明けましておめでとうございます!
とうとう、このお話も最終章を迎えました!
最終章は、お遍路に関係のない部分も少々出てきますけど、このお話の序章、1章、2章、3章全ての完結編なのでぜひ、最後までお付き合いくださると嬉しいです♪
最終章の最終回、つまりこのお話自体の最終回は、1月25日を予定していますので、もうすぐ終わります。
いよいよ最終章!私の連続3周野宿の旅のハチャメチャ珍道中を連載中!
目次:【序章】&【第1章】&【第2章】 & 目次:【第3章】&【最終章】
これまでのあらすじをざっくりと!→3章までのあらすじ
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それでは、最終章の第1話の始まり始まり~!
■最終章:終わりなき遍路■人生の遍路道はまだ続く
1. 遍路3周目結願へと向かう楽しい長い道のり
DAY98-2
私は、愛媛県の今治辺りから松山にかけて、瀬戸内海沿いの52番から59番の寺を飛ばし、それ以外を最後、博士と全て打ち終えて、なんとかギリギリ高ちゃんの49日の法要の始まる1時間程前には、香川県のマントラ(仮名)へと到着することができた。3周目を結願するには、52番から59番の寺は、この後、広島へ帰りながらまだ打たなくてはならない。
私と博士は、博士の車でマントラの敷地へと入って行くと、ゴンちゃんが出迎えに出て来る。
ゴンちゃん「おお!間に合ったなあ!神村さん(博士)が、迎えに行くって言うとったから、間に合うやろうとは思っとったけど。お帰り!」
私「ありがとう!ただいま!」
ゴンちゃん「今日はなあ、この前の仮通夜の時と一緒で同じ徳厳さんが来て、お経を読んだら、夜、宴会やから。仮通夜の時のような事はせんけど、俺らでな。」
私「わかったー。」
ゴンちゃんと話していると、遍路小屋から、直ちゃん、とんちゃんカップルも出てきた。
直ちゃん「Noisy!間に合ったなあ!」
私「うん。52番から59番を飛ばして来たけど、なんとかギリギリね!」
とんちゃん「Noisy!待っとったよー!」
私「とんちゃんと直ちゃんは、いつ着いたの?」
直ちゃん「いやあ。それがな、違うんよ。」
私「え?何が違うの?お遍路は、終わったんやけど、とんちゃんがな、高ちゃんの後がまみたいな感じでマントラのスタッフになったからな、しばらく私もここにおるんよ。私は近々大阪へ帰るけど。」
私「えーーーー!!とんちゃん、ここのスタッフになったのーー!?」
とんちゃん「ははは!そう!」
直ちゃん「奥さんと社長さんも高ちゃんがおらんくなって、ゴンちゃんも寂しいやろうし、しばらくおってくれ言うから。」
私「へー!そうなんだねえ!高ちゃんもキャラ濃かったけど、とんちゃんなら、負けてないよねえ。」
とんちゃん「ここのスタッフは、キャラの濃さが基準かよ!」
皆で笑いが起こる。
すると、中からしゅんちゃん、勝さん、戸田君も出て来る。
戸田君「おー!やっと来たかー!」
しゅんちゃん「Noisy!待ってたよー!」
勝さん「おお!Noisy!間に合ったな!」
私「あ、そう言えば、勝さん、この前、水車事件の時、ありがとう!」
勝さん「俺、心配してよー!」
私「ねえ、勝さん、作田さんに電話した?」
勝さん「したよ。でも、10円切れで、一言だけ伝えて電話が切れたからよお。」
私「ああ。やっぱり、あれは勝さんだったんだね!ありがとう!あの後、作田さんの知り合いの人が救助に来てくれて。」
勝さん「博士から、作田さんが連絡して救助に行ったって聞いて、大丈夫だったんだなって安心したよ。」
私「勝さん、ありがとう!嬉しかったよ!」
すると、直ちゃんが直ぐに閃いたように口を挟んでくる。
直ちゃん「もしかして、それ、Noisyが水車で立ち往生したって話?」
私「そうそう!」
直ちゃん「ははは!その日なあ、実は、勝さん、物凄い慌てた様子で私らにも電話して来てなあ。『Noisyが水車で立ち往生!助けてくれ!』って。でも、話しようと思ったら、電話がもう切れて、何にも話できんくてな、何の事や?思ったんよ。でも、電話は切れてるし、勝さん電話を持ってないから折り返しもできんし。」
しゅんちゃん「あ!それ、俺のとこにもあったよ!」
戸田君「いやー、実は、ワシにもあったんよー!」
そして博士は全てを見透かしたかのように付け加える。
博士「ははは。俺にもあった。もおー・・・、あの日は、勝さんは、四国中のあっちこっちに電話しとったんや。作田さんからも聞いたけど、志村さんって時々バイトを斡旋してくれたり、お遍路関係の事をやっとる人がおって、そこにも電話がいっとったみたいやから。ははは。」
するとゴンちゃんが意味ありげな顔をして付け加える。
ゴンちゃん「実はなー・・・。それ・・・俺のとこにもあったんや!ははは!!」
私「え~!ゴンちゃんにまで!」
ゴンちゃん「そやねん。勝さんが、えっらい心配して、わーわー言うからな、俺は言うたってん!『あいつの事やから、大丈夫やー!心配すなー!』言うて。」
