【Pool 小西 利行氏インタビュー③:広告の概念が変わってきた】
CAネットトレンド研究室の独自インタビュー第2弾。
今回は日産自動車 セレナ「モノより思い出」キャンペーン、プレイステーション
「暮らし、イキ!イキ!」キャンペーン、サントリー「伊右衛門」などを手がけられた
コピーライター/クリエイティブディレクター、小西利行氏をインタビューさせていただきました。
第3回 「広告」の概念が変わってきた
Q 「広告」も変わってきてますよね。今までの広告って「わが社も全国放送でテレビCMができるほどの立派な会社になった」っていう、ラグジュアリーというか、ステータスみたいな、部分もありましたよね。
お金持ちになったから、家を建てましたというのと似ていますよね。
「お金持ち企業だけができる広告」というのも、もちろん今もありますけどね。
でも、本来広告は「広く告げる」為のものだから、お金持ちかどうかは関係ないですよね。
そういう意味でいうと、インターネットはそういう世界になるのを後押ししていますよね。地方の小さな企業がグーグルの検索結果に広告を出すことで全国で売れていったように。
それで、大企業の人達がビックリしている。テレビで聞いた事がない名前の企業が売れているのはなぜだ!っていうのがおきている。
そういう意味で、インターネットが変えたことは大きいですよね。
Q クリエイターのコミュニケーション戦略の立て方も変わってきた?
もう、少し昔の話になりますけど、広告メディアって基本的に固定されていましたよね。まだ固定して考えている人たちも多いけど(笑)。テレビ、新聞、雑誌、ラジオ。予算配分をそれぞれいくらって決まって、あとは、その固定されたメディアの中で何をやるかという世界だったんですよ。
僕がよく言うのは、メッセージは「伝える」ではなく、「伝わる」でなければならない。
言いっぱなしではなくて、常に受け手に「伝わる」方法を考えないといけないんです。
でも、「予算20億円でTVやります。」という「箱」が既に決まっているならば、あとはその箱の中身が重要ということになりますよね。そこでのクリエイティブプランの競争になる。
でも、箱が決まっていない、縛られていない立場だと、もっと自由ですよね。
一番伝わるメディアを、っていうか、もはやメディアではないかもしれない何かの伝わる箱を考えて、さらに、そこで、一番伝わるクリエイティブを考えたら、最強だよなぁ、って思いますね。
今までだったら、とにかくまずテレビCMがあってということだと、お金持ちしかできなかったコミュニケーションの枠組みを、Googleに代表される、いろんな新しいものが壊していっているわけですよね。
こないだの都知事選の外山恒一とか。
Youtubeでの視聴回数すごいですよね。あれをTVの媒体費用に換算したら何億だよ?っていう世界ですよね。
ああいうのを見ちゃうと、ああいうことはマスメディアにはできないって思っちゃう。なので逆に、マスメディアにひもづいたクリエイティブは、マスメディアを使わなければ、ゼッタイにできないだろ! っていうくらい、振り切った方が良いだろって思いますよね。
豪華絢爛な。もう、ホームランしか狙いません、みたいなバッターですよ。
もう、ドーピングしまくりのスーパーマンです。
「僕のホームランは、飛びますよ。何しろ筋肉1本1本に金かかってますから」みたいな。
Q そういう、大きなしかけはマスメディアにしかできませんね。
情報を短期間で爆発させるにはやっぱりマスですよね。
長期的に何かを育てていくのであれば、必ずしもマスではないのかなと。
Q ところで、最近、情報の消費スピードが異常に早くなったって思いませんか。
ヒット商品のサイクルとか、もうどんどん短くなっていってる。せわしないというか。
なんでですかね?
