私の連続3周野宿の旅のハチャメチャ珍道中を連載中!

目次:【序章】&【第1章】&【第2章】 & 目次:【第3章】

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■3章:遍路3周目■深まる絆

             6. 1周目の記憶を塗り替えるかのように

 

DAY96-2

 

私達は、うどん屋を出て、足湯へ行き、足湯につかりながらゆっくりと、どうでもいい友達同士の会話をしながら時を過ごす。

その足湯は、時計台の下にあり、道後温泉観光の中心にあった。

人力車や、観光客が行き交い、『坊ちゃん』に出てくるような袴に着物を着た、写真撮影の勧誘のような人達も歩いていて賑やかだ。

 

1周目の時のせっちゃんには、こんな余裕がなかった。

私が、ちょっとくらい楽しもうよと言ってみたところで、ブスッと完全無視をして、次へ次へとただ闘争心むき出しの余裕のない人だった。

でも、こうやって今は、ゆっくりと時間を楽しんでいるようだ。

お蔭で私も一緒に居て楽しい。

足湯にゆっくり入った後、道後温泉の商店街を二人でブラブラと歩いてみる。

まるで、1周目の時に私がせっちゃんとしたかったけどできなかった事を取り戻すかのように楽しい時間が流れる。

あちこちの土産物屋などを何も買いもせず、ひたすら二人でブラブラ見て回り、途中でお好み焼き屋さんをみつけた。

 

せっちゃん「なあ!お好み焼き屋さんあんでー!食べへん!?」

私「え?まだ、3時だし、さっきお昼に食べたばっかりだよ?」

せっちゃん「さっきのは、うどんやから、おやつやん!食べれるやろ!」

私「え?まあ、食べれるか!」

せっちゃん「行こ!」

 

私は、せっちゃんの言うままにお好み焼き屋さんへ入り、私達はお好み焼きを食べて、しばらくゆっくりしていると、せっちゃんが、また足湯へ行こうと言い出したので、もう一度、さっきの足湯へと戻る。

時間は、4時半だ。

私達が、足湯へ近づいていると、ふとマスターを偶然見つけた。

 

私「おお!マスター!」

マスター「おお!Noisy!こんなとこで!」

せっちゃん「また、会ったなあ!」

マスター「こんなとこで何をしてるんですか?」

私「足湯に入るとこよ!マスターは?」

マスター「あ、折角なんで道後温泉観光でもと思って。」

私「そう!楽しんでー!」

 

私は、この時、マスターとの事は、旅の最中会った人の一人であまり深く考えもせず、別れた。

まさか、マスターは、この後、私とのクライマックスを迎えようとは思いもよらなかった。

せっちゃんと私は、また足湯でのんびりしながら、時を過ごし、時間が来たので出発することにする。

 

せっちゃん「なあなあ、そろそろおっちゃんも帰って来る頃やなあ!」

私「じゃあ、そろそろ向かおうか!」

 

私とせっちゃんは、アイスクリンのおっちゃんの家へ向かって自転車を漕ぎだした。

30分程ゆっくりと話しながら漕いでいると、日暮れで段々辺りが暗くなってくる。

 

せっちゃん「大分、暗くなって来たなあ。」

私「そうだね。まあ、あともう少しだから大丈夫じゃない?」

 

またせっちゃんと自転車を漕いでいると、更に辺りが暗くなってきた。

 

せっちゃん「なあ、Noisy!まだ、見える?」

私「あ、なんとか!」

 

突然せっちゃんは、慌てて自転車を飛び降りて、私に言う。

 

せっちゃん「なあ!降りて、押して行こうや!」

私「でも、せっちゃん、おっちゃんの家は、もう何百メートルだから、もうちょっとくらい大丈夫だよ!」

せっちゃん「でも、暗いやん!」

私「うん。なんとか、大丈夫だよ!」

 

せっちゃんは、いきなり私の自転車を引っ掴んで私を止めて叫ぶ。

 

せっちゃん「なあ!あかんて!一緒に降りて、自転車押して行こうや!」

私「え?ごめん・・・。ありがとう・・・。」

 

せっちゃんは、私に振り向き、二コリとして言う。

 

せっちゃん「ええねん!もうちょっとやから、押して歩いたらええねん!一緒に歩こな!」

私「ありがとう!」

 

本当に、せっちゃんは、1周目のせっちゃんとは、全く別人のようになっていた。

いや、元々、こういう部分も持ち合わせていたのかもしれないのだが、お遍路の1周目は、せっちゃんにも余裕がなく、果てしのない自分勝手が爆発していたのかもしれない。

そして自分の過ちに気付いて、謝るだけなら誰でも出来る事なのだが、実際、こうやって1周目の時に私がせっちゃんに苦しめられた事を一つずつ、消し去りたいかのように前に進もうとしているせっちゃんの姿に安心した。

 

