その1:
http://ameblo.jp/neko-guruma/entry-10411729500.html
その2:
http://ameblo.jp/neko-guruma/entry-10411731190.html
その3:
http://ameblo.jp/neko-guruma/entry-10411733342.html
その4:
http://ameblo.jp/neko-guruma/entry-10411734381.html
その5:
http://ameblo.jp/neko-guruma/entry-10411739054.html
その6:
http://ameblo.jp/neko-guruma/entry-10411740343.html

4.被告人Seung Min Cho、Gan Tae Kim、三星重工業の控訴理由に関する判断

A.海洋汚染防止法上責任有無および因果関係断絶主張に関する判断
 上の第3のC.(2)(F)項で調べた通り、油流出による海洋汚染拡散にHebei Spirit号側の過失が相当部分あるため、Hebei Spirit号側に対し無罪を宣告した原審判決中、Hebei Spirit号側被告人らに対するの部分には、事実誤認および法理誤解の違法があるといえるだろう。
 しかし、この事件衝突に対する1次的な責任は引き船団側にあるだけに、Hebei Spirit号側に一部過失があるといって、引き船団側に海洋汚染に対する予想の可能性および因果関係が全くないと見ることはできないため、自分たちに予想の可能性がなく、因果関係が断絶したという趣旨の被告人Seung Min Cho、Gan Tae Kim、三星重工業の控訴理由は受け入れない。
 一方の上被告人らの主張は、Hebei Spirit号側被告人らと共同過失が認められる範囲内では理由があるが、これを聞いて上の被告人らに対する原審判決に事実誤認または法理誤解の違法があると見ることは難しいため、量刑に関する主張にだけ判断することにする。


B.Hebei Spirit号のワイヤー破断に対する予想の可能性と衝突に対する結果回避の可能性関連主張に関する判断
 上の第3のC.(2)(G)①項で調べた通り、T-5号の曳航ワイヤーが破断になった原因は、当時の気象状況による外力の影響およびHebei Spirit号の不適切な避航動作を避けるために大角度変針をすることになったためもあるが、その以外にも曳航ワイヤーの使用期間および疲労による強度低下、T-5号とT-3号の接近による干渉現象、不適切なワイヤーと構成など引き船団自らの問題点もあり、これをHebei Spirit号側が分かることができたと見ることはできないため、ワイヤー破断に対する予想の可能性を引き船団とHebei Spirit号に対し同じ基準によって判断しなければならないという主張は受け入れない。
 ただし、Hebei Spirit号側としても事前に衝突危険を感知して機関を適切に使用して、避航措置をしなければならなく、引き船団側の操船が難しい状態だったため、引き船団の一部がHebei Spirit号の船首を過ぎたとして安心するのではなく、引き船団全体がHebei Spirit号の船首を完全に通過する時まで鋭意注視して、非常状況が発生した場合、早くこれを把握して、これに対処することにも、上のような注意義務をつくさなかった過失はあるが、上のような事情もまた量刑に関する主張にだけ判断することにする。


C.被告人三星重工業の主張に対する判断
 それなら被告人三星重工業の控訴理由は量刑不当主張に限定されたことで整理されるので、これに関して見回したところ、たとえ当審から衝突および海洋汚染に対しHebei Spirit号側被告人の共同過失が認められることはあったが、被告人三星重工業の監督統制を受ける被告人Seung Min Cho、Yi Hyun Kim、Gan Tae Kimなどの不適切な曳航航海がこの事件衝突事故の発生および海洋汚染の最も主な原因だと見え、周辺漁民らの財産的損害および油流出による海洋環境の破壊という莫大な被害に比べて原審の罰金3,000万ウォンの刑量がとても高くて不当だと見えないため、上の被告人の主張は理由がない。


