作戦会議 | 【続】ネコ裁判  「隣のネコも訴えられました。」

作戦会議

2006-03-24 21:45:08


それから更に一週間ほど経った日の晩……。


タロウ     「なぁ……ユミコ……どう思う?」

ユミコ     「そうだねぇ……・。」


あの情報収集能力ナンバー1・2の八百屋のヨメさんと杉森のおばさんがタッグを組んでも難航している。

今日まで何も進展していないのだ。


「果報は寝て待て」とは思ったものの……川畑が既に写真を撮っている現状だ。


少々……いやかなり気が焦る。


ユミコ     「確かにネコの飼い主を見つけるっていうのは、難しいかもしれないねぇ……。」

タロウ     「だろ?」

ユミコ     「小さい子なら『お名前は?』って聞けるんだけどねぇ……・」

タロウ     「ネコは返事しないからね……。」

ユミコ     「言葉も話さないからね……。」

タロウ     「……………。」


ここ数日、晩酌の会話はこんな調子だ。


ユミコ     「ところでその白いネコは首輪してた?」

タロウ     「う~~~ん……覚えてないや……。」

ユミコ     「だめじゃん。そういうところチェックしとかないと。」

タロウ     「そうだね……ごめん。」


火サスマニアのユミコにとっては「チェックは厳しく冷静に」と言ったところだろうか……。

ワタシのチェックは少し抜けているらしい。


タロウ     「確か、オレが塀の上で見た白いネコは……首輪してなかったと思う。」

ユミコ     「『思う』じゃだめよ。『断定』出来なきゃ。」

タロウ     「あ……うん……。」


そう言えば裁判の時に川畑に対して「推測で理論を展開するな」と突っ込んだのはワタシだった。


タロウ     「でも飼いネコには間違いないよ。」

ユミコ     「どうして?」

タロウ     「ヨメさんが言ってたもん。『……うちの商品狙わないし……

         おっとりしても逃げないから飼いネコだろう』って。」

ユミコ     「ふーん……。でもそれ『思う』をやめて『だろう』になっただけなんですけど……。」


突っ込まれ放題だ。


ユミコ     「まぁ飼いネコじゃなかったら、川畑の無駄ボネなんだけどね。」

タロウ     「まぁね。」


でも飼いネコだったら……。

そう飼いネコだったら……。


ユミコ     「う~~~ん……仕方ない……こうなったら……。」

タロウ     「こうなったら?」

ユミコ     「ネコに直接聞いてみますかっ!!!」


と自信満々に宣言。


はぁ?

どういう事???


タロウ     「お前さっき『ネコは返事しない』って言っただろ!?」

ユミコ     「言ったよ。」

タロウ     「『言葉も話さない』って言っただろ!?」

ユミコ     「ええ……言ったわよ。」

タロウ     「じゃあどうやって!?」


と聞くと……。


ユミコ     「あれ。」


とイチコの寝ている寝室を指差す。


タロウ     「あれ?」

ユミコ     「そう。あれ。」


ともう一度、イチコの寝ている寝室の……それもベッドを指差す。

指先は間違いなくラピュタの……いやイチコの方角を指している。


タロウ     「ホントに?」

ユミコ     「勿論ホントによ。」


いや……あのね……。

いくらイチコが動物好きでも……いくら動物発見器だとしても……ネコの通訳はできんだろっ!!!


だいたいイチコ自体が3歳だ。


イチコは時々公園や道で出会った見知らぬイヌやネコを見て、その動物の気持ちを話し出す事がある。

だがその通訳ってのは決まって「ご飯食べたい」か「お腹空いた」か「一緒に遊びたい」だ。


動物の気持ちとは名ばかりの……イチコの気持ちの代弁だ。


タロウ     「お前、イチコの通訳聞いた事あるだろ?」

ユミコ     「あるわよ。」

タロウ     「『メシ喰いたい』か『遊びたい』のどっちかだぞっ!!」

ユミコ     「そんなの知ってるわよ。」

タロウ     「じゃあどうやって!?」


「ふぅっ」と一つ溜め息をつくと……。


ユミコ     「だからネコに直接聞くって言ってんでしょっ!!」


………わけがわからない。



タバコの税金上がりましたね……「税金」

以下次号……「指示」