私の連続3周野宿の旅のハチャメチャ珍道中を連載中!

目次:【序章】&【第1章】&【第2章】 & 目次:【第3章】

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■3章:遍路3周目■深まる絆

             6. 1周目の記憶を塗り替えるかのように

 

DAY93-2

 

私は、慌てて堂山大師堂を飛び出していき、近くの郵便局へと行ってみる。

念のため、郵便局で局留めの荷物を受け取れることを確認し、博士に電話をする。

 

私「博士!小田郵便局留めで!」

博士「わかった!もう、香川県にも入ったから、直ぐに見つけた郵便局から速達で送るから!」

私「わかったー!それじゃあ、よろしく~!」

 

電話を切って、しばらく郵便局の外で呆然とし頭の中が計算ごとで忙しくなる。

ここからマントラまでは、どう考えてもまだ350キロは確実にあるだろう。

それに仙遊寺、横峰、三角寺、雲辺寺など、まだまだ上らなければいけない時間のかかる山も残っている。

仮に自転車の部品が最悪、明日の夕方届くとしたら、それから久万高原へ暗闇の中山を上るわけにもいかないので、出発は明後日になるだろう。

明後日の朝一から残りの3日間、走り続けたとしても、1日120キロもあり、峠や山があり過ぎる。

ましてや松山、今治辺りは、寺数が多いからお参りに時間を取られてしまう。

 

う~~~ん!

それは、無理だ~~~!

 

仮に1日、2日は頑張れても、そのペースで3日間やり通すのは、かなりの負担だ。

4日目は、つまり高ちゃんの49日なのだが、理想は、その前日には着いておきたいが、無理なら、その日を有効活用して、49日の法要が始まる時間の2時間くらい前に到着するようにするしかないか・・・。

そうすれば、3日とプラス数時間・・・。

可能・・・かもしれない。

そうかあ・・・。

これは、かなり危険だけど、可能なのかもしれないなら、今こうやってどうしようもない中、あたふたしていても仕方ないので、部品到着までゆっくりしていよう。

それに思ったより部品が早く到着するかもしれない。

もし、明日の朝一にでも到着すれば、明日も走れる。

 

そっか。

よし!

ちょっと、気分転換に散歩でもしよう!

 

心の何処かは、この先、私が死に物狂いで走らなければいけない事を思うと、気が気ではなかったのだが、到着しない部品にやきもきしても仕方ないので、気を落ち着かせるかのように歩き出した。

すると小さな喫茶店をみつけたので、調度お昼にもなるし、休憩がてら入ってみることにした。

 

「いらっしゃませ~!」

 

私は、カウンターに腰を掛け、メニューを見てお昼ご飯を注文した。

中には50代くらいのここの経営者と思われる女性が、直ぐに食事を出してくれた。

私が食べていると、その女性が話しかけて来る。

 

女性「お遍路してるの?」

私「そうです!」

女性「歩き?」

私「いや、自転車です。」

女性「そう!凄いわねえ!」

 

私は、更にコーヒーも注文した。

 

女性「今日は、雨やねえ。」

私「そうなんですよお。」

女性「それじゃあ、今日は、自転車では走れないねえ。この辺に泊まってるの?」

私「はい。そこの堂山大師堂に。」

女性「あら?あなた野宿?」

私「そうなんですよお。」

女性「まあ、今日は、雨じゃあ自転車ではどこへも行けないねえ。」

私「いや、違うんですよ。雨でもちょっとこの先を急いでて、行きたかったんですけど、違う問題が発生して。」

女性「それは、急いでるのに大変ねえ。」

私「はい。友達の49日の法要が香川県であるから、25日までにたどり着かなきゃいけなくて、出発したかったんですけど、昨日、自転車をここまで分解して運んでくれた人が、自転車を組み立てる部品を香川県へ持って帰ってしまって、直ぐに速達でそこの郵便局へ送ってくれるってことになって。」

女性「え?じゃあ、その部品がないと自転車を組み立てられないって事?」

私「そうなんですよ~。だから、その部品が届くまで出発できなくて。だから、さっきもそこの郵便局へ行って来たんです。」

女性「え~~~!それは、困ってるわねえ!」

私「その部品がいつ届くのかわからないですけど、速達なので明日には届くと思うんですけどね。そしたら、明後日の朝まで下手したら、この辺でブラブラしなくちゃいけないかもしれなくて、その後の事を思うと、気だけ焦りますけどねえ。」