D.被告人Gan Tae Kimの過失の部分主張に対する判断
 被告人Gan Tae Kimの過失の中の一つは、T-5号の曳航ワイヤーが切れた以後、単独で艀船を導くことになったため機関出力を最大化にして艀船がHebei Spirit号にそのまま押しかけないように最善を尽くしていなければならないことにも、T-3号の機関出力を最大毎分回転数(RPM)750RPMに達し得ない毎分回転数650RPM程度で使ったということだ。
 しかし、引き船のエンジンを持続可能な最大回転数(MCR:Maximum ContinuousRevolutions)の100%、非常時110%までも稼動するのは、静かな海で引き船単独で試験運航をする時可能で(証人「控訴外25」の当審法廷での陳述)、当時荒天状況でT-3号が11,000トンを越える艀船を単独で引っ張っていた点を勘案する時、T-3号がエンジンを最大出力で使うのは不可能だと見られ、T-3号がエンジン出力を650RPMより高めることができたという点を認めるほどの証拠がなく、Hebei Spirit号との衝突が差し迫った状況で被告人Gan Tae Kimが出力をより高めることができることにも高めない理由がないため、被告人Gan Tae Kimがエンジンを船舶設計上の最大毎分回転数を使わない点を上げて過失ということはできない。
 ただし、控訴事実で指摘された被告人Gan Tae Kimの過失中、エンジン使用の部分を除いた残り直接操船義務違反および交信義務違反など残り過失は全て認められるため、被告人Gan Tae Kimに有罪を認めることには支障がなく、上のような点を被告人Gan Tae Kimに対する量刑にだけ斟酌することにする。


E.被告人Seung Min Choの弁護人法務法人SAENAL-LAWでの事実誤認主張に関する判断
(1)被告人Seung Min Choの運航上地位に関する判断
 クレーン作業時には被告人Yi Hyun Kimが総責任者として作業現場を指揮するが、曳航航海に出た場合、被告人Yi Hyun Kimは自力航海能力がない艀船に位置していて、艀船の装備だけでは正確な情報を把握できなかった点は先んじてみたことと同じで、反面被告人Seung Min Choは主引き船船長として航海に関する情報を収集して正確な判断を下せる位置にあるため、航海に対する責任者は被告人Seung Min Choが相当する。ただし、被告人Yi Hyun Kimに被告人Seung Min Choが航海に関する正しい決定を下せるように助力する義務があり、この事件事故にあって被告人Yi Hyun Kimの責任が全くないとは限らないため、この点を被告人Seung Min Choに対する量刑に斟酌することにする。

(2)気象異変主張に対する判断
 記録によれば、出港当時の気象状況が悪化するという点がすでに予報されていた事実、海上の気象状況は急変することがあることにも、被告人が気象悪化に対する対策を講じないで出港し予定航路を離脱する時まで継続して航海した事実が認められるため、気象異変という主張は受け入れない。

(3)非常投錨の危険性に対する判断
 見回したところ、記録によれば①曳航ワイヤーが破断になった後、艀船は非常投錨を実施し、非常投錨でT-3号に特別な問題が発生しない事実、②艀船の甲板長「控訴外4」と甲板員「控訴外7」、「控訴外26」は特別な作業なしで投錨作業を実施し、「控訴外4」は投錨後にもHebei Spirit号との衝突頃まで揚錨機で待機していた事実、③揚錨機は艀船の船尾甲板の上に設置された構造物として甲板に比べて高く位置しており、欄干が設置されている事実、④引き船団が東に流された頃と、艀船が非常投錨を実施した時の有意波高は0.1-0.2m程度の差しかなかった事実が認められて、これに加えて、艀船が引き船らを引っ張って引き船団が東に流された時には、引き船ら艀船を引く時に比べて揚錨機が位置した艀船船尾が受ける波の影響が弱かった点、曳航ワイヤーの長さが二つの引き船の間に20mほど違いが生じる点などを考慮してみれば、非常投錨時の危険が発生する可能性が高いと見えなく、引き船ワイヤーが違う船舶の通航路を遮る結果がなる時にも灯火や交信等を通して他の船舶らに危険を認識させられるし、海底の底質が砂という理由だけで走錨なることだと断定できないため、非常投錨が不可能だったと見ることができなく上の主張は受け入れない。

