私の連続3周野宿の旅のハチャメチャ珍道中を連載中!

目次:【序章】&【第1章】&【第2章】 & 目次:【第3章】

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■3章:遍路3周目■深まる絆

            5. 走れ!逃亡中の遍路は逃げて逃げて逃げまくる!

 

DAY89

 

朝、高知県土佐清水市の民宿で目覚め、宿で朝食を食べて、木村さんが迎えに来るのを待つ。

宿でゆっくりできたとは言え、流石に昨日、100キロ近くを走り、豪雨に暗闇の中で打たれ続けた疲労は残っていた。

約束通り、8時に木村さんが車で迎えに来てくれたので、昨日いた、ドライブイン水車へと向かう。

30分もすると、水車に着いたので木村さんにお礼を言ったのだが、木村さんとは気が合い過ぎて、もう少し、いや、出来る事ならずっと話していたかった。

すると、木村さんの方から、言ってくれた。

 

木村さん「もし、Noisyが、今日、特別に急いでないなら、トイレの前のベンチでちょっと話して行こうか?」

私「あ、いいの?でも、木村さん仕事へ行かないといけないんじゃないの?」

木村さん「今日、午後から予定が入っとるけど、日曜日やし、店は閉めとるから。」

 

それならと言う事で、トイレのベンチに腰を掛け、2時間ほど話し込んだ。

本当に、木村さんは、太陽のような光を放つほどのオーラを持っていて、昨日の雨が嘘かのように今日は晴れていて、嵐の後の静けさとはこのことだと言わんばかりに穏やかで心弾む時間が流れる。

 

 

もちろん、追いかけて来ているだろうせっちゃんの事が気になっていないわけではなかったのだが、この後、明日には宇和島へたどり着けそうなので、ゴンちゃんから教えてもらっている島にあるクジラ大師と言うお寺へ寄って行こうと思っていた。

その島へ渡っている間に、せっちゃんが宇和島を通り越して、抜かして行くか、もしくは逆に島への寄り道でせっちゃんが追いついて来てしまうかもしれない。

その島へ明日寄るには、明日、宇和島までしか進めないと言う事になるから、距離的に少し余裕がある。

木村さんの放つオーラは、人生で中々出会わないような素敵なオーラを放っていて、私達は、かなり意気投合した。

私は、自分が神様だと思っている理由や、「嫉妬心」は、結局、自分も含めて全てを破壊する以外の何物でもない事など、精神的に奥深く追及したことを話した。

それは、木村さん自体が、とても考えが深く、全てを包むような人だったからだ。

 

木村さん「いや~!Noisy!あんたは、凄いわあ!」

私「ほんと?」

木村さん「あんたは、次元が1歩も2歩も先をいっとるんよね!実は、僕はね、高知市内でそう言う、人の心を解放してあげて、前向きに楽しく暮らせるようにするサロンを経営しとるんよ。」

私「へ~!なんだろう?」

木村さん「宗教とかじゃなくて、マッサージとかヒーリングとか、あと、精神的にポジティブに幸せに考えられるよう、癒しの勉強会をしてあげたりしとって、わかりにくいかもしらんけど、マッサージだけで身体をどうこうするって言うんじゃなくて、言うたら、精神的なカウンセリングとか勉強会も併せてやっていかんと、人の体や心は単純やないきんね。それをトータル的にサポートしてあげたいなと思って。」

私「うわ~~~!木村さんらしい!」

木村さん「それで、僕は、かなり心理学とか哲学とか、ヒーリングとか、もちろんマッサージもやけど、色んな勉強をしとってね。で、すっごい、いい事が書いてあっても、自分が理解してなかったら人にまで教えてあげられないでしょ?でも、いくつかどうしてもわからんこととかあったんよね。それで、何年もかかって、ようやく理解することができたこともあるし、今は、それをクライアントさんに提供してあげる立場におるんやけど、いや~~~!びっくりしたわーーー!!Noisyは、そんな勉強をしたわけじゃないでしょ?」

私「してないよ。私が、ずっと子供の頃に考えた事とか、経験したことから答えを導き出して行ったものもあるし。まあ、そのベースになってるのは、尊敬してた父さんの生きざまを見てってのが大きいとは思うけどね。」

木村さん「いやあーーー!僕は、今日、本当に感動したよ!何にも勉強せんと、ここまで自分自身で導き出しとる人がおるんや思って。そんな人、会った事ないわあ!僕は勉強して考えて何年もかかってようやくわかった事やったのに!」