流行商品もそうだし、はやり言葉とかも、どんどん変わっていって。
良く言われるのが、新発売の飲料の生き残りは発売開始の最初の3日の売れ行きで決まるということ。
たった3日ですよ。それで驚いていたら、でも本当は、ほぼ発売初日で決まっちゃうみたいです。
コンビニで初日の売れ行きが悪いと、「あ、これはもう駄目だな」ということになって、でも、とりあえずコンビニでも我慢して3日だけは置いて、それでガバっと棚から外されてしまう。
そういう、超垂直立ち上げが必要な商品に関しては、マスのキャンペーンがゼッタイに必要かも知れないですね。
Q 最近だと、キリンザゴールドとか、すごいオンエア量でした。
そうですね。「そんなにやるのかー」って位やってましたからね。
TV使うんだったらあれくらいやらないと。極論いうと、そういうことなのかもしれません。
僕は、サントリーの、ザ・プレミアム・モルツってのを担当してるんですけど、モンドセレクションの最高金賞を3年連続でとって、それをドカーンと広告したら、やはりもの凄く世の中が反応して、もの凄く売れてるし、それをきっかけにマス以外にも情報が拡散していってるんですよね。マスとインターネットの情報の相互作用とかも考えて行く必要があるな、と思いましたね。あ、すいません、こんなとこで広告して(笑)。
「ガスパッチョ」みたいに、商品との関係は正直薄いけど、とにかく面白いよねーって言うやつをやって、ネットでも話題を稼ぐみたいなのも、気になるし。
Q ああいう公共インフラをになう、ガス会社とか電力会社とかは、面白いCMが比較的多い気がするんですよ。なにしろ、ピークの需要期である夏場に「自社製品をあまり使わないでください」というメッセージを伝えるのに、毎年お金をかけて発信する企業って面白いですよね。
不思議な感じがしますよね。確かに。
面白いのならいいんじゃないですか的な余裕を感じます。
今までマス広告は、放送すればぜったい視聴者に伝わるものっていう感覚があったとおもんです。それのお陰で「言いたいメッセージ全部をどうやって15秒に詰め込もうか?」
という風に皆でがんばってたわけですよね。
それが「むりやり詰め込んでも何も伝わらない」ということになって、「面白ければいいんじゃない?」という姿勢でつくったほうが、むしろ商品への興味関心も高まる、みたいなね。そういう情報の伝わり方もこれからは大切かもしれませんね。
(了)
【関連】
【Pool 小西 利行氏インタビュー①:先端クリエイターの最近の仕事】
【Pool 小西 利行氏インタビュー②:自由自在に動けるという身軽さ】
【Pool 小西氏インタビュー④:情報が増えると人間も変わるのか?】|CAネットトレンド研究室ブログ
今回は日産自動車 セレナ「モノより思い出」キャンペーン、プレイステーション
「暮らし、イキ!イキ!」キャンペーン、サントリー「伊右衛門」などを手がけられた
コピーライター/クリエイティブディレクター、小西利行氏をインタビューさせていただきました。
第3回 「広告」の概念が変わってきた
Q 「広告」も変わってきてますよね。今までの広告って「わが社も全国放送でテレビCMができるほどの立派な会社になった」っていう、ラグジュアリーというか、ステータスみたいな、部分もありましたよね。
お金持ちになったから、家を建てましたというのと似ていますよね。
「お金持ち企業だけができる広告」というのも、もちろん今もありますけどね。
でも、本来広告は「広く告げる」為のものだから、お金持ちかどうかは関係ないですよね。
そういう意味でいうと、インターネットはそういう世界になるのを後押ししていますよね。地方の小さな企業がグーグルの検索結果に広告を出すことで全国で売れていったように。
それで、大企業の人達がビックリしている。テレビで聞いた事がない名前の企業が売れているのはなぜだ!っていうのがおきている。
そういう意味で、インターネットが変えたことは大きいですよね。
Q クリエイターのコミュニケーション戦略の立て方も変わってきた?