(4)交信義務不履行と事故の因果関係可否に対する判断
 見回したところ、VHFチャンネル16は海上交通の安全のために常に聴取しなければならないことが要求され、しかも操船の困難で衝突や座礁などの危険がある時ならば、危険を認識した海上交通管制センターや周囲の船舶らから呼び出しがあることが予想されるためより一層聴取に注意を注がなければならないことで、自ら海上交通管制センターや危険関係にある船舶を呼び出しして、適切な避航協力動作を講じる必要があり、操船の困難があったとしても、当直士官と同じように操舵室で勤めたため、当直士官との適時適切な業務分担ないし指示を通じて十分に大山(テサン)VTSやHebei Spirit号を呼び出しに応じたり彼らに航海上の困難を知らせることができたため、交信義務を履行しないのが避けられないと見ることができなく、引き船団で上のような措置を取ったならばHebei Spirit号であらかじめ備えて適切に避航することで事故を予防することができたことであるから因果関係がないという主張は受け入れない。

(5)操縦制限灯火表示義務不履行可否などに関する主張に対する判断
 見回したところ、まず艀船に操縦制限灯火をしたことで灯火規定にともなう義務を履行したと見られるのかどうかに関して見れば、海上交通安全法第34条第3項※6、第31条第1項※7によれば、操縦制限灯火は動力船の引き船がしなければならないこととして、たとえ艀船に操縦制限灯火をしたとしても引き船のT-5号とT-3号に操縦制限灯火をしなかったとすれば、灯火規定を違反した誤りを免じることができなく、次に被告人Gan Tae KimがT-3号の操縦制限灯火をしたという主張に関して、これに符合するような「控訴外5」の警察での陳述があるが、被告人Seung Min Cho、Gan Tae Kimは皆T-3号に操縦制限灯火の‘紅-白-紅電装灯’でない白色電装灯3個を灯火したと述べている点に照らして、信じるのは難く、これを認める資料がなく、この部分主張は受け入れることはできない。

(6)ワイヤー破断の不可抗力主張に対し
 見回したところ、曳航ワイヤーが破断になった原因は上の第3のC.(2)(G)①項で見た通り、使用期間および疲労(反復使用)による強度低下、T-5号とT-3号の接近による干渉現象、当時の風と波など外力によるピッチングおよびローリング現象など外力による損傷および強度低下になった状態で、Hebei Spirit号を避けるために出力を高めて大角度変針した過程で切断されたことで、引き船団側が曳航承認点検表の不合理なワイヤー構成に対し何の異議を提起しこれを是正しようとすることもなく、それさえも曳航承認点検表に記載された事項を守らなかったことも切断原因中の一つと見えるところ、引き船団自ら注意事項を守らないまま曳航ワイヤーを使って避航路設定や操船上の誤りによって曳航ワイヤーが破断になったため、これを不可抗力によったこととは見ることができなく、この部分主張も受け入れない。

(7)船員法違反の点に対する主張に関する判断
 記録によれば、被告人Seung Min Choは2007.12.7.05:23大山(テサン)VTSからのVHF呼び出しと、06:14 のHebei Spirit号からのVHF呼び出しに答えないが、同日06:17頃、大山(テサン)VTSの管制官「控訴外27」が、被告人Seung Min Choの携帯電話に電話をかけてはじめて大山(テサン)VTSと最初に交信した事実が認められ、その後から衝突直前の06:57頃までは、VHFで大山(テサン)VTSと交信した事実がなく、被告人Seung Min Choがたとえ事故直後心の余裕がない状態ではあるが、VHFで交信したのと携帯電話で通話した事実を混同するほどはないと見て、当時被告人Seung Min ChoはHebei Spirit号を安全に避けることができるかという「控訴外27」の質問に努力すると答えただけで、「控訴外27」にHebei Spirit号側にエンジンを準備するようにしてくれという等の具体的な話はしなかったものとみられるため、上のような事情を総合してみれば、被告人Seung Min Choが05:50頃、大山(テサン)VTSと交信してHebei Spirit号側にエンジンを準備するように話したという航海日誌の記載は偽りで、被告人Seung Min Cho航海日誌を偽り記載するという点に対する故意があったと見えるため、この部分に対する被告人Seung Min Choの主張も受け入れない。


