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2014年最初のブログを
この悲しいニュースで始めていいものかと
迷いましたが、今後中南米に旅行される日本人の
皆さんの少しでも参考になり、
いたたまれない事件が減ることを願って
ここに記録しておきます。


以下「朝日新聞デジタル」1月4日配信


南米エクアドルで昨年12月28日、
日本人夫妻が銃で撃たれ、夫が死亡し、
妻が重傷を負う事件が起きた。
現地からの報道によると2人は新婚旅行中で、
タクシーに乗った後に襲われたとみられる。
捜査当局は8人以上が事件に関わったと見ており、
5万~10万ドルの懸賞金をかけて
情報提供を呼びかけている。


事件が起きたのは、エクアドル最大の都市グアヤキル。
地元紙によると、ヒトミ・テツオさん(30)が死亡し、
サトミ・マリコさん(27)が重傷を負った。
マリコさんは病院で治療を受けているが、
命に別条はないという。


報道によると、2人は28日夜、
市北部にある宿泊先のホテルから別のホテル内にある
レストランへ食事に行った。
午後10時すぎにレストランを出て、
路上でタクシーを呼び止めて乗車したという。

目撃者の話では、市南部の路上に
黄色いタクシー2台が到着し、
発砲音の直後に立ち去った。
その後、路上に横たわる2人に気づいた
住民が通報したという。


グアヤキルはガラパゴス諸島への経由地でもあり、
訪れる観光客は多い。
一方で殺人や誘拐、強盗などが多発しており、
日本の外務省は危険情報を出して、
渡航にあたっては十分注意するよう呼びかけている。


タクシーを利用した際に強盗にあったり、
金品を要求されたりする犯罪は南米各地で起きており、
「特急(短時間)誘拐」と呼ばれている。
日本外務省によると、
エクアドルでは2012年上半期に
811件の誘拐事件が発生。
うち約3割が、グアヤキルを含む都市部でのタクシーを
使った「特急誘拐」だった。
10年にも、複数の日本人が被害に遭っているという。



以上抜粋終わり。



「南米各地でタクシーを利用した強盗が起きており」
とありますが、これは南米に限ったことでは
ありません。



Bacchus(バッカス)を捜して♪
「タクシー強盗は僕のプライドまで奪っていった」



35歳から始める世界一周
「タクシー強盗に遭いました」





またsecuestro exprés
(セクエストロ・エクスプレス:特急誘拐)は
コロンビアではPaseo Millonario
(パセオ・ミジョナリオ:金持ちの散歩)
と呼ばれています。

これはタクシーとは限りませんが、
エスコポラミナ(スコポラミン)という薬物と
車を使った犯罪で、
エスコポラミナを使用された被害者は
車で連れまわされ、
強盗に言われるがまま、
あちこちのATMでお金をおろしてしまう
ことからこの名が付けられました。


エスコポラミナという薬物は
日本ではほとんど知られていないようですが、
南米では犯罪によく使用される、
非常に危険な麻薬の一種です。
自白剤などにも使われ、
これを吸い込むと意識がもうろうとし、
何でも言われるがままに行動してしまい、
さらにその間の記憶がまったくなくなっている
そうです。

原料は朝鮮アサガオやコロンビア原産の
borrachero(ボラチェロ)という植物で、
人の自由意思を奪い完全な奴隷にすることを
可能にし、被害者に一切の記憶を残さず
犯罪を行うことができると言われています。


詳しくはこちらを↓

人間をゾンビに変える薬スコポラミンの恐怖





ここまでは事実ですし、
このようなニュースを見聞きした
日本の方が「中南米は恐ろしいところだ」
と思ってしまうのも無理のない
ことかもしれません。


ネットでは
中南米を「北斗の拳」のような無法状態、
とイメージしたり、
「新婚旅行でなぜエクアドルなんかに行ったのか」
「自業自得」
という、エクアドルを新婚旅行先に
選んだこと自体を非難し、
被害者の方を誹謗中傷するような
コメントも見受けられます。


