『大和ハウス、1億4千万円所得隠し 追徴課税は約4億円の見込み』
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110531/crm11053119130034-n1.htm
MSN産経ニュース 2011.5.31 19:12
『申告漏れ:大和ハウスが4億2300万円』
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110601k0000m040031000c.html
毎日新聞 2011年5月31日 18時56分
子会社への無償支援行為、紹介手数料の支払について法人税の申告漏れがあったとされた事案。
・大阪国税局に法人所得約4億2300万円及び消費税約2億1700万円の申告漏れを指摘されたのは大和ハウス工業(大阪市)。
・同社は中国子会社に無償提供した図面設計ソフトについて、ソフトの制作費用約7300万円について経費計上していたが、同国税局に経費計上ができない「寄附金」との認定を受ける。
・その他、建設工事受注のため情報提供者らに払った手数料約6400万円も経費計上できない「謝礼金」と認定。
・結果、2010年3月期までの6年間で法人所得約4億2300万円の申告漏れ、うち約1億4500万円は仮装・隠蔽行為があったとして重加算税の対象となる所得隠しと判断された。
・その他、消費税約2億1700万円の申告漏れもあり、追徴課税は重加算税も含め約4億円になった模様。→同社はすでに修正申告済み。
親会社が子会社に対して行う支援行為は、子会社再建等の合理的な理由がなければ費用計上(損金算入)できない「寄附金」と認定されます。
支援行為には金銭による単純な支援から今回のような無償で行う資産の譲渡や貸付金利の優遇等の経済的利益も含まれます。
ただ、昨年の税制改正で100%親子間の寄附なら、親会社側で費用計上(損金算入)できない代わりに、子会社側でも収益計上(益金算入)しなくてよいこととされています。
(保有有価証券の帳簿価格の寄附修正等の一定の税務処理が必要な場合はありますが)
<参考記事>
寄附金の損金不算入制度
また、謝礼金についてはおそらく交際費認定が行われたものと推測されます。
交際費は資本金額が1億円以下の中小企業等では年間600万円まで(600万円のうち10%は損金不算入)は損金算入が認められていますが、資本金額の大きい上場企業等ですと、その支出額全額が損金算入できません。(一人当たり5000円以下の飲食代を除く)
さて、紹介営業のための謝礼金が交際費に当たるとの指摘ですが、租税特別措置法関係通達では以下の要件を満たす情報提供料に関しては、交際費にしなくてもよいことが記載されています。要約すると事前に情報提供契約を紹介者と締結しておけということですね。
推測にしかすぎませんが、今回の事案では紹介を受けたあとで(後付けで)契約を締結したことが発覚し、その情報提供契約書自体が偽造→仮装・隠蔽にあたると認定されてしまったのではないでしょうか。
通常の商取引では紹介してくれるかどうかは、実際に紹介してもらえるまで分からないというケースが多いように思いますので、少し酷な通達と感じます。
租税特別措置法関係通達61の4(1)-8
(情報提供料等と交際費等との区分)
法人が取引に関する情報の提供又は取引の媒介、代理、あっせん等の役務の提供(以下61の4(1)-8において「情報提供等」という。)を行うことを業としていない者(当該取引に係る相手方の従業員等を除く。)に対して情報提供等の対価として金品を交付した場合であっても、その金品の交付につき例えば次の要件のすべてを満たしている等その金品の交付が正当な対価の支払であると認められるときは、その交付に要した費用は交際費等に該当しない。
(1) その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
(2) 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
(3) その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。
(注) この取扱いは、その情報提供等を行う者が非居住者又は外国法人である場合にも適用があるが、その場合には、その受ける金品に係る所得が所得税法第161条各号又は法第138条各号に掲げる国内源泉所得のいずれかに該当するときは、これにつき相手方において所得税又は法人税の納税義務が生ずることがあることに留意する。
交際費の理論と実務
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