F.被告人Seung Min Choの弁護人法務法人SAENAL-LAWでの法理誤解主張に関する判断
(1)緊急避難主張に対する判断
 見回したところ、当時引き船団船員の生命や身体に対する侵害の発生が直ちにまたは、まもなく発生することと予想される事情がなく、引き船団を構成する船舶でも他の船舶の安全がこの事件衝突で発生したHebei Spirit号の損傷や油排出にともなう海洋汚染被害に比べて本質的に優れると見られないため、上被告人の上の主張も受け入れない。

(2)期待可能性主張に対する判断
 見回したところ、先んじてみた通り、航海の責任者は被告人Seung Min Choで、被告人Yi Hyun Kimは助力者の地位にあるだけで、被告人Seung Min Choが航海に関して被告人Yi Hyun Kimの指示に絶対的に服従する関係と見ることはできなく、特に非常状況では航海に関するすべての情報を持っている被告人Seung Min Choが自ら避航や非常投錨に対する決定を下して、被告人Yi Hyun Kimと意見が違う場合にも自身の意見を貫徹させる義務があると見えるところ、被告人Seung Min Choが上のような義務を果たさないことに期待可能性がないと見えない。



5.結論
 それなら原審判決中、被告人Seung Min Cho(海洋汚染防止法違反の点と業務上過失船舶破壊の点)、Yi Hyun Kim、Jasprit Chawla、Gan Tae Kim、Syan Chetan、Hebei Spirit株式会社の部分に対しは上から見た通り、職権破棄理由があり、検事の被告人Yi Hyun Kim、Jasprit Chawla、Syan Chetan、Hebei Spirit株式会社に対する控訴も理由があるため、上の部分は破棄されなければならないことで、被告人Seung Min Choに対する上の部分と、原審が有罪と認定した船員法違反の部分は、刑法第37条の競合犯関係にあり、原審が1個の刑を宣告し、また船員法違反の理由無罪部分は、有罪と認定された上船員法違反の部分と一罪の関係にあるため、検事および被告人Seung Min Cho、Gan Tae Kimの各量刑不当主張に対する判断を省略したまま、刑事訴訟法第364条第2項※8、第6項※9によって、原審判決中、被告人Seung Min Choに対する部分全部と、被告人Yi Hyun Kim、Jasprit Chawla、Gan Tae Kim、Syan Chetan、Hebei Spirit株式会社に対する部分(ただし訴訟費用負担に対する部分は除外)を各破棄して、弁論を経て、また次の通り判決し、被告人三星重工業の控訴は理由がないため、刑事訴訟法第326条第4項※10によりこれを棄却することにし、主文のとおり判決する。




犯罪事実
 被告人Seung Min Choは、3,000t級海上クレーンを積載した艀船の総トン数11,828トンの三星1号を引く、総トン数292トンの三星T-5号の船長として艀船を目的地まで安全に引く責任者で、被告人Gan Tae Kimは三星T-5号とともに艀船を引く、総トン数213トンの三湖T-3号の船長であり、被告人Yi Hyun Kimは艀船の船頭であり、上の船舶らおよびアンカー線の三星A-1号、艀船の三星1号で構成された引き船団の船団長だ。
 一方、被告人Seung Min Choは、被告人三星重工業の協力業者のBoram職員として、三星重工業とBoramとの用役管理委託契約によって、被告人Gan Tae Kimは株式会社三湖(サムホ)I&D (以下‘サムホI&D’という)の職員として、上の会社と株式会社三星物産(以下‘三星物産’という)との引き船賃貸借契約および三星物産と三星重工業との船団賃貸借契約によって、各三星重工業の指揮・監督を受ける人々だ。
 被告人Jasprit Chawlaは、原油運搬船のHebei Spirit号(146,868t)の船長で、被告人Syan ChetanはHebei Spirit号の1