私の連続3周野宿の旅のハチャメチャ珍道中を連載中!

目次:【序章】&【第1章】&【第2章】 & 目次:【第3章】

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■3章:遍路3周目■深まる絆

            4. 追われる身の私の隠れ家は家族のような仲間達だった

 

DAY84-2

 

私は、出来上がったカレーを皆に振る舞うと、皆、美味しいと言って食べてくれた。

 

戸田君「あら!?バカにしとったけど、これ、美味しいのお!お世辞じゃないで!こう言う普通のルーで作ったカレーは、大体、全部同じ味になる思っとったんじゃけど、どしたんや、これ!?ほんまに美味しいで!正直、今まで食べたこういう日本のカレーで一番美味しいっちゅうてもええくらい美味しいわあ。ほんまは、バカにしとったんじゃけど。ぎゃはははは!!」

私「バカにしとったって、どういう事?まあ、戸田君のには、雑巾のしぼり汁が入ってるから、これまでより特別に美味しいんじゃない!?」

 

戸田君は、褒めながら、いつもの勢いの10倍の勢いで食べている。

あの食べ方は、お世辞ではなく本当に美味しいと思っているのだろうと感じた。

しゅんちゃんも感心したような顔をして、言葉を嚙みしめるように言ってくれる。

 

しゅんちゃん「いや~!Noisy!これ、ほん~っと~に美味しいよ~!」

私「ありがとう!しゅんちゃんのには、しぼり汁入れてないから、大丈夫よ!」

皆「はははは!!」

 

私は、こうして皆と楽しい癒される時間を過ごしながらも、今に迫って来るせっちゃんの事が気にかかっていた。

明日は、どうしよう?

自転車は、荷物が乗っているのと乗っていないのでは、きつさが随分違う。ましてや、明日、移動するとなると明日の寝床を確保する時間もかかる。

そうか!

次は、33番雪蹊寺~36番青龍寺までの高知市内に近い辺りを打った後、この辺りからは離れて岩本寺の方へ行くことになるから、36番青龍寺は、ここから少し離れているとは言え、ここに荷物を置いて行けるなら、明日、荷物無しで青龍寺まで一気に打って来て、ここにもう1泊して、明後日、どんどん足摺岬の方へと向かって離れて行く計画がいいかもしれない。

よし!

明日は、荷物無しで36番青龍寺まで行って戻って来よう!

そう決めた私は、皆はどうするのか聞いてみた。

 

私「ねえ、皆は明日、どうするの?」

勝さん「流石に俺は、行くよ!」

戸田君「流石に明日は晴れるじゃろう!明日は、出発っちゅうことで!」

サク「まあ、俺も行きます!」

しゅんちゃん「まあ、僕は、皆がいなくなるなら、ここにいる意味はないから、僕も行くよ!」

戸田君「で、お前は、どうするんや?」

私「私は、荷物無しで行ってこれたら早いから、明日、ここに荷物を置いて青龍寺まで打ったら戻って来て、ここにはもう1泊しようと思うよ。そしたら、その後、高知市内からは離れるから、明後日、岩本寺に向けてここを離れようかと思ってる。」

戸田君「ほいじゃあ、しゅんちゃん。明日、一緒に出ようや!サクも一緒に。」

しゅんちゃん「そうだね。それじゃあ、一緒に行こうか!」

私「もう、まったー!戸田君は、寂しくて死ぬうさぎさんなんだから!」

戸田君「そうは、言うても、勝さんは托鉢行くじゃろうけど、それ以外は、皆同じ方向なんじゃけー!」

皆「はははは!!」

 

こうして、お名残惜しかったし、天候にもよるかもしれないのだが、とうとう明日には皆とお別れすることが決定した。

 

DAY85-1

 

朝、光明庵で目が覚めてみると、ようやく晴れていた。

皆、それぞれに出発できるよう支度を整えている。

最初に準備ができた、勝さんが出発すると言うので、皆で、表へ出て、大きな荷物を持って出かけようとしている勝さんにお別れをする。

 

勝さん「じゃあ、俺、行くよ!」

 

勝さんは、お名残惜しさにカツを入れ、キリリとした様子で言葉を発している。

 

戸田君「ほいじゃあ、高ちゃんの49日の時に、また会いましょうや!」

勝さん「そうだな!」

しゅんちゃん「勝さん、気を付けてね!」

勝さん「おう!ありがとよ!」

私「勝さん、ありがとう!」

勝さん「おう!Noisy!時々、安否確認の電話入れるからよ!」

私「うん!ありがとう!勝さん!」

勝さん「それじゃあな!」

 