よかった・・・。

無駄に私は、1周目に苦しんだわけじゃなかった・・・。

解散宣言を言い渡すのも心苦しかったけど、心を鬼にして、せっちゃんには学んでほしいと思って言い渡した「解散宣言」の本当の意味が伝わったのか・・・。

本当に1周目の答えが、ようやく3周目で返って来たかのようだ。

 

 

私達は、自転車を薄暗くなる中、一緒に押して、アイスクリンのおっちゃんの家へとたどり着く。

おっちゃんは、待っていてくれ、直ぐにお風呂を貸してくれる。

部屋でしばらく、おっちゃんとたわいのない話をして、楽しい時を過ごす。

 

おっちゃん「ごめんね~!おっちゃんの一人暮らしの狭いとこやけど、ゆっくりして!」

せっちゃん「ありがとう!」

私「ありがとう!」

おっちゃん「ねえ、あんたら明日は、何処から行くの?」

私「私は、横峰寺。」

おっちゃん「せっちゃんも?」

せっちゃん「いや、ワシは横峰寺へは行かんでええし、この辺は終わってるから真っすぐ香川の方へ走んねん。あっちの方が行ってへんとこいっぱいあるから。」

おっちゃん「あ、そしたらNoisy。明日の朝、おっちゃんが横峰の登山口の所まで乗せて行ってあげるよ。」

私「え?ほんとー?」

せっちゃん「そやでー!Noisy、そうしてもらっとった方が、ええで!だって、Noisyは、横峰寺から先もまだまだあるから。」

私「そうだよね。じゃあ、お願いします!」

おっちゃん「ええよ!それじゃあ、朝の7時にはお寺に着きたいやろうから、6時に出よう!じゃあ、車に自転車を1台しか積めないけん、せっちゃんは、ちょっと後になるけど、戻って来てから何処かまで乗せてあげようか?」

せっちゃん「いや。そんなんしてたら大変やし、待ってる間に先へ進めるから、ワシは大丈夫や!」

 

明日の朝の事も決まり、少しだけホッとする。

横峰寺登山口までの道のりをカットできるだけでも助かるのだが、あと1日と49日の始まる時間までの間にマントラまで全てを回るのは、かなりの強行だ。

 

高ちゃんの49日まで、あと1日。

 

DAY97-1

 

朝、5時半には起きて、出発の準備をし、アイスクリンのおっちゃんの車へ自転車を積み込んだ。

せっちゃんも支度が出来たので、おっちゃんの家を出て、お互いに別れを言い6時に出発する。

 

せっちゃん「ほな、マントラでな!」

私「うん!49日の法要が明後日の4時から始まるみたいだから、それまでにお互いにマントラへ到着するように行かないとね!」

せっちゃん「うん。わかったー!ほな、おっちゃんもありがとう!」

おっちゃん「せっちゃんも、気を付けてね!」

 

おっちゃんは、私を乗せ、横峰寺の登山口へと車で送り届けてくれる。

 

私「ありがとう!助かったよ!本当に!」

おっちゃん「うん!Noisyも気を付けて!なんとか香川県へ明日、間に合うように行ってー!」

私「ありがとう!またね!」

 

おっちゃんは、Uターンをして走り出した。

 

よーし!今の時間は7時半だ!

とにかく、今日、行ける所まで行かない事には!

既に11月も終わろうとしているこの時季の山の中の朝は、既に寒かった。

手先や身体を温めるようにゆっくりと上りながら、今日と明日の計画を頭で考えていた。

 

ここからは、なんと60番横峰寺から76番金倉寺まで17ケ寺もあり、距離的には180キロはあるだろう。

どう考えても今日、100キロ以上走っておかなければ、明日4時から法要が始まってしまうので、始まるまでにはシャワーなどもしておく必要もあり、どんなに遅くとも最悪3時には到着しておかなければならない。

いや、手伝いの事等も考えたら、2時頃に到着しておく方がいいだろう。

つまり明日、丸一日走れるわけではないのだ。と言う事は、どう考えても明日は、60キロ程度を残すだけで、それ以外は今日中に走っておいた方がいい事になる。ありがたいことに、アイスクリンのおっちゃんがここまで連れて来てくれたので、その分楽になったとは言え、ここからなら67番大興寺辺りまで行っておかなくてはいけないのだ。

 

の~~~~!!

待ってくれ~~!!

確かに横峰寺の登山口に今、立っているとは言え、ここも時間を取られる登山なのだ。

それに、大興寺までには、大分距離がある上に、三角寺、雲辺寺などの大山が残っているのだ。そんなに簡単にはいかない。かと言って、それを明日に回す?

いやいやいや!

それもない!明日の寺数が多すぎると、寺をお参りするのに時間がかかり過ぎて前へ進めないし、弥谷寺は、階段を嫌と言う程上らないといけないのだ。

 

う~~~~ん・・・。

明日までに間に合うのか?

・・・。

既に間に合う気がしないよ~~~~!!

どうしよーーーー!!

ってか、そんな事言ってる暇もないじゃん!

とにかく、上れーーーー!!

 

私は、後の事を思うと、こうもしていられないので一気に山道を駆け上がり始めた。

 

 

つづく・・・   

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