私「そう言ってもらえると、嬉しいよ!でも、私の直感で木村さんは私の言わんとすることがわかってる人だなって感じたから、あれこれ話しただけで。普段は、頑固な人に限って聞く耳も持たないし、反論してきたり面倒くさいから話さないよ。」

木村さん「あー!わかるわー!やっぱり、サロンでも最初にわからせるのに時間がかかって大変な人おるからなあ。でも、こう言うたらなんやけど、ほんま、水車で立ち往生してくれてありがとう!」

私「はははは!そうじゃなかったら、出会ってないもんね!」

木村さん「今日、これはここで僕らがこうやって話をできるように自然と導かれていたことなんやろうね!」

私「確かに!だって、おかしいもん!あんな、急に!3秒くらいだよ!突然大雨が降って来て真っ暗闇になって!」

 

私は、木村さんからも無理してとか頑張り過ぎてと言う事ではなく、自然と楽しく前向きにいることが、どういうメカニズムで私達が幸せになるのかなどの話を聞いた。

木村さんが言うように、木村さんが言ってくれた事は、全てこれまでに私が考えてきたことそのものだった。

 

私「いやー!木村さん!私の考えをそのまま目の前で言ってくれる人が、父さん以外にいるんだと思って、なんか元気になって来たよ!」

木村さん「ほんまに!僕もこれで何年かは頑張れそうな程の元気をもらったわあ!ありがとう!」

私「私もよ!」

 

木村さんは、私も出発しないといけないだろうと気を使ってくれ、そろそろ帰ると言うので何度もお礼を言って、車で立ち去る木村さんを見送った。

 

一人、水車のトイレに取り残された私は、心の底から元気とやる気がみなぎって来る。

何故か、話した後に頑張ろうと思わせてくれる人が、時々いるけど、木村さんは、まさにその中でも最強の人だった。

 

私は、直ぐに自転車に荷物をセットして準備をし、10時半に水車を出発して39番延光寺へと向かう。

木村さんに相当な元気をもらったから、気持ちは軽やかでやる気満タンなのだが、今日は、昨日の水車事件からの疲れで、身体にかなり疲労感が残っている。

なんとか、気合を入れ自転車を1時間半ほど漕いだところに、ミスタードーナッツをみつけたので、昼食に立ち寄り、しっかりと食休みもして1時には出る。

今日の私の体は、100パーセントではないのだが、もう一晩ゆっくり寝れば取れそうな疲労も今は、寝ている場合ではないので全身けだるい中自転車を走らせるのだが、自転車が重い。

前もこの道を延光寺まで走った時、ペダルが重かったように今日も同じく、かなりの強風が吹き荒れていて、とにかく坂道でも上っているのかという程、つらい。

速度はかなり落ち、淡々と重たいペダルを回す。

 

1時間ほどでようやく39番延光寺に到着して、お参りを済ませ、40番観自在寺へ向かうのだが、さっきよりも風が強くなっていて、ほとほと嫌気も差してくる。

 

あーーー!!

重いーーーー!!

ペダルが、重いーーーー!!

今日は、なんか疲れが出てるし、もーゆっくりでいいわあ!

でも・・・。

せっちゃんは、一体、どの辺りまで追いついて来てるんだろう?

明日、クジラ大師には、行きたいし。

でも、クジラ大師に寄り道してたら、絶対、そろそろせっちゃんが追いついてしまうよね・・・。

ああ、どうしよう・・・。

せっちゃんが追いかけて来てる事で、私がクジラ大師に行けないとか絶対あり得ないし・・・。

せっちゃん、むしろ私がクジラ大師に行ってる間に通り過ぎてくれないかな~。

そしたら、マントラ辺りで逆に追いつくから、最後辺りで合流すればバッチリなんだけどな~。

 

一人、重たいペダルをダラダラと漕ぎながら、ボーっと色んな事が頭を過る。

 

だけど、せっちゃんもすっごい勢いだよね。

どう考えてもおかしいけど、なんでそこまでして私に追いつかなきゃいけないの?

もう、クジラ大師の間に抜いて行ってほしい。

なんで、せっちゃんは、私のペースの事など気にせず、自分のペースで楽しめないんだろう?

う~ん・・・。

 

実は、せっちゃんには私を追いかけている重大な理由があったのだが、この時の私は、それを知ることもなかった。

 

つづく・・・   

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