よってしばらくブログはお休みさせて頂きます。ご了承下さいませ。
桜もアートフェア東京も満開ですが参加できず残念です。
モーリス・ベジャール・バレエ団 2013年日本公演 Aプロ
Bejart Ballet Lausanneの来日公演Aプロへ。
没後5年、と聞くともうそんなにたったのか...と日々の流れの速さを思わざるを得ないけど、ジル・ロマン体制も順調に軌道にのってきたと考えていいのかしらね。
以下感想のメモ。
「ディオニソス組曲」
振付:モーリス・ベジャール 音楽:マノス・ハジダギス、伝統音楽 美術:横尾忠則
これは未見だったのでとても楽しみにしていた。ニーチェの思想を舞台に再現した作品だというが、あまり肩肘はらずに見れる作品だった。タベルナ(酒場)からディオニソス誕生にまつわる神話シーンを経て、最後はバッカス讃歌の熱狂的なダンスシーン。トータルで約1時間だったが、はっきり言って前半はカットしていいと思う...(眠気に襲われた)
最後のフラメンコ舞踊みたく一人ずつが円陣の中央に出て踊りまくるシーンは見事!! 美しい男たちばかりの踊り比べだからそりゃあ眼福(笑)ディオニソス役のオスカー・シャコンすばらしい!!
バックの画が横尾忠則だったが、横尾作品にしては地味目だった(笑)
「シンコペ」
振付:ジル・ロマン 音楽:チェリ・オシュタテール&ジャン=ブリュノ・メイエ(シティ・パーカッション)
意外にも(失礼)面白かった。「シンコペーション」という音楽用語は、医学用語では「卒倒、気絶、心臓停止」を表すのだという。人間が意識喪失に陥った時に脳で怒っていることは?という発想から生まれた作品だそう。
気絶した若者をのせてロス姐さんが舞台を横切るシーンが何度もあるのだが、ロス姐さんのかぶっている巨大帽子がラーメンのどんぶりに見えて仕方ないww
シャルキナが頻繁に登場するのもうれしい。特にシャルキナ、シャコン、ホアン・ヒメネスのトリオがよかった。この場面のシャルキナは「ペトルーシュカ」のバレリーナみたいで、とてもキュートで可愛かった!
若者たちの踊り比べシーンもディオニソス同様によかった♪。
「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール 音楽:モーリス・ラヴェル
「ボレロ」をエリザベット・ロスとジュリアン・ファブローが日替わりで踊るので、迷った末にジュリアンのラスト日をチョイス。
...しかしはっきり言う。こんなに心が揺さぶられないボレロは初めてだった。
まずはジュリアンの老けっぷりに愕然としたのだが、(それは前回もそうだったが...)なんというか、振付をただなぞっているだけとでもいうか...
この日は終演後にジルとジュリアンのポストトークがあったが、時間が遅くて聞けず。 参加された方々の呟きを見ていると、ジュリアンのボレロに対する姿勢はベジャールの振付を動態保存するのが第一義、という考えであるらしい。それにしても、何も伝わってこなかった....
あらためて、ボレロというのは踊り手を選ぶ作品であることを思い知る。いくらベジャールバレエ団でメインダンサーとして活躍してきたからといって、それイコール、ボレロの踊り手としてふさわしいわけではないのだな...
というか、10年前に少年王を踊っていたころのジュリアンだったら素晴らしいボレロを踊れたのかもしれない..
..
と、ロス姐さんの日を選ばなかったことを激しく後悔したのでありました。
まあ、前回の「ボレロ」を見たのが震災復興ガラでのギエム様ですから...あの「国鎮め」儀式にも等しかった稀代の舞台と比べるのは酷だとしても。 それにしても....無念である(いろんな意味で)
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
第85回アカデミー賞で四冠 監督賞、撮影賞、作曲賞、視覚効果賞
ほとんど事前知識なしに見にいったら、想像してたのと全然違いました....
ネタバレになるから詳しくは書きませんが、この作品って、言わばマトリョーシカのよう。
一番外側の柄と、パカっと割って出てくる中の柄は全く別ものですが、中の柄というか絵が違うということも「これがマトリョーシカである」ということ自体を知らなければ想像がつかない。
そして大多数の観客はこれがマトリョーシカであることを知らず、外見(=圧倒的な3D映像)に対する好き嫌いの感想で終わっているのが実情であるようです。
まず準主役?のトラが出てきた時に思ったのは「ナルニア王国」のアスラン(ライオン)と似てるってこと!
...と思ったらやっぱり、トラや他の動物のCGもナルニアシリーズと同じ会社が制作してたのでした!!
宗教性を内包している点でも「ナルニア」との相似を強く感じたけれど。
3Dという見た目の眩さや海難事故がトピックとなることから、「アバター」や「タイタニック」と対比する評なども見たけど、全くもって「バカか?!」としか言いようがない。
しかし、あまりにも手が込んでいるため、一回見ただけでこれがマトリョーシカであると気づける観客ってどのくらいいるんだろう? そしてそういう難解さって映画作品としてはどうなんだろう?とも思ってしまいます。
私は見終わってなんとなくモヤモヤ感がぬぐえず、帰宅してからネット評を読みまくり、ようやく「...なるほど、そうだったのか!」と腑に落ちました。というか背筋がぞっとしました。
予告編やCMの印象で、てっきり「海洋漂流譚&少年成長モノ」と思いこみ、長男と一緒に行った私がバカでしたわ.... っていうか、日本の配給会社がよく使う作品の本質とかけ離れたアホな宣伝、いい加減にやめてくれ!(怒)
...でもググッてたら、大阪では更に「トラと生きる」という宣伝コピーと共に阪神タイガースのキャラと映画のトラが写って合同キャンペーン?を行ったという記事を見つけて爆笑してしまった...そこまでするか20世紀フォックスよ...いや観客動員にはそこまでするってある意味アッパレと言うべきなんだろうか...むむむ ちなみにアカデミー効果もあってか渋谷の映画館は満席でしたけど。
というわけで、まだちゃんと私の中では消化しきれていませんので、原作をまずは読もうかと思っています...
しかしアン・リー監督はやはりただものではなかったわ!(ってあたり前だわよね)
アン・リー監督へのインタビュー:
http://mantan-web.jp/2013/01/28/20130128dog00m200002000c.html