笑いが起こり、勝さんも照れ笑いをしている。
本当に勝さんは、四国中になけなしのお金で電話をかけまくってくれていたようだ。
だから、皆、話は出来ず、ただ「Noisy、水車で立ち往生!助けて!」とだけ吐き捨てられて電話が切れたのだ。
勝さんには、何かでお返しをしたいと感じる。
せっちゃんも既に到着しているようだ。
中から出てきた。
せっちゃん「Noisy!間に合ったなあ!絶対、間に合わんと思っとったで!」
私「私もそう思ったよー!」
せっちゃん「だって、寺数があり過ぎやったもん!」
私「ははは!そうだよねえ!で、せっちゃんは、全部終わったの?」
せっちゃん「いや、それがな。間に合えへんやん思って、ワシも何か所か飛ばして来てん。あと、この辺りで行ってへんとこもあるで。」
私「え!?」
私とせっちゃんは、目を見合わせて笑った。
「はははは!」
私「だよねえ。私も残してるとこがあるから、せっちゃんもこの後、まだもうちょっと遍路しないといけないね。」
せっちゃん「そやねん。」
私は、法要の始まる時間までに急いでコンビニへ行き、テレフォンカードを1000円分買っておいた。
仮通夜の時ほどの人数はいないのだが、本当に仲のいい身内のような遍路仲間が集まり、法要は始まる。
皆、読めるお経を声を合わせて読むと、やはり鳥肌も立つ。
法要も終わり、皆でテーブルを駐車場に並べて、いつものように宴会が始まる。
やはり、今夜も戸田君の声と、ゴンちゃんの声は、マントラ中に響き渡る。いや、香川中かもしれない。
いや、戸田君の声は、四国中だろう。
高ちゃんとの思い出の懐かしい話をしたりしながら楽しい宴会は、延々と続くのだが、ゴンちゃんは、あの室戸岬で部屋に行くのを断って以来、気を使ってくれているようで、特別に私に近づくこともなく、普通に接してくれている。時々、私を気にしている風でもあるのだが、何処か諦めないといけないと自分に言い聞かせ、友達でいようとしてくれているように感じる。
勝さんは、勘がいいので私とは、時々、目だけで会話もでき、面白い戸田君にからかわれながらケラケラと笑い続けている。
しゅんちゃんもお酒も入り、気分良さそうに戸田君にからかわれながら、お喋りを楽しんでいるようだ。
とんちゃんは、どこかニヤリとして笑ってしまうような冗談の上手い人なので場を盛り上げているし、直ちゃん、せっちゃんも楽しそうにしている。
博士も皆がいるから楽しいのか、夜は来ないと言う博士も、私と二人でいる時のように話し続けはしないのだが、皆の話を聞きながら笑ったりしている。
戸田君は、その大きな声で冗談を言い続け、皆を爆笑の渦に巻き込んでいるのだが、やはり私個人へ向けた冗談は、私にとっては笑えないものだった。いつもは、戸田君のキャラが濃すぎて、全体の雰囲気を作り上げていくのだが、今日は、キャラの濃い人達だけの集まりと言っても過言ではないので、全員がワイワイガヤガヤしている、ある意味、恐ろしくも面白い宴会だ。
戸田君「ほいで、今日は、博士にここまで連れて来てもらったんか?」
私「そうよ!」
戸田君「お前、おまえ!博士、博士!言うてから、博士はどこでもドアじゃないんでー!」
皆が笑う。
私は、一人笑えない。
博士が部品を持って帰ってしまったことをわざわざこの場で言いたくなかったので聞き流す。
私「え?博士は、どこでもドアじゃないけど、白馬に乗った騎士なんじゃない!?私の王子様よ!ここまで連れて来てくれた!」
皆「きゃははは!」
しゅんちゃん「ほんと、そんな感じだよねー!きゃははは!それに、どこでもドアより、騎士の方が素敵だね!」
私「ね、しゅんちゃん。そうでしょ?そう思うでしょ?それに、博士は最後の道のりを救ってくれたわけだから、むしろ白馬に乗った王子様だよね!」
戸田君「な~にが、白馬に乗った王子様ですか~!?お前に白馬の騎士は似合わんのんよー!」
私「うるさいんだよー!あんたー!あんたには、そう思えても、私には白馬の騎士が沢山いるんです!」
戸田君「あ、沢村さんかあ!?」
皆が爆笑する。
戸田君「でも、沢村さんも白馬じゃないで。白い軽トラで?」
皆「ぎゃははははーーーー!」
こんな調子で、延々と宴会は続き、戸田君の冗談も面白いのだが、私個人宛てのものは、何故か私を落とすネタが多く、全く笑えなかった。なので私が言い返すと、更に会話は白熱して行き、しゅんちゃんがいう所のしゅんちゃんよりも戸田君と私の方が仲がいいと言う風に見えてしまうのだろう。
お酒も大分入った頃、例のごとく、ゴンちゃんの密教論が始まる。
そうなると、ゴンちゃんの声は、戸田君を飛び越え、日本中に響き渡るほどの大きさになる。
ゴンちゃん「密教はやなーーーーーーー!なんちゃらかんちゃら、どうのこうのでーーー!」
ああ、また始まった・・・。
ゴンちゃん、これさえなければ、いいのに・・・。
私は、すっと席を立ち、遍路小屋へと消える。
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