ブベニチェク ニューイヤーガラ カノン @ Bunkamuraオーチャードホール(1/6/2013)
ドレスデン・バレエ プリンシパルのイリ・ブベニチェク振付作品ばかりで構成された、文字通りのブベニチェク・ガラ!!
今年最初のバレエ鑑賞にふさわしい、素晴らしい公演でした。
「トッカータ」
振付:J・ブベニチェク 音楽・衣装:O・ブベニチェク
ドロテ・ジルベール、カテリーナ・マルコフスカヤ、アンナ・メルクロヴァ、エルヴェ・モロー、
ヨン・ヴァイエホ、クラウディオ・カンジアロッシ、マイケル・タッカー
冒頭、エルヴェ・モローの姿が見えた瞬間から泣きそうになり、殆どエルヴェだけを目で追っていたような気がする....なんせ2006年来日公演の「白鳥」以来の生エルヴェ!!! どれほどこの日を待っていたことか(号泣)
雨音のような(ジョージ・ウィンストン風?)音楽の中で男女が錯綜し、時にはペアとなり....やっぱりモローくんとドロテのペアは群を抜く美しさだった。
「ドリアン・グレイの肖像」
振付:J・ブベニチェク O・ブベニチェク
音楽:K・ジャレット「1988年10月17日」「風」
B・モレッティ「#9 ラガツィイ・チェ・ファノ・ムジカ」
ドリアン・グレイ――オットー・ブベニチェク
画家バジル・ホールウォード――イリ・ブベニチェク
ヘンリー・ウォットン卿――イリ・ブベニチェク
ドリアン・グレイの肖像画――イリ・ブベニチェク
シビル・ヴェイン――ラケル・マルティネス
登場人物はオットー、イリ、女性ダンサーのラケルの3人のみ。舞台上のドリアン・グレイ(イリ)の肖像(スクリーン)が、だんだんと崩れていくさまは、何年か前に都写美で見た「液晶絵画」展で同じようなのがあったな...と思い出す。 舞台装置もスタイリッシュ。
イリとオットーが、あまりにもドッケンベルガーすぎて(?)というか、途中でどっちがどっちか分からなくもなり(汗)面白くはあったが少々消化不良で終わってしまった。 しかしこの作品、この二人以外に踊れるの??
「牧神」
振付:J・ブベニチェク
音楽:F・プーランク「ミサ曲 ト長調 5番 アニュス・デイ」
C・ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」
ラファエル・クム=マルケ、ヨン・ヴァイエホ、クラウディオ・カンジアロッシ、
マクシミリアン・ゲノフ、ファビアン・ボランジェ、マイケル・タッカー、
ジャン・オラティンスキー、フランチェスコ・ピオ・リッチ
前日行かれた方たちの呟きで、この牧神がとにかくスゴい!という噂は目にしていたのだが...本当にスゴかった、というよりヤバかった!!!こんな18禁の作品を見せられて、ちらほらいたお子様連れはどう対処したんであろうか?
なんせ聖職者と少年の禁断の世界である。こんなのカトリック教会からクレームつかないのか?と他人事ながら心配になるほど....途中から現れる牧神は、司祭の邪悪な欲望の象徴であるが、この牧神のエロさときたら....(自粛)
司祭役のラファエル・クム=マルケのイッっちゃってる表情もすごかった。
舞台には安藤建築のような光の十字架が浮かび上がり、その間隔がだんだんと大きくなっていって、いつの間にか光の色も白から赤へと変わっていく。ノイマイヤーの「ニジンスキー」でも十字架(あちらは布だったが)が印象的だったのを思い出す。やっぱり元の師匠ノイマイヤー風を所々で感じるのであった。
「プレリュードとフーガ」
振付:J・ブベニチェク
音楽:D・ショスタコーヴィチ「24の前奏曲とフーガ 作品87」
ドロテ・ジルベール、エルヴェ・モロー
ピアノ:榎本真弓
ロビンス「アザーダンス」と雰囲気が似ている。ドロテとエルヴェのために振付けられた作品。美しい二人が、美しい音楽と同化して踊る、まさに眼福~~~!!
「ル・スフル・ドゥ・レスプリ ―魂のため息―」
振付:J・ブベニチェク
音楽:O・ブベニチェク「天使の到着」「サイレンス」「天使の出発」
J.S・バッハ「管弦楽組曲第3番 ニ長調 G線上のアリア」
R・ホフシュテッター「弦楽四重奏 ヘ長調 作品3-5番」
J.パッヘルベル「カノン ニ長調」
イリ・ブベニチェク、オットー・ブベニチェク、ヨン・ヴァイエホ、
ラケル・マルティネス、ドゥオシー・ジュウ、カテリーナ・マルコフスカヤ、
アンナ・メルクロヴァ、マクシミリアン・ゲノフ、クラウディオ・カンジアロッシ、
マイケル・タッカー、フランチェスコ・ピオ・リッチ
2008年8月の「エトワール・ガラ」Bプロで「カノン」を見た際は、イリ、サーシャ・リアブコ、そしてマチュー・ガ
ニオのいい男3人競演!!これがまあ素晴らしくてずっと再演を見たかったのだが、2010年のさいたまでのブペニチェクガラには行けなかったので、実に今回、4年半ぶりにようやく見れた!! (注:「カノン」はこの作品の一部分の抜粋で、今回は完全版) そういえば、2008年のエトワール・ガラにもエルヴェは出演するはずだったのに、直前にあの「椿姫」での悲劇的な事故があったのだったよな...涙
バックの大画面にはダ・ヴィンチの絵画(素描多し)が映し出され、中には去年ここbunkamuraで見た「ほつれ髪の女」も!こうやって色々とリンクしていると嬉しくなる。
さよならを言えなかった二人の祖母へ捧げられた作品。なんとなく内藤礼の「地上はどんなところだったか」を思い出したりもする。生への讃歌が満ち溢れている一方、絶え間なく踊り続けるダンサーたちが阿弥陀二十五菩薩来迎図にも見え(!)変な言い方だけどこの踊りを見ながら死ねたら幸せかも....なんて気分になってしまった。
イリの作品を堪能できたのはもちろん良かったが、本公演ではエルヴェの輝くばかりの姿を見れて、本当に夢のようだった。舞踊の神に愛でられて当然の彼が、今までこれほど怪我に悩ませれ、引退説も何度か流れ....ようやく7年ぶりに日本に来てくれたのだから(泣)
あと、ドレスデン・バレエのダンサーたちも質が高い!カンパニーで来日してくれないかしら....
会場ではエルヴェ・ファンの皆さまと感無量で感想を共有できたのも幸せな気持ちになりました。
エルヴェ、日本に来てくれてありがとう!!イリ、エルヴェを連れてきてくれてありがとう!!!