【Pool 小西 利行氏インタビュー①:先端クリエイターの最近の仕事】 | CAネットトレンド研究室ブログ

【Pool 小西 利行氏インタビュー①:先端クリエイターの最近の仕事】

CAネットトレンド研究室の独自インタビュー第2弾。

今回は日産自動車 セレナ「モノより思い出」キャンペーン、プレイステーション
「暮らし、イキ!イキ!」キャンペーン、サントリー「伊右衛門」などを手がけられた
コピーライター/クリエイティブディレクター、小西利行氏をインタビューさせていただきました。


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第1回 最近こんな仕事もしています


Q:今日はよろしくお願いします。昨年、博報堂から独立して仕事に変化ありましたか?

そうですね。広告のコピーを書くという仕事がもちろん中心ですけど、意外とそれとは違う相談やら依頼やらが増えてます。たとえば、具体的な名前は出せませんけど、結構有名なミュージシャンから、今後の展開の方向やコンセプトを一緒に考えて欲しいとか、Bugs Under Grooveっていう有名なダンスグループから、今後の芝居について考えてほしいとか。今、それで脚本、書いてるんですけど。

コアファン層には十分にウケているけど、それよりもっと広く浸透しなくて悩んでいるケースの相談相手としての依頼です。

今までだったら、「私のつくりたいものがコレです。わかる人だけ買ってください」というアプローチでやってきたジャンルのところでも、ユーザーが求めているものを考えて、時代性と自分たちをどうやってマッチさせるかという、広告的発想、あるいは、マーケティング発想的をするようになってきているんですね。

それで、たとえば僕のところに相談にきたりする。仕事の幅は広がってきていると思います。
世の中的に、あらゆるジャンルで、そろそろ取り組まないといけないっていう雰囲気になってきているのかな、と。

Q:たしかに広告会社出身のクリエイターが、メディアを使う広告以外のことも手がけるケースは増えていますね。

佐藤可士和さんなんか、まさにそうだと思います。アウトプットはCDジャケットのデザインだったり、商品そのものだったり、企業のロゴだったり。必ずしも「広告」とは限らない。でも、単にCIをつくる、という目的だけでやっているのではない、もっと深いところでの、企業や団体の進むべき道を決めていく相談相手のような役目を果たしているような気がします。

Q:ある意味、コンサルタント的だったり、カウンセラー的だったり。

そうですね。例えば、雑誌社からも企画の相談とかきますからね。

今まで相談しないで自分たちでつくりたいものをつくってきた人たちにも、コミュニケーションの方向を相談したいという欲求が生まれてきているのかもしれません。

この間も、フューチャーテキストの前田さんと話した中で、「世の中には、将来こうしたいとか、イメージは思っているんだけど、なかなか言葉にできないっていうケースが多い。コピーライターのように、概念を言葉にできるっていうのは凄い価値なんだ」っていう話になったんですよね。僕は最近それをすごく感じるんですよ。

この間、ある経営者の人と話したんですけども、その時もカウンセラーみたいな感じで。
話を聞いているうちに「社長が言ってるのって、つまりこういう言葉じゃないですか?」 って言ったら「そうそう、まさにそれなんだよ」っていう風になって。

企業のコミュニケーション領域でそういうコンサルタント的なプロが不足してるんじゃないかなと。
大貫さんや可士和さんは、デザインで回答を出すわけで、僕の場合は言葉になるわけです。

Q それって、でも博報堂にいたときの仕事と違うのかな?

本質的には一緒でしょうね。

でもやっぱり、既成概念を壊す仕事といいながら、既成概念にとらわれていたんだなぁと思うところはあります。
広告会社の場合、オリエンもらったら、そのオリエンへの回答を「広告」で返さなきゃいけないんですよね。

でも独立すると、そういうのは無いじゃないですか。無理に「広告」で返す必要がない。
相談にのって、状況を整理して、1行の言葉に集約させて、終わりというケースもあれば、演劇の脚本を書くケースもあれば、歌詞を書くケースもあるかもしれない。

広告でなくてもいいんですよね。

Q 広告会社にいるときは「広告をつくってください」というオリエンから仕事が始まるのが、今は「何となくモヤモヤしてるんですけど」というオリエンというか、相談から始まる仕事もある、ということ?

広告を作るって既に決まっている段階で企業からオリエンを聞く場合、もうそれは悩みとしては、既にその企業の中でかなり整理されているんですよ。自分たちの課題や悩みがある程度、把握できているからこそ、オリエンできるわけです。

「これこれこういうことを、広告としてやりたくて」っていう風にオリエンをもらって、それを広告会社は、「そのオリエンでしたら、こう表現したら効果的ですよ」と、広告表現という回答を返していくという仕事のサイクルじゃないですか。

 「今年も花粉症で鼻水が出るんで薬ください」というオリエンで「今年はこの薬がいいですよ」という回答をかえす、そんな感じです。

 もしくは、建てる家の設計は決まっていて、内装プランを提案してくれみたいなね。
一方で、それより前の、もっと整理されていない悩みというか「なんか最近調子が悪くて・・・」という段階で、企業が相談をできる人が少ない。

広告会社だと、その回答が、基本的に「広告」になっちゃう。もちろん、広告会社には違う方法での解答も存在するし、それを模索していると思うけど、なんだかんだ言ってもやっぱり「広告」が核になることが多い。

でもフリーのコピーライターやアートディレクターだと、必ずしも「広告」である必要がない。だから「なんとなく」の段階でも相談できるんじゃないですかね。
まだモヤモヤの原因が分かっていないものを、整理してピックアップするのに僕らは便利がられる。

なんとなく、調子が悪いなぁと言われた時に、「あなたがモヤモヤして気分が悪いのは、最近、異性とのコミュニケーションが足りないからです!」とか、言える人。

その時に「じゃどうすればいいんですか?」と聞かれると思うので、
答えが「いや、知らないです。それはあなたが考えてください」ではダメで、「まずヘアスタイルから変えましょう」とか「金曜日に合コン、セッティングしますよ」とか、より具体的でその症状にあった対処法もあわせて提案する(笑)。そういう風に、答えまで用意できるのがコピーライターとかアートディレクターなんだと思います。

(了)

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