私の連続3周野宿の旅のハチャメチャ珍道中を連載中!

目次:【序章】&【第1章】&【第2章】 & 目次:【第3章】

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■3章:遍路3周目■深まる絆

            5. 走れ!逃亡中の遍路は逃げて逃げて逃げまくる!

 

DAY88-1

 

私は、翌朝、観音堂で目覚めてみると、タマキさんは、既に言葉通り出発していた。

今日は、まず、18キロ先の四万十大師堂へ一旦立ち寄って、そこへ荷物を置かせてもらえれば、今夜の寝床も確保できているし、何より荷物無しで足摺岬の金剛福寺へ約80キロを往復して来られる。

確かに距離が長いのだが、荷物がない事、寝床を探す時間を取らなくていい事、今日の道のりは、大したアップダウンがない事などもあり、昨日に比べれば、少し余裕がある。

ただ、昨日、日暮れに追われて一日、限界まで走り切っていた私は、ほんの少しだけ疲れも溜まっていた。

準備を済ませ、お堂を片付けて、ようやく7時45分に出発する。

昨日、朝ごはんまで買う余裕がなかったので、出発して15分程走ったところに、コンビニ、YAMAZAKIをみつけ、そこで朝食を買い込みしっかりと食べる。

食べて直ぐに出発すると横腹も痛くなるので、食休みも十分にとり、9時半に出発する。

四万十大師堂までは、あと1時間ほど走れば着くだろう。

今夜、四万十大師堂に泊まり、明日の朝、やって来るだろうお経の上手な可愛らしいお婆ちゃんに会うのが楽しみで、心はワクワクしながら、四万十大師堂へと自転車を走らせた。

 

直ちゃんに教えられた通り、四万十大橋を渡って、少しルートからは寄り道になるのだが、反対の岸へ渡り、四万十大師堂へ行ってみた。

いつも思う事だが、大きな橋を渡る時は、必ずぐるりと回って橋までは上りがやってくる。

 

あーーー!!

もー!

橋の袂にエレベーターつけてほしい!

自転車ごと乗せられるような!

 

あれだけ、峠や山をいくつも越えて、既に何千キロか自転車で走っていると言うのに、こんな所で怠け者の考えがちょくちょく現れる。

大師堂があると教えられていた場所へ行ってみると、小さな建物があり、ドアを開けてみると開いた。

中は、4畳半程度の畳敷きになっており、奥にお大師さんが祀られていて、真ん中にはお婆ちゃんたちが朝、やって来てお茶でもしていくのか、こたつの机にお茶セットのような物があった。

 

おお!!

今日も畳で寝れるぞ!

明日、ここにいたらお婆ちゃんに会えるかも!

 

そう思うと、心は弾み、早速、自転車の荷物を全て取り外して、お堂の中へと入れて隅に寄せておいた。

身軽になった私は、お参り道具だけを自転車に乗せ、出発する。

時間は、11時半だ。

私の計算では、2時間あれば、40キロ先の38番金剛頂寺に到着するだろう。

とすると、1時半には到着して、お参りや休憩に1時間取ったとしても、金剛頂寺を出るのが、2時半。

そこから2時間かけて帰って来ても、時間は4時半くらいのはずだ!

余程のへまをしない限り、日暮れの6時までには戻れるだろう。

 

よしよし!

行くぞー!

今日は、帰ったら、畳敷きだー!

 

私は、荷物もなく軽くなった自転車と共に軽やかな気持ちで自転車を漕ぎだした。

今日は、少し曇ってはいるのだが、そんなに天気も崩れそうでもなく、走りやすい気候だ。

ここへ来るまでに既に体の温まっている私は、自分の心地よいトップスピードに乗せて走り続ける。

半島の東側を足摺岬へ向けて、ガンガン漕ぎすすむ。

やはり、ひたすら自転車を漕いでいる間は、一人、頭の中で一人トークも増える。

 

2周目のお願いは、「遍路後の私の行き先を教えてくれ」だけど、ご利益に任せていても仕方ないし、どうしようかなあ?

そう言えば、長野の親分の所は、12月の1周目に仕事が始まるから、そろそろスタッフも決まって今シーズン始まる準備も整ってる頃だろうなあ・・・。

私は、親分に必要とされるなら、それには絶対に答えたいと思うけど、私は違う事したいし・・・。

まあ、親分の所は、人生であんなに面白かった職場はなかったほど面白いけど、同じところに留まって先へ進まないのも嫌だし、なにより、仮に今更行くとしても、既にスタッフも決まってて時は既に遅いしね。

どうしよう?

とりあえず、広島に帰って・・・。

また英語を教え始めちゃうと身動き取れなくなっちゃうしなあ・・・。

それにしても、親分も皆元気かなあ?

 

あれこれと頭で思いめぐらせ、遍路を終わって帰ってからの私の計画をゆっくりと立て始めていた。

2時間ほど自転車で走り切って、ようやく断崖絶壁の続く足摺岬へ到着する。

 

おおーーーー!!

足摺岬の海だーーー!!

太平洋だーーー!!

水平線も見える!

いやあ、着いた着いた!

楽勝、楽勝!

