つまり、ジャージした全裸先輩のお話となっております。
唐突ですが、体育倉庫で。から分岐する予定となりました。
こちらは、『結構まとも先輩ルート』にございます。たぶん。
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『体育倉庫の跳び箱前。』
目の前にはお怒りの敦賀先輩。
私の背後には腰上までの高さに積まれた跳び箱が逃げ道を塞ぐ。
それでも、少しでも後ずさろうとする身体が跳び箱の斜面にそって仰け反る。そんな上半身のバランスを取ろうと咄嗟に、必死に掴んでいた手を離して跳び箱の上に手をついてしまった。
「あぁ、やっと見せてくれるんだ?」
そんな私を見る、先輩の顔。歪んだ笑みを唇に乗せて、その瞳は飢えた獣みたいに鋭くて恐い………のに、何故か背中にぞわりと恐怖とは違った質の震えが走る。
けれど………近くに感じてしまう先輩の体温も、背中を支える大きな手も、いつの間にか剥き出しの私の脚を滑る指先も………
恐い。
たぶん、私は敦賀先輩が好き。
はじめて見た時は、その作り物みたいに綺麗な顔と張り付いた偽物みたいな笑顔で近寄り難かったけど………
厳しいけど優しくて、桜だらけの寝起きの油断した顔とか、きゅーんって鳴くわんこみたいな眼、意地悪したあとの悪戯っ子みたいな表情、たまに真っ赤になって目をそらしたり………そんな私にしか見せない顔を見せてくれる。
でも………でも、だけど!!
臙脂色のジャージの胸もとをきゅっと握った手がかたかたと震えている。
「ごめん………怖がらせたかったワケじゃないんだ。」
ふわっと抱き締めてくれる優しい腕。香る敦賀先輩のいい香り。
「大丈夫………いつか絶対に全部全部俺のものになってもらう予定だけど、キョーコちゃんの『はじめて』をこんなホコリっぽい落ち着かないとこでなんてしないよ?」
ん?………なんか恐いこと言われたような?
でも、深く考える前に髪を撫でながら「それともここでがいい?」なんて聞いてくる先輩のなんだかキュラキュラした笑顔が恐ろしくてブンブンと顔を左右に振る。
「じゃ、大人しくしててね?」
なんて子どもに言い聞かせるみたいに言った先輩の顔が視界から下がっていく。
私の前に跪くみたいにした先輩の手が私の片脚をひざ裏から掬い上げるみたいに持ち上げる。
「えっ……や、やめてくださっ!」
ふとももにさらさらとした髪が触れるのがくすぐったい。なんて、思った次の瞬間にふとももの内側にやわらかい感触とチリッとした小さな痛み。
見下ろせば敦賀先輩が……私の脚にキスしてる!?
恥ずかしくて逃げたいんだけど、片脚のバランスの悪い体制と私の脚を捕まえる大きな手が許してくれない。
「っ……ん……やぁ」
チリチリした痛みとぞわぞわしたよくわからない感覚、口から出る変な声にじわっと涙が浮かんでしまう。
ちゅって音を残して唇が離れて行く。
「ほら、わかる?ここに痕がついてるの。これ、他のひとに見られたくないでしょ?」
にっこりと笑った先輩の指の先、私の脚に浮かぶ赤い痕。
恥ずかしくて耳まで火がついたみたいに熱くなってる。
「ひとつで足りる?必要ならもっとつけようか?」
「じゅ、充分ですから!!」
そんな意地悪な質問をしてくる先輩の頭をグイグイと押しながら必死で頭を左右に振る。
「残念」なんて小さくつぶやきながら、敦賀先輩が私の片脚を降ろして立ち上がる。
なんかいろいろ混乱したまま涙でうっすら滲んだ目で見上げれば、先輩は「はぁぁぁ~~」と長いため息を吐いて片手で顔を隠すみたいにして顔を横に背ける。
「ごめん………言ってなかったけど、俺実は高校に入る前までアメリカで育ったからそのブルマって馴染みがなくて………下.着みたいに見えるから、どうしても嫌なんだ。」
ぽんっと大きな手が頭に乗る。私を覗き込むみたいにする先輩は、眉をハの字に下げた捨て犬みたいな困った顔をして強請る。
「だから………この夏だけ暑いけど我慢して?実は来年から体操着のデザイン変更してハーフパンツ採用されるらしいから。」
くしゃくしゃと髪が撫でられる。
私は思わず恨みがましい目で、先輩をじっとりと睨んで恨み言を言う。
「…………はじめからそう言ってくれたらいいじゃないですかぁぁ!こんな破廉恥な痕付ける前にぃぃ。」
にぃっと悪い笑いを浮かべた敦賀先輩が宣う。
「んーーー?でも、キョーコちゃんは俺のってしるし付けときたかったし?」
あんまり反省してない様子が、ちょっと腹立たしかったからその完璧に綺麗な顔に手を伸ばして、ぎゅーと頬をつねってやった。
結構力いっぱいつねってるのに、敦賀先輩は何故か嬉しそうに笑うだけだったけど。
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あれ?結構まとも先輩のつもりがどうしてこうなったやら?
まともってなんだ?
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この後、キスマーク隠しにジャージ先輩のジャージをだぶだぶに着て教室に戻るキョーコちゃんって妄想だけあったりしたり。
分岐したもうひとつのルートは、恐らく限定なへん◯いなものの予定です。