今年も福寿草… | 学校なんていらない~不登校小学生ちゃりこの父娘自転車旅行記

学校なんていらない~不登校小学生ちゃりこの父娘自転車旅行記

いじめにあって不登校になり、父とホームスクーリングですごした女の子、ちゃりこが日本各地を自転車で旅をして、たくさんの人たちとふれあい、成長していった記録。腐りきった学校、卑怯な教師、そんなものは捨て去ってもいい。人の優しさ、親切、は学校の外側に必ずある。

今日は、遅く起きた午前中、受験の終わったちゃりこと、福寿草を観に行った。
ちゃりこが幼い頃から、毎年毎年、観賞させてもらってきた公園へ。
ガイドさんが、案内に連れていってくれる前に話してくれる三つのお約束、まで、そらに言えるようになったのも、九歳か十歳の頃だったかなあ。
ガイドの人たちも、ちょくちょく代わっているけれど、お約束や説明してくれる季節のことは、変わらない。
今日も、ムクロジの実の話をしてくれるガイドさんの話を、はじめて聞く参加者は、珍しそうに聞いていたけれど、ちゃりこは私の耳元で、羽根つきの羽に実の中身が使われることや、実の外側は石鹸に使われることを話してくれた。
「ちゃりこは物知りだな。ここで聞いたんだっけ?」
と訊くと
「ここでも聞いたけど、幼稚園の頃、図鑑で読んだよ」
と…
ちゃりこに、いろんなこと、教わったよなあ(笑)

“福寿草は、高い木々が葉っぱを落としている時季に、お日様を浴びるように花を開く…
開いているお日様色の福寿草の花に手をかざすと、ほんのり暖かさを感じるんだよ…”
そんなことも、私は、ちゃりこから聞いた…
小さな小さな壊れてしまいそうなちゃりこが、一生懸命、私に話してくれた。
歯を食いしばってペダルをこいで、私の背中を追いかけてきた頃のちゃりこが…
学校社会から弾かれたちゃりこと、福寿草が重なって見えるような気がしたものだった…

この公園の福寿草は、東向からのお日様の光しか当たらない斜面に咲いているため、午前中しか花は開かない。

同じ時期、毎年、池にカエルの卵がたくさん見られる。
今日は、池に水がほとんどなかった。
でも、毎年、カエルの産卵期の直前に、職員が池の底に酸素を入れる作業をしているらしい。
たまたま、十数年間も福寿草を観にきている私達には、今まで一度もその作業の前に来たことがなかったのだろう。

春一番、この公園の福寿草、カエルの卵、ムクロジの実…

毎年毎年、全てが重なるわけではないんだな…

春一番の強風に吹かれながら、自転車でふらつきながら、気をつけながら、福寿草を観たあと、ちゃりこと帰ってきた年があった。
「毎年、ここの福寿草は、春一番の頃に咲きませんか?」
と今年のガイドさんに訊いてみると、
「今年も春一番の日に開いたんですよ。風が強くて誰も観にきてくれなかったんですけど」
と言って笑った。
ちゃりこと私は、顔を見合わせて微笑んだ。
ちゃりこの中にも、フラフラとあおられながら自転車で帰ってきた年の福寿草が、残っていたのだろう…

斜面に開いた福寿草は、前の年よりも、増えていた。

初めて観にきた年の福寿草は頼りなくて、はかなくて、そのときのガイドさんによると、心ない人が入り込んで花を掘って持っていってしまったことがあって、職員でしっかり管理して育てるようになったようなことを話していた。

根っこが強く、広がっていき、株が増えたのだろう…

頼りなくて、はかなく見えた福寿草が強くなってきたように、ちゃりこも、強くなってきたのかな…