女性「そんな状態で、香川県まで行かないといけないなんて、それは大変よ!あなた!25日までにでしょ?」

私「はい。まあ、なんとかするしかないですけどね!ははは!!」

女性「え~~!ちょっと、待ってー!私は、ここを離れられないけど、今日は主人が休みでブラブラしてるから。ちょっと電話する!」

私「え?旦那さんに何の電話をするんですか?」

女性「せめて、今日、大宝寺と岩屋寺をお参りしておけば、明後日、久万高原へ行かないでこのままここを下って松山に出れるでしょ?」

私「きゃあああ~~~!確かに~~~!大宝寺と岩屋寺のある久万高原へ上らなくていいなら、大分時間をカットできますよねえ!」

女性「そうでしょ?しかも、部品を持って帰られてしまったなんて、あなた、そんな可哀想に。」

 

そう言い終わらない内に、既に奥さんは何処かへ電話をかけている。

電話で軽く困っているお遍路さんがいるから直ぐに来てくれと伝えると電話を切った。

 

女性「今ねえ、主人に電話したら、直ぐに来るって言うから、10分もしたら来るから待っとって!」

私「え~~~!いいんですかあ~~!?」

女性「いいよー!今日は、主人は、どうせ暇なんだから~!ははは!」

私「いやあ!ありがとうございます!本当に助かります~!」

女性「気にしないで!大丈夫よ!ほんと、今日、主人は、どうせ暇でゴロゴロしてるだけの日だから!ははは!」

私「ちょっと間に合わなくなるかもと思って、気が気じゃなかったんですよ。実は!それで、ちょっとでも気を落ち着けようと思って、ここに立ち寄ってみたんですよー!いやあー!ここへ来てみてよかった!」

 

すると直ぐに旦那さんと思われる男性が店に入って来た。

 

女性「あ!主人よ!」

 

50代くらいの男性が私に手を上げて挨拶をすると、奥さんが私の話を口早に説明し、旦那さんが私に話しかけてきた。

 

旦那さん「それじゃあ、大宝寺と岩屋寺へ行きましょう!」

私「きゃあ~~!助かります~~!ありがとうございます!」

旦那さん「いやいや!大丈夫大丈夫!ちょうど、暇をしてたとこだから!」

 

私は、旦那さんの車に乗り込み、これまでのお遍路話などを聞かせたりしながら、大宝寺へ行き、お参りを済ませると、車で待ってくれていた旦那さんが岩屋寺へ向かってくれる。

岩屋寺下の駐車場に着くと、待っていてくれると言うので、私は、急いで行って来ますと伝え、走り出した。

いやあ、それにしても何と言う巡り合わせか!

高知県の水車事件の時も、困っていると何処からともなく私を助けてくれる人が現れ、本当にありがたい事だった。

きっと、人生で私は、このご夫婦にお返しをするチャンスが来ることはないのだろうが、他の人に他の形でずっと返して行けるような人でいたいとも思いながら、岩屋寺の道を歩き、お参りを済ませると、また待ってくれている駐車場へと続く道を駆け下りた。

 

私「お待たせしました!」

旦那さん「えー!?早かったねえ!」

私「はい。私、ドラえもんの何処でもドアを持ってるんですよー!」

旦那さん「ははは!通りで!」

私「今日は、本当にありがとうございました!助かりました!それじゃあ、私は堂山大師堂へ行ってもらえると嬉しいです。」

旦那さん「いや、国民宿舎古岩屋荘へ寄って行こうと思っとるよ。」

私「え?あ、なんか用があるんなら、ぜひぜひ!私、待ってるんで!」

旦那さん「いやいや!あなた、野宿でしょ。お風呂に入りたいんじゃないかと思って。」

私「えーーー!!いいんですかあ~~!?お風呂は、嬉しいけど待ってもらうのも申し訳ないので、いいですよー!そのまま帰ってもらって!」

旦那さん「いやいや!お風呂に入った方がいいし、今日は、何回も言うけど、僕は暇なんで。」

私「えーーー!それじゃあ、お願いします!嬉しいです!」

 

旦那さんは、古岩屋荘へ連れて行ってくれ、私は急いでお風呂に入り、さっぱりして車で待ってくれている旦那さんの所へ戻ると、堂山大師堂まで運転してくれ戻って来た。

 

私「助かりましたー!帰ったら、住所をさっきお聞きしておいたんで、手紙を絶対に送りますね!」

旦那さん「こっちも楽しかったよ!あんた、元気いいから!」

私「それは、よかったです!ありがとうございましたー!」

 

旦那さんは、車で立ち去って行った。

 

いやあ、まさか、無駄に過ごすしかないと思っていた今日一日を有効活用できるとは思っていなかった。

本当にありがたい。

本当に遍路旅は不思議で、困っている時こそ助けてくれる人が現れるのだ。

 

 

戻って来ると夕方の6時だった。

私は一人、堂山大師堂で地図を眺めながら頭を抱えていた。

 

う~ん・・・。

やっぱ、これを3日間で走るには無理がある・・・。

なんとか明日の朝一で部品が届いてくれることを一人心細くなりながら祈るように寝る。

 

高ちゃんの49日まで、あと4日。

 

つづく・・・   

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