「湯を沸かすほどの熱い愛」 | イラストレーター&コミックエッセイスト ハラユキ公式ブログ

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イラストレーター・ハラユキの公式ブログ「スイキョー日記」。主にお仕事紹介&子育て&道楽メモ。旧仕事名カワハラユキコ

 

すんごく久々に映画の感想ですよ〜。

 

 

 

 

銭湯を舞台にした家族愛の物語(去年廃業してすでに取り壊された都内最古級の銭湯「月の湯」などで撮影)。

 

でも正直、いくら私が銭湯が好きだからって、「余命2ヶ月の母親が家族のために奮闘」なんていかにもお涙ちょうだい的な話、全然気が進まない。子育て中だからこそ、そんなの観たくない。タイトルもなんだか暑苦しいし。とはいえ、観た人によれば「想像するような感動もの、お涙ちょうだいものとは違う」とのこと。そして皆、口を揃えて絶賛している。映画賞もどんどんとっていく。というわけで、重い腰をあげて観に行ってみた。

 

結論としては、いや〜泣いた。かなり心をつかまれた。

途中までは、「やっぱ想像してたとおりじゃん!」とブツブツ言いながら観てたし、宮沢りえちゃん演じる「お母ちゃん」の子どものイジメ対応とかが「いやいやそれ雑すぎ!逆効果だろ!」とかいろんなところに違和感があって、むしろドン引きしていた。しかし、真ん中くらいからもうボロ泣き。3度目の報知主演女優賞をこの作品で受賞したりえちゃんの熱演もさることながら、この脚本の巧みさはかなりのものだと思う。この監督、これから要注目だと思ったよ。

 

とはいえ、見終わっても、引っかかる部分はいろいろ残っている。正直言えば、あのラストも個人的にはものすごくグッときたわけでもないし(いやあの昭和映画的なシュールさは嫌いじゃないんだけどさ。。)。でもなんだろう。不思議だけど、いろんな違和感すら、この映画の味であるような気もした。それはたとえば、アクや雑味や苦みが味のアクセントになってる料理のようなかんじ。けっしてこぎれいでもスマートでもないけど、研究を重ねられていて、さらにクセがあるからこそ心に残る、そんな映画だった。そして不思議と、見終わったあとのほうがじわじわきている。いまもこの映画を咀嚼している最中なような気もしている。もしかしたら、今後また感想が変わるかも、というくらいだ。

 

娘ちゃんがいるママにはかなりオススメの映画!もう、なんというか、これでもかというくらいの「娘映画」だから。そして、実は、子どものいない女性にも観てほしい映画でした。

 

 

 

 

<ここからネタバレ感想>

 

 

 

 

あのイジメ対応といい、このお母さんのやりかたいろいろには、私はかなり違和感があった。でも、この人の生い立ちや置かれた状況がわかると、ああ、なるほど。。と納得した。これは立派な子育てをする素敵なお母ちゃんじゃなくて、そういう子育てしかできない女性の姿を描いているんだと思ったからだ。このお母ちゃん、そのほかにも、自分を捨てた母親のガラス窓を叩き割ったり、再会したあの女性をいきなり殴ったり、気丈でしっかりしてるようにみえて、全然自分の感情をセーブできてない。その人間くささがいい。この生まれ育ちで完璧で冷静な母親なほうが嘘くさくて引いてしまうから。とはいえ、イジメがその後どうなったかが全然描かれないのはオイオイと思ったけど(どう考えても、あれでイジメおさまらないだろうしさ!)。

 

あと、もうひとつひっかかった部分。物語の最初から娘ちゃんは「お母ちゃんすごい」扱いしてるけど、前半はそんなすごい様子が描かれてないからその尊敬がいまいちピンとこなかった。いっそ、ダンナ蒸発後もひとりで銭湯を切り盛りしてる(バイトは雇っているけど、すぐにやめていってしまって困ってる)とかの設定にすれば、そのしっかり加減もさらに強まったと思うんだけどな〜。それに松坂桃李演じる青年がらみの話も謎。あそこまで心酔されるには理由も全然足らないし。あの抱きつき方もちょっと唐突すぎだし。そんでオダジョーは死にかけた妻に家事やらせすぎじゃ!!(まあそういうキャラだからしょうがないんだけど)

 

むむ、そういうの書き出すとキリがないな(実はまだまだある)。でも、やっぱり最初に書いたように、違和感も含めてすごい映画だったと思う。でも好みはかなり別れるのかも?

 

 

 

 

 

さーて、今日は、もうひとつの泣ける泣けると評判の映画「この世界の片隅に」を観に行ってくるよ!(このまえぽっちん胃腸炎で予約がパーになったリベンジ!)ぽっちんが観てくれるかがドキドキ。。

 

 

 

 

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