエから突然、姿を消してしまった勝さんだった。

 

私「あーーー!勝さーーーん!」

勝さん「お前、今何処だ?」

私「今、今治。」

勝さん「お前、いつ船で広島へ渡るんだ?」

私「今日は、夕方に松山になると思うから、船に乗るのは明日の朝にしようと思ってるよ。」

勝さん「そうか!」

 

勝さんの声は、喜びで興奮しているようだ。

 

勝さん「俺よお。明日、松山観光港へお前を見送りに行くからよお!」

私「え?来てくれるの!?嬉しい!」

勝さん「俺、どうしてもお前が帰る時に港で見送りたくてよお。」

 

勝さんのテレフォンカードが無くなってしまうといけないので、長話もできない。

焦りながら私は、話す。

 

私「わかった!じゃあ、勝さんが来るまで、船には絶対乗らないで待ってるから!」

勝さん「わかった!出来る限り、明日の早い時間に着くように行くよ。」

私「でも、皆で、心配してたんだよー!」

勝さん「俺、お前が帰る時に絶対に港へ見送りに行きたかったから、早く出発して歩き出さないと間に合わないと思ってよお。それで慌てて出発して、ずっと松山へ向けて歩き続けてんだよ。」

私「えーーー!そうだったんだーー!ありがとう!嬉しいよ!」

 

ふと、私は、帰る所のない勝さんに水車事件のお返しをしたいと思い、気が変わった。

 

私「あ、勝さん。もし、よかったら、往復の船代を私が出すから、広島の私の所へ遊びに来ない?友達も一緒に住んでるけど、優しくて面白い人だから!」

勝さん「俺、行く!」

私「わかったー!それじゃあ、港で待ってるから、到着する頃、また電話して!」

勝さん「わかった!それじゃあ、明日な!」

 

勝さんは、とても嬉しそうに電話を切った。

 

そうかあ!

勝さんは、私を見送りに行けるよう、間に合わなくなるといけないから、慌ててしゅんちゃんのアトリエを出て行ったのだ。

勝さんが姿を消してからずっと、勝さんは松山の港を目指して、なんとか私に間に合うように歩き続けていたのだ。

勝さんは、帰る所もない永久遍路なので、余程、私達が一緒に過ごした、高知やマントラ、しゅんちゃんのアトリエなどでの思い出は、心の支えでもあったのかもしれない。

だから、どうしても最後に私を見送りたかったのだろう。

永久遍路の勝さんだけは、他の戸田君やしゅんちゃん達とも状況も条件も違う。

他の人達は、遍路後に仕事でもして連絡を取り合えば、遍路ではない別のフィールドで気軽に会う事が出来るのだが、勝さんは、この地を永久に回り続ける永久遍路なのだ。

私がこの四国の地を去れば、中々勝さんから会いに来ることは難しいだろう。しゅんちゃんは、香川県に住んでいるので、勝さんも歩いて会いに行こうと思えば、会いに行くことは出来るのだが、私の所へは、この瀬戸内海を渡らなくてはいけないのだから、私が広島へ帰ると言うのは、勝さんにとっては、私が地球の裏側へ帰って行ってしまうのと同じだろう。

そうか。

これでようやく勝さんに広島で水車事件の時のお返しが出来そうだ。

ずっと野宿で回り続けている勝さんに、温かい布団で寝てもらって、遍路中行かない美味しいレストランにでも連れて行ってあげたい。

 

つづく・・・   

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