 

私は、予定通り、1時半には金剛頂寺に着き、お参りをすませ、寺の前へ出てくると、以前、マントラで会ったことがある、田中さんと言う永久遍路のおじさんに出くわした。

 

私「おおお!!田中さん!」

田中「おおお!Noisy!」

私「今日、どこまで行くの?」

田中「あ、もう今日はこの辺で終わり~。Noisyは?」

私「私は、四万十大師堂へ荷物を置いて来たからそこまで帰らなきゃいけないんだよね。」

田中「そうなんだ。遠いね。行けるの?」

私「来る時に2時間でこれたから、今、2時でしょ。今、出れば、4時には着くから大丈夫。」

 

田中さんは、とても人懐こくニコニコしていて話しやすく、久しぶりに私に会ったのがとても嬉しそうだった。田中さんは、もっと私と話をしていたそうだったので、田中さんに言う。

 

私「あ、だから、まだ余裕あるから、ちょっとおしゃべりして行ってもいいよ!」

田中「ほんと!?よかった!じゃあ、ここに座って話そうよ!」

 

私と田中さんは、道路脇の端へ腰をかけ、和気あいあいと話をする。

 

田中「ねえ、今日、そっちから来たなら、凄いお婆さんにすれ違わなかった?」

私「え?凄いお婆さん?明日、四万十大師堂でお経の凄いお婆ちゃんに会えたらいいなと思ってるけどね。」

田中「あ、いや、そっちのお婆さんじゃないよ。」

私「どっちのお婆ちゃん?」

田中「一人で歩いてお遍路してる白髪のお婆さんで、家財道具一式、運びながらお遍路してる人。」

私「え?家財道具一式?」

田中「そう。」

私「家財道具一式って言ったって、まさか、家具とか運んでるわけじゃないでしょ?」

田中「いや、それが運んでるんだよ。」

私「え?家具も?」

田中「そう。」

私「でも、そんな物、運ぶのも大変だし、野宿遍路の生活にはいらないよねえ?」

田中「うん。そう思うんだけど、そのお婆さん、台車に家具も乗せて、押しながら歩いてるから。」

私「へーーー!!見てみたいわあー!ってか、女の人で歳も取ってるのに、重たいものを運びながらって、話を聞いただけで気が遠くなるねえ。」

田中「そうでしょ。でも、見たら、もっと気が遠くなるから。ははは!」

私「ははは!」

 

私は、田中さんと話しているのが楽しかった。

ただ、今日は、多少時間に余裕があったとは言え、ここからまだ40キロ離れている所へ帰らなくてはいけない。

時間も3時になり、少し焦りつつ、でも、田中さんとまだまだ話していたかった。

 

私「高知の海側は日が長いから、6時に日がくれるよね。」

田中「うん。そうだね。山の中だと5時半だけど。」

私「3時半に出れば、5時半には四万十大師堂へ戻れるだろうから、日暮れよりも30分くらい余裕もあるし、じゃあ、3時半までいるよ!」

田中「ほんと!?よかった!」

私「でも、3時半がタイムリミットだから、その時は、残念だけど、絶対に出発するからね!」

田中「わかった!じゃあ、時間を見ておこう!」

 

私達は、そう約束して、3時半まで話し込み、3時半になったので別れを告げる。

 

私「流石に、3時半だから、行くよ!」

田中「うん!お名残惜しいけど、仕方ないね!それじゃあ、Noisy気を付けて!」

私「ありがとう!田中さんもね!」

 

私は、楽しかった田中さんとの会話を止め、3時半に自転車を漕ぎ始めた。

 

よしよし!

これで2時間漕ぎ続ければ、日暮れ30分前の5時半には、四万十大師堂へ到着するだろう。

私は、何の心配もなく自転車を走らせ、1時間ほどたった頃、ちょっとした下り坂になって、自転車を軽やかに下へと走らせていると、異変に気付き、私は、自分の目を疑った。

 

えーーーーーーー!!

うっそーーーーーー!!

 

私は、勢いのついた自転車を走らせながら、今、すれ違った物を振り返ってみる。

 

1.5m四方くらいだろうか?

台車に積み込んだ、家具などを一生懸命に押しているお婆さん遍路が歩いていた。

しかも、その何でもない坂道は、その家具を押してあげるには、かなりの労力がいる。

お婆さんは、あっちへ回り、こっちへ回りしながら、台車を30㎝程度ずつ押し上げているようだ。

 

私は、日暮れまでに戻るために自転車の速度をあげていたので、あっという間にお婆さんは、見えなくなっていたのだが、今、見たものが現実なのだと理解するのにしばらく時間がかかっていたのだ。

 

それにしてもあのお婆さんは、あの家財道具と共にどうしたいのだろうか?

遍路しながらの自力の引っ越し!?

 

 

お金が払えなくなり、家を追い出されたものの、思い出の詰まっている家財道具を捨てられないでいるのだろうか?

ただ、この歩くだけでもきついお遍路をその荷物と共に回るなんて、無謀以外の何物でもない。

あのお婆さんの境遇や心の闇の理由などを想像して、まるで走馬灯のように色んな思いが頭を巡る。

 

そして、私は更に自転車を漕ぎ続ける。

まさか、この後、私の遍路3周人生の中で最大の危機に陥ろうとも知らず。

 

つづく・・・   

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