∞イケメン・ジョニーはスーパースター? #43 | ワールズエンド・ツアー

ワールズエンド・ツアー

田中ビリー、完全自作自演。

完全自作、アンチダウンロード主義の劇場型ブログ。
ロックンロールと放浪の旅、ロマンとリアルの発火点、
マシンガンをぶっ放せ!!

〝JACKPOT DAYS〟-image

「ジョニーが天を衝く?!」


 男たちのライヴ・パフォーマンスは白熱を焼き尽くしていた、すでに灼熱と化し会場は炎上している。
 撃つ打音が撃つ打音と衝突して弾ける、音速のマシンガンが音楽になる。弾け合わさるエネルギーは大気を震わし、バンドは支配者として君臨する。
 そのすべての中央、世界のど真ん中にジョニーがいた。
クラクション・アディクター?
 絶叫は喉から放たれた太陽の心臓だった、熱が鼓動する、血液が沸騰し細胞は燃え上がる。いま、彼らはその潜在能力を解放している。
 アルバムに収録されているマジェンタから始まり、フリックスターへと鳴り続く。

 ジョニー。彼の野生とヒトを超えたポテンシャル。ストロークのたびに一閃されるその右腕。速度は斬れ味になる、シンプルな3コードが大気を破壊する。
 唸りをあげるバンドのパフォーマンス、熱狂では済まない観客のボルテージ、双方が持ちうるエネルギーを暴走させていた。

 心優しきパンク・ロッカーたち……ジョニー、ジャック(天野くん)、ヒラサワくん……過程にある彼らはこの時点で最初の最大風速を記録している。
 鈍臭いまでに純粋だ、だが彼らにはウソがない。打算もない。「誰かのために」などという責任転嫁もない。ただただ、ひたすら「瞬間」に燃え尽きる覚悟がある。
 その快楽は希望を生み、さらなる破壊力を生む。地位も名誉も不要だ、彼らには「いま」がある。
 放つ速度と轟音は天を衝くほどのうねりとなる。

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「次行くぞ、アグレシオン!
 ジョニーはマイクロフォンにかじりつく、喉から炎が放たれる。
「ちょ、ジョニー、それは……」
 リストになかった曲タイトル、アルバムに未収録の新曲タイトルを叫んだジョニーを制止するヒラサワくん、しかし、すでにそのイントロが鳴り始めていた。
「やっちまえ」
 準備不足だ、それは分かっていた、だが、天野くんもリズムを撃ち始めた。
 出し惜しみはナシだ、手持ちのカードは全部切ってやる。
「ちっ」
 慌てたヒラサワくんだったがニヤリと不敵な笑みを浮かべた、まったくウチの大将はどうしようもないヤツだ……だからサイコーのバンドになれる。
 ジョニーはリフだけを鳴らしている、しかしなぜか徐々にその速度と音圧が弱くなってゆく。
 背中の炎が薄くなってゆく、後ろで異変に気づいたふたりは不安そうにアイコンタクトを送り合う。
……ジョニーのやつ……。
……やっぱり……。
 ジョニーは完全に演奏をやめ、真っ直ぐに客を睨んだ。左から右、右から左、射抜く目つきで彼ら彼女らを制してからぽつりと言った。
「あ、ごめん……これ……俺まだ弾けないし……歌詞もまだ憶えてないんだった」
 やはりか、天野くん、ヒラサワくんは思う。だが、なぜかその素直な告白さえも巨大なレスポンスとなった、誰もが笑顔だった。
 この日、ジョニー率いるパンクロック・バンド『ザ・シガレッツ』がその伝説の幕を開けた。


<ロックンロールは続いてゆく>


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前回までのおバカさんたち


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