勝さんは、軽く手を挙げて颯爽と歩き出した。

皆で勝さんの姿が見えなくなるまで見送る。

皆、寂しさが込み上げて来ているのか、珍しく、一瞬、誰も口も利かず静まり返る。

すると、戸田君がその空気を壊すかのように言葉を発する。

 

戸田君「よーし!勝さんも行ったし!ワシらも準備しよーかー!」

 

皆、小屋の中へ入り、それぞれに荷物の準備を整えた。

私もほとんど準備できたところで、戸田君、しゅんちゃん、サクの3人も出発すると言う。

私は、外へ出て、皆を見送った。

 

戸田君「まあ、お前も高ちゃんの49日の時にの!じゃあの!」

しゅんちゃん「Noisy、楽しかったよ!」

サク「俺も、すっごい楽しかったっす!」

戸田君「ほいじゃあ、皆、行こうやあ!」

 

戸田君の声で皆一斉に歩き出したのだが、しゅんちゃんがとても寂しそうな顔をして振り返っている。

と思ったら、しゅんちゃんは、2~3歩、歩いてから、2~3歩私の方へ戻って来てしまった。

そして、手を握りながら泣きそうな顔をしている。

 

しゅんちゃん「Noisy!ほんっとに楽しかったよ!ありがとう!」

 

戻って来てしまったしゅんちゃんに気付き、戸田君とサクがそこへ立ち止まって振り返っている。

 

私「うん!しゅんちゃん!私もよ!今度は、49日の時に会おうね!」

しゅんちゃん「うん!」

 

とは、言ったものの、しゅんちゃんはその場を離れられないでいるので、戸田君が声をかける。

 

戸田君「おーい!しゅんちゃん、行こうやあ!」

私「しゅんちゃん、皆が待ってるよ!また会えるんだから!」

しゅんちゃん「そうだよね。わかってるんだけどね。」

私「しゅんちゃん、また時々電話するから!ほら!」

しゅんちゃん「うん!わかった!それじゃあね!」

 

しゅんちゃんは、ようやく振り切って、皆の所へ行き、歩き出した。

私は、皆が見えなくなるまで見送り、光明庵に一人きりになってしまった。

 

 

突然、一人になってしまったので寂しさはあったのだが、後ろに迫りくるせっちゃんの事を思うと、そうもしていられない。

早速、準備を完了して、お参り道具だけ自転車に乗せ、10時に33番雪蹊寺へと向けて走り出した。

最初の20分程、身体を温めるようにダラダラと走り、調子に乗ったところで心地よい速度まで上げ、無心に自転車を漕ぐ。

走りながら、ふと、皆の顔が浮かぶ。

 

ああ、楽しかった!

でも、ああやって皆、離れられないでいるのは、それぞれ寂しさを心に持っているのかもしれない。

ましてや、永久遍路の勝さんは、帰る家もなく家族もない。

となると、こうやって私達が一緒に過ごした時間は、勝さんにとって家族と過ごすような貴重な時間なのかもしれなかった。それに、しゅんちゃんは、帰る家があるのだが、どこか人懐こく自分の寂しさを常に埋めたいのかもしれない。ただ、それは私も同じだった。

戸田君にも帰る家もあるし大家族の中で育っているからか、いつも大人数で家にいることに慣れていたのだろう。突然、一人になると、他の人よりも寂しさを感じるのかもしれない。

 

そんな事を考えている内に33番雪蹊寺へ到着して、お参りを済ませ、直ぐに34番種間寺へ向かう。

平坦地にある種間寺を難なく打ち終わると、次は、あのタコオヤジが追いかけてきた35番清滝寺へ上らなければならない。

清滝寺の上りに入り、淡々と坂を上って行きながら、あの時のタコオヤジを思い出し、今は別の人に追われていることも思い出す。

 

ああ・・・。

せっちゃんが、追いかけてきている・・・。

タコオヤジの次は、せっちゃんか・・・。

なんで、せっちゃんは、自分の旅を自分だけのペースで楽しむことができないのか?

なんで、私を追いかけて来るのか?

普通に自分のペースで楽しんでいるだけのオーラを感じるなら、合流するために私だって時には足並みを揃えたり、待っていたりしてもいいものを。

なんで、ただただ、私の気持ちを緊迫させる程に追いかける必要があるのか?

くそーーーーーーー!!!!

この3周目は、自由にさせてくれーーーー!!!

 

つづく・・・   

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