エクアドルに関しては
ちょうど事件があった年末にエクアドルに
滞在していたバックパッカーの
金丸さんがブログを書いています↓

金丸文武 世界放浪日記
「日本人が殺された」



またエクアドル在住のツアーガイド・あんりさんが
詳しい考察を書いてくれていますので、
そちらをご参考下さい↓

ガイドブックに載っていない
「マチュピチュ・ウユニ・ガラパゴス」
101の楽しみ方
「エクアドルは危ないのか?日本人殺人事件」




あんりさんの記事を読んでいただければ
おわかりのように、
日本ではまるで
「中南米ではしょっちゅう起きている」
ことかのように報道されている
今回の事件ですが、
本当はそうではなく、
政府が2000万円の賞金をかけて
犯人逮捕に尽力しようとするほどの
「異例」な事件なのです。


「特急誘拐」自体は異例ではありません。
中南米に限らず、
海外ではスリ、置き引き、
強盗などは珍しいことではなく、
1年、2年の長期バックパッカーで
一度も被害に遭ったことがない人がいれば、
それはかなりの強運の持ち主です。


異例なのは「特急誘拐」の後に
被害者を殺害していることです。


エクアドル内務省の
ホセ・セラーノ副大臣も
日本のメディアとの会見で
次のように述べています。

Es muy extraño que maten a una persona
en un secuestro de este tipo.
(このような(特急誘拐)事件で人が殺害されるというのは
非常に異例なことだ)

ホセ・セラーノ副大臣の会見(スペイン語版)

ホセ・セラーノ副大臣の会見(日本語版)



特急誘拐のような犯罪は
スピード勝負です。
普通は被害者を暴行していたぶったり、
殺したりすることはありません。


特急誘拐にしろ、
街中のナイフやピストル強盗にしろ、
満足がいくだけのお金や
貴重品が手に入れば、
少しでも早く逃げたいので、
暴行したり殺害したりはまずしないことが
ほとんどです。



ではどういう場合に
殺害が起こり得るか。



1.被害者と加害者が顔見知りで恨みがあった場合

2.加害者の身元がわかる情報を
被害者が知ってしまった場合

3.被害者が抵抗した場合



1と2は日本人旅行者とは
あまり関係がないと思いますが、
日本人旅行者がよくやってしまいがちなのが3です。


(今回の事件の被害者の方も
強盗に抵抗したと言われています)


メデジンにやって来るバックパッカーの
皆さんのお話を聞いたり、
世界一周ブログなどをのぞいていると、
意外に強盗相手に素手で戦って
金品を死守した、という方がけっこういます。
なかには奥さんや彼女と
一緒にいる時にそういう場面に遭遇し、
抵抗している方もいます。


正直、
とても怖いな、と思います。。。


強盗をはたらく人の中には
もちろん手馴れたプロもいるでしょうが、
多くは緊張でガチガチになった10代、
20代の若者です。
警察が来たら、
自分が殺される可能性もあります。

少しでも早く「仕事」を終えたいのに、
被害者が思うとおりに動かなかったり、
抵抗してきたりしたら、
頭に血がのぼって、撃ってしまっても
おかしくありません。


抵抗してきた男の横に
女性がいたら?

「仕事」がうまくいかなかった腹いせに
その女性の方を撃ったり、
刺したりしてもおかしくありません。



もちろん、
このような緊迫した強盗ではなく、
スリやちょっとした盗難、
詐欺などの場合は、
ねばること、あきらめないことで、
自分の荷物を取り返すことが
できた人もいます。


金丸文武 世界放浪日記
「iPhoneを盗まれた日 前編」




世界のどこかで会いましたよね?
「バックパックを盗まれる。そして」


「一つ言わせて」


でもこの場合は上の
ブログを読んでいただければ
わかるように、相手は武器を持っていません。
「強盗」ではなく、「盗難」です。


相手が複数で、武器を持っていた場合、
それは「本気」の強盗です。


どんなに腕に覚えがある人でも、
どんなに大切な貴重品を持っていても、
どんなに頭に血がのぼっても、

自分の、そして隣りにいる大切な人の
命が惜しければ、
無茶をせず、安全を第一に行動して下さい。

(もちろん相手が一人でも!)

