いよいよ最終章!私の連続3周野宿の旅のハチャメチャ珍道中を連載中!

目次:【序章】&【第1章】&【第2章】 & 目次:【第3章】&【最終章】

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■最終章:終わりなき遍路■人生の遍路道はまだ続く

                   1. 遍路3周目結願へと向かう楽しい長い道のり

 

DAY100

 

翌朝、マントラで目覚めると、また皆起きだしてきて、ブラブラしている。

すると、沢村さんもまたやって来てブラついている。

 

私「沢村さん、おはよう。で、今日は、ここに何の用事があるの?」

 

また、つぶらな目を閉じて、話している。

 

沢村さん「いや、ちょっと近くに行かないかん用があって、あーのこうのやきん、今日も来たんですよ。」

私「ははは!沢村さんだよー!?用なんかないんでしょ。」

 

ふと、閉じた目を開けて反論してくる。

 

沢村さん「え!?僕かて、用くらいあるわなあ!」

私「ははは!何の用か知らないけど。」

 

沢村さんは、相変わらずだ。

いつもの会話に笑いも込み上げ、沢村さんを放っておくと、遍路小屋を出たり入ったりしながらブラついている内に何処ともなく消えていた。

実は、これが、遍路中に私が沢村さんを見かけたのが最後になる。

 

戸田君は、年末も近づくので、それまでに遍路を終わりたいと言って、出発すると言うので皆で見送りに出る。

 

私「今日は、何処まで行くの?」

戸田君「ヒッチハイクで高知へ戻るよ。それでそこから明日始めるけえ。」

私「そうなんだ。それじゃあ!」

戸田君「まあ、お前も広島じゃし、また広島でも会えるけえのお!」

私「いや、遍路中だけで勘弁してください!」

戸田君「何を言いよるんやー!ワシが会っちゃる言いよるんで―!?ぎゃはははは!!」

私「いや、多分、大丈夫・・・。ははは!」

皆「ははは!!」

私「まあ、でも、気を付けて!最後のお遍路を楽しんでねー!」

しゅんちゃん「それじゃあ、戸田さん!気を付けて!」

戸田君「しゅんちゃんも年末までに遍路終わらせんにゃあ、雪が降るでー!」

しゅんちゃん「僕も今日、この後出ます!」

戸田君「ほいじゃあ、行くわあ!」

 

大々的に皆で見送ると、騒々しい戸田君がいなくなったことで、一気に空気が寂しげにもなる。

戸田君は、私個人としては、配線の合わない所があるというだけで、戸田君自体はとてもいい人で面白いムードメーカーであることには間違いなかった。

せっちゃんが、何かを思いついたかのように私に言う。

 

せっちゃん「なあなあ、今日、懐かしいから海岸寺行けへん?」

私「おお!いいねえ!戸田君もしゅんちゃんも今日、出発しちゃうし、ここにいても暇だから、海岸寺へ行こうか!」

 

私達は、しゅんちゃんに別れを告げる。私達が海岸寺へ行っている間にしゅんちゃんは出発してしまうだろうから。

しゅんちゃんは、もうこの後、遍路中には会わないだろう。

 

私「じゃあ、しゅんちゃん!今日、出発なら、会わないだろうから。気を付けてね!東京へ年明けに行く前に広島へ遊びに来るって言ってたから、その時ね!」

しゅんちゃん「うん!行くから、その時ね!Noisyも気をつけて!」

私「それじゃあ、しゅんちゃんには、年明けまで会わないだろうから、よいお年を!」

しゅんちゃん「ははは!よいお年を!」

 

せっちゃんもそれぞれに大々的な挨拶をかわし、せっちゃんと私は、海岸寺へと自転車で出かける。

まだ時間は、午前中だ。

海岸寺奥の院の通夜堂へと二人で上がって行き、中へと入る。

この空間へせっちゃんと入った瞬間、せっちゃんとのここでの色んな思い出が頭を駆け巡り、まるで大昔の話を懐かしむかのような気持ちになる。

1周目の時は、ゴンちゃんに、初めてここへ連れて来てもらった日、せっちゃんも後からやって来たこと。

せっちゃんと高ちゃんの思い出や、2周目の時に沢村さんが付きまとうきっかけにもなったこの場所。

高ちゃんが亡くなった時にも、せっちゃんとここへやって来て語り合ったこと。

そして、今、またここへやって来た。

 

せっちゃんと私は、それぞれにベンチの好きな所へ腰をかけ、思い出に浸る。

 

せっちゃん「あー・・・。懐かしいなあ・・・。」

私「そうだね・・・。」

せっちゃん「なんか、この前の事なのに、すっごい大昔の事みたいやなあ。」

私「そうだよね。ここには、楽しい思い出が詰まってるね。」

せっちゃん「そやなあ。高ちゃんも、うどん食べに行こう言うて博士と来てくれたもんなあ。」

私「うん。せっちゃんとここでお経もハモったし。」

せっちゃん「ははは!そやで!ハモったなあ・・・。」

私「沢村さんも偶然を装ってやって来るし。」

せっちゃん「ほんま、あの人・・・。なあ・・・。」

 

せっちゃんも色々と思い出して頭の中を駆け巡っているのだろう。思いにふけるように話をしている。

 

