民法が改正され、これまで瑕疵担保責任と呼ばれていた、契約の目的物の不具合等について売主がその責任を負うという法律の定めについて、「瑕疵」が「契約不適合」に改められました。
そのあたりのことは様々なところで公表されていますし、不動産取引においては契約書のひな型はいろいろと出回っています。
ざっくり言ってしまえば、名前が変わった、という程度の取り扱いが不動産取引においても多いようです。
したがって今に始まったことではないのですが、この契約不適合(瑕疵担保)責任について、売買契約書を作成するうえでの注意点があります。
ある程度フィフティの契約であれば、法律に則り、売主は一定期間(一般に、不動産を引き渡してから3ヶ月から2年の間が多い)は契約不適合責任を負うという契約になると思います。
出回っている不動産売買の契約書ひな形もそのようになっています。
しかし、事情によって売主がその責任を負えない場合、また事業者に売却する場合など、売主の契約不適合責任を免除するケースも少なくありません。
その場合に、契約書ひな形の契約不適合責任の条文を抹消するだけのケースが意外と多いのです。
不動産業者の理解が足りないことによるのですが、気を付けなければなりません。
契約不適合責任の条文を抹消しただけでは、「契約不適合に関する定めがない」ということになり、個別の契約に定めがないのであれば、民法が適用されるのです。
民法では、契約不適合(目的物の瑕疵)が発見されてから1年間、売主は契約不適合責任を負うことになります。
つまり、万一その不動産に問題があった場合、修補、代金減額、損害賠償、といった責任を、未来永劫負うことになるのです。
ひな形よりひどいじゃないか!
そうなんです。
通常、不動産売買のひな型でも実務上でも、取引関係をいつまでも引きずるのは望ましくないとの考えから、売主の責任期間は引き渡しから期限を切っています。
しかし、契約書の条文の取り扱いを誤ると、かえって大きな負担を売主さんは負うことになるのです。
どうすればいいのか。
簡単です。
特約として、売主は契約不適合責任を負わない。と書けばいいのです。
ひな形の条文を抹消するだけではだめなのです。
些細な違いかもしれませんが、その法的効果の違いはとても大きいのです。
ご依頼者様からいろいろと売買契約書を拝見してきましたが、しばしば見受けられます。
不動産業者さん、そして売主さん!ご注意ください。
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