もう、少し昔の話になりますけど、広告メディアって基本的に固定されていましたよね。まだ固定して考えている人たちも多いけど(笑)。テレビ、新聞、雑誌、ラジオ。予算配分をそれぞれいくらって決まって、あとは、その固定されたメディアの中で何をやるかという世界だったんですよ。
僕がよく言うのは、メッセージは「伝える」ではなく、「伝わる」でなければならない。
言いっぱなしではなくて、常に受け手に「伝わる」方法を考えないといけないんです。
でも、「予算20億円でTVやります。」という「箱」が既に決まっているならば、あとはその箱の中身が重要ということになりますよね。そこでのクリエイティブプランの競争になる。
でも、箱が決まっていない、縛られていない立場だと、もっと自由ですよね。
一番伝わるメディアを、っていうか、もはやメディアではないかもしれない何かの伝わる箱を考えて、さらに、そこで、一番伝わるクリエイティブを考えたら、最強だよなぁ、って思いますね。
今までだったら、とにかくまずテレビCMがあってということだと、お金持ちしかできなかったコミュニケーションの枠組みを、Googleに代表される、いろんな新しいものが壊していっているわけですよね。
こないだの都知事選の外山恒一とか。
Youtubeでの視聴回数すごいですよね。あれをTVの媒体費用に換算したら何億だよ?っていう世界ですよね。
ああいうのを見ちゃうと、ああいうことはマスメディアにはできないって思っちゃう。なので逆に、マスメディアにひもづいたクリエイティブは、マスメディアを使わなければ、ゼッタイにできないだろ! っていうくらい、振り切った方が良いだろって思いますよね。
豪華絢爛な。もう、ホームランしか狙いません、みたいなバッターですよ。
もう、ドーピングしまくりのスーパーマンです。
「僕のホームランは、飛びますよ。何しろ筋肉1本1本に金かかってますから」みたいな。
Q そういう、大きなしかけはマスメディアにしかできませんね。
情報を短期間で爆発させるにはやっぱりマスですよね。
長期的に何かを育てていくのであれば、必ずしもマスではないのかなと。
Q ところで、最近、情報の消費スピードが異常に早くなったって思いませんか。
ヒット商品のサイクルとか、もうどんどん短くなっていってる。せわしないというか。
なんでですかね?
流行商品もそうだし、はやり言葉とかも、どんどん変わっていって。
良く言われるのが、新発売の飲料の生き残りは発売開始の最初の3日の売れ行きで決まるということ。
たった3日ですよ。それで驚いていたら、でも本当は、ほぼ発売初日で決まっちゃうみたいです。
コンビニで初日の売れ行きが悪いと、「あ、これはもう駄目だな」ということになって、でも、とりあえずコンビニでも我慢して3日だけは置いて、それでガバっと棚から外されてしまう。
そういう、超垂直立ち上げが必要な商品に関しては、マスのキャンペーンがゼッタイに必要かも知れないですね。
Q 最近だと、キリンザゴールドとか、すごいオンエア量でした。
そうですね。「そんなにやるのかー」って位やってましたからね。
TV使うんだったらあれくらいやらないと。極論いうと、そういうことなのかもしれません。
僕は、サントリーの、ザ・プレミアム・モルツってのを担当してるんですけど、モンドセレクションの最高金賞を3年連続でとって、それをドカーンと広告したら、やはりもの凄く世の中が反応して、もの凄く売れてるし、それをきっかけにマス以外にも情報が拡散していってるんですよね。マスとインターネットの情報の相互作用とかも考えて行く必要があるな、と思いましたね。あ、すいません、こんなとこで広告して(笑)。
「ガスパッチョ」みたいに、商品との関係は正直薄いけど、とにかく面白いよねーって言うやつをやって、ネットでも話題を稼ぐみたいなのも、気になるし。
Q ああいう公共インフラをになう、ガス会社とか電力会社とかは、面白いCMが比較的多い気がするんですよ。なにしろ、ピークの需要期である夏場に「自社製品をあまり使わないでください」というメッセージを伝えるのに、毎年お金をかけて発信する企業って面白いですよね。
不思議な感じがしますよね。確かに。
面白いのならいいんじゃないですか的な余裕を感じます。
今までマス広告は、放送すればぜったい視聴者に伝わるものっていう感覚があったとおもんです。それのお陰で「言いたいメッセージ全部をどうやって15秒に詰め込もうか?」
という風に皆でがんばってたわけですよね。
それが「むりやり詰め込んでも何も伝わらない」ということになって、「面白ければいいんじゃない?」という姿勢でつくったほうが、むしろ商品への興味関心も高まる、みたいなね。そういう情報の伝わり方もこれからは大切かもしれませんね。
(了)
【関連】
【Pool 小西 利行氏インタビュー①:先端クリエイターの最近の仕事】
【Pool 小西 利行氏インタビュー②:自由自在に動けるという身軽さ】
【Pool 小西氏インタビュー④:情報が増えると人間も変わるのか?】|CAネットトレンド研究室ブログ