自ら創業した会社を離れて、何がやりたいのか。何のために働くか。 | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

自ら創業した会社を離れて、何がやりたいのか。何のために働くか。

昨日、株主総会があった。

僕の役割変更(代表取締役会長からただの取締役に)が正式に決定された。

そのあと、レアジョブの東京オフィスで壮行会を開いてくれた。

そこで最後にみんなに言ったことは次の通り。

 

・・・

 

レアジョブのグループビジョンは"Chances for everyone, everywhere."

レアジョブ英会話のサービスミッションは「日本人1,000万人を英語が話せるようにする」

 

たくさんの会社が、ミッション・ビジョンを策定し、社内に浸透させようとする。
それはなぜかというと、うまく経営するためだ。

ミッション・ビジョンが浸透していた方が、人が集めやすく、PRしやすく、効率的に経営できるんだ。
だけれども、僕はその順番が逆。
ミッション・ビジョン、つまり社会に意義のあることがやりたいってのが先に来る。
そして意義のあることを行うときに最も効率のいい手段が、大きな組織やNPOで働くことではなくて、起業や経営だと思っている。
 
じゃあなぜレアジョブを離れるのか。レアジョブのミッションを諦めたからか。
そうではない。

創業者たちだけの組織から、10人、20人、200人。

僕の立場も日比両方の社長から会長へ。
権限移譲を繰り返し続けた。

その結果、気づいてしまったのだ。

もはや僕がいなくてもこの会社はミッションの実現に向け歩み続けるだろう。

そして思ってしまったのだ。
僕は僕にしかできないことがしたい
 
僕にしかできないことはなんだろうか。
日本に上場社長を経験したことのある人は数百人いる。
そのうち、ビジネスレベルで英語話せる人は百人いてもおかしくない。
だが、フィリピン人を肌感覚で知っている人は僕しかいないだろう。
 
フィリピン x スタートアップで何か自分にできないだろうか?
先日の自分の役割変更を発表してから、色々と調べ始めた。
非効率な法制度や税制度、脆弱なインフラ、スタートアップへのシードマネー供給に乏しい。

問題は山積みだった。
だが一番欠けていると思ったのは、上場しているネット企業が一社もないこと。
ヤフーも楽天もCAもDeNAもどこも上場しているネット企業がない、そんな日本を想像して欲しい。
VCはスタートアップに投資したいと思うだろうか?
起業しやすい環境づくりが重要だと政府は思うだろうか?
大企業ではなくレアジョブのようなスタートアップで働こうと皆さんは思っただろうか?
 
どうやら、インターネット分野で上場社長経験のある人はフィリピンに僕しかいないらしい。
だとしたら、僕はフィリピンでRole modelとなる会社をゼロから立ち上げたいと思う。
日本のカネと経験、フィリピン人の優秀な人たちとのネットワークが僕にはある。
彼らと一緒にRole modelとなる会社をつくること。
それが「僕にしかできないこと」じゃないだろうか。
 
レアジョブじゃRole model足り得ないのかと思うかもしれないが、残念ながら足り得ない。
レアジョブはフィリピンから収益を得ているわけではない。
フィリピン人1億人の中で4,000人の講師しか使ってないし。
たくさんのフィリピン人が使う何かを、フィリピン人の手によって生み出したい。
 
このように、僕は「僕にしかできないこと」をしたいと思った。
そして、皆さんには皆さんにしかできないことをしてほしい。
レアジョブのミッション実現は、「僕にしかできないこと」ではない。
だけれども、「皆さんにしかできないこと」ではあり続けると思う。
この規模で、英語習得に真面目で、ITにも強く、国をまたがっている企業集団は、少なくとも日本には他にない。
皆さんが1日遅れると、日本の英語化が1日遅れる。
身勝手だと言うことは重々承知の上だけれども、レアジョブのミッション実現は皆さんに託したい。
 
だからもしこの会社がミッション実現を忘れ始めたと思うようなことがあったら教えて欲しい。
非常勤の取締役として、または大株主として、まだ何かできることがあるかもしれない。
 
最後に、皆さんの人生の重要な時間をこれまでレアジョブで過ごしてくれたことに感謝したい。
そしてこれからのますますの皆さん個人の発展と、そして会社としてのミッション実現を、心から祈っている。