せっちゃん「でも、ようここまで走ったよなあ。」

私「うん。出発したときは、暑くて死にそうだったのに、もう寒いもんね。」

せっちゃん「そやでー!ほんま暑くて死んだわー!」

私「なんか、もうあの1周目は、10年前かのような気がするよね。」

せっちゃん「ほんまやなあ。ワシ、今、2周目やけど、あれはほんまにこの前の話なんかなあ思うわ。」

私「でも、遍路旅って面白いよね。」

せっちゃん「ほんま、ワシ、遍路してほんまによかったなあって思ってんで!」

 

ふと、私は閃いてせっちゃんに言う。

 

私「ねえ、せっちゃん。」

せっちゃん「うん?なんや?」

私「思うんだけど、私の遍路旅を本に書いたら、すっごい面白い話になると思うんだよね。」

 

せっちゃんは、突然興奮して私の顔に振り向いて答える。

 

せっちゃん「あ!ほんまやでーーー!なあなあ!Noisy、絶対、書いてー!だって、この話、ほんまに映画みたいな話やから、絶対にNoisyが書いたら面白い本になるで!」

私「うん。面白い本になると思うよ。でも・・・。」

せっちゃん「でも、どうしたん?」

私「でも、この話を私が、書いたら、1周目のせっちゃんは、ボロボロだよ。」

 

せっちゃんは、キリリとした表情で私の目を真剣に見ながら、訴えるかのように言う。

 

せっちゃん「わかってんで!だって、ほんまやもん!ええで!書いて!」

私「え?いいの?でも、本当にボロボロだよー!?」

せっちゃん「ええって!だってなあ、それはほんまの事やし、ワシが悪かったんは今から変えられんしな。でも、高ちゃんの話とか、他にもいっぱいええ話があるやん。絶対に書いてほしいねん。」

私「そう。わかった。」

 

せっちゃんは、また私にハッとするかのように振り向いて言う。

 

せっちゃん「なあ、Noisy!ほんまやで!ほんまに書いてやー!ワシ、ずっと待ってんでー!約束やでー!」

私「うん。わかった。絶対にいつか書くよ!」

せっちゃん「絶対やで!」

私「うん。絶対!」

 

 

私達は、海岸寺からマントラへ一旦戻ると、せっちゃんは、どこかしらの寺をまだ打っていないと言うので荷物をまとめて出発して行った。

 

せっちゃん「ほな、ワシ行くわあ。まだ、残ってるこの辺の寺を打ちにいかなあかんから、また松山方面へ向かえる頃に連絡するから。」

私「うん!わかった!私は、まだブラブラしてると思うし、52番~59番が残ってるから、連絡して!」

せっちゃん「ほな、Noisyも気いつけてな!」

 

せっちゃんは、他の人達にも軽く挨拶をするかしないかの内に、あっという間に出発して行った。

私は、博士と明日、一緒にクジラ大師に贈り物をしようと約束をしているので、マントラにもう一泊する。

まだ出発していなかった勝さんとも話をしたりしてゆっくり過ごす。

 

私「ねえ、勝さん。長い事遍路をやってて、一番困った事って何?私は、あの水車事件だけど。」

勝さん「一番、困った事はよー。俺、遍路始めて2年くらい経った時に松山で荷物をベンチに置いたままちょっと離れた時に、戻ってきたら荷物が全部盗まれててよお。」

私「えーーー!マジでーー!それって、遍路にとっては、生活全ての命綱って言うか、全財産だよねえ?」

勝さん「そうだろ?俺よお、もう終わったーって思ってよお。」

私「ほんとだよねえ!」

 

私も高知の水車で大雨の中、荷物がないと言うだけで、あれ程行き詰まったのだ。

私の場合は、失くしたわけではないので、取りに行って事は済んだのだが、盗まれたなら、戻って来る保証もない。

 

勝さん「それで、俺、途方に暮れてよお。」

私「だよねえ。途方に暮れるよ。それは!」

勝さん「テントも寝袋もなくて寝れねえし、多少の食料もなくなったし、お参り道具も何もかもねえから、どうしようもなくて。」

私「で、それ、どうなったの?」

勝さん「俺は、終わったーって思ってたんだけどよお、他の遍路の人達が、それぞれに助けてくれてよお。皆、それぞれが自分の持ってるいらねえ物とかくれて、結局、大体いるものが揃ったんだよ。」

私「でも、バックパックなかったら運べないよねえ?結構、買おうと思ったらお金かかるし。」

勝さん「それがよお、それも困ってるだろうって助けてくれる人が現れて、お接待だって言ってよお、バックパックを買いに連れて行ってくれて、買ってくれたんだよ。」

私「へー!凄い!」

勝さん「俺、あの時ほど俺の遍路人生は終わったって思ったこともなかったけど、いや~、あんなに皆が助けてくれるとも思ってなかったからよお、俺、嬉しくて!」

私「それは、嬉しよね!」

 

やはり、勝さんも過去にどうしようもない程、困った事があったのだ。

あの水車で私をあんなに必死に助けてくれたのも、自分が困った時の気持ちを思うと、私を放っておけなかったのかもしれない。

 

つづく・・・   

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