お金はまた稼げばいい。
思い出はまた作ればいい。
でも命は返ってきません。


それがテツオさんが尊い命を犠牲にして、
私達に教えてくれた教訓だと思います。

新婚旅行という一番楽しい時に最愛の人を失った
マリコさんの気持ちを思うといたたまれません。。。



そして気をつけていても、
巻き込まれる時は巻き込まれてしまうのが
犯罪ですが、
注意で防げることもたくさんあります。


以前書いたこちらのブログを
ご参考下さい↓


「メデジンの治安」



特に「事前リサーチをしっかりする」
は大切かな、と思います。

コロンビアを始め中南米の街の多くは
「危険な場所」と「安全な場所」が
はっきり分かれています。

どこなら散歩しても安全で、
どこには絶対行ってはいけないのか。

また昼間は安全でも夜になると
「危険な場所」になる場合も
珍しくありません。


ホテルやレストランのスタッフや
警察官、現地に住んでいる日本人などに
質問すれば、教えてくれますし、
大きい町ならネットで情報を検索することも
できるはずです。


ちなみにメデジンのセントロ(中心部)というのは
とても治安がよくない地域です。
安宿があるにはありますが、
ローカルの人向けの連れ込み宿で、
外国人バックパッカーが利用するような場所ではなく、
そういう宿に外国人が泊まったり、
夜に外をウロウロすれば、
「襲って下さい」
と言っているようなものです。
昼間でも大きい荷物を持ってきょろきょろすれば
まさにネギをしょったカモです。

メデジンはコロンビア第二の大きな都市です。
シェラトンなどの高級ホテルもあれば、
安全な地域にある安宿もたくさんあります。
繁華街に近いPoblado(ポブラド)や、
メトロのEstadio(エスタディオ)駅の近くには
安全で快適で安い宿がいくらでもあります。
ネットでちょっと検索すれば
簡単に手に入る情報なので、
労を惜しまず、安全な地域に泊まって下さい。


メデジンで日本人バックパッカーが
よく利用しているのはエスタディオ駅に近い、
「オスタル・メデジン」という宿です。


Hostal Medellin



最後にもう一つ。

今回のようなニュースが報道されると

「日本人は平和ボケしてるから
海外で事件に巻き込まれる」

「海外は危険、国内は安全なのに
なぜわざわざ危ないところへ?」

という論調がでてくるのですが、
本当にそうなのでしょうか。


皆さん、
海外で殺される日本人が、年間何人くらいいるのか
ご存知ですか?

日本国内で殺される人と
比較して、多いのでしょうか?


そう思って検索してみると、
ちょうど同じことを思って、
調べた方がいらっしゃいました↓

「日本人は平和ボケしてるから
海外で殺される?」





海外で殺される日本人の絶対数は、
毎年10人前後、
海外に出国した人の内、殺されてるのは
120万人に一人に過ぎません。


一方で、国内の殺人による死亡者数は1998年で
808名、2011年は409名ですから、半分になっています。
半減した今でさえ、
国内で殺される人は31万人に一人です。


21世紀の国際社会を生き抜く上で、
情報メディアを主体的に読み解き、その真偽を見抜く、
メディア・リテラシーは必要不可欠な能力です。
「安心しすぎ」はもちろんよくありませんが、
日本の皆様にはメディアやネットのセンセーショナルな
イメージに踊らされず、
自分の目と足で中南米を知っていただきたいです。


そしてその豊かな文化や温かい人々との
出会いを思い切り楽しんで、
無事に帰国してくれることを
心から願ってやみません。


亡くなられたテツオさんのご冥福と、
奥様の快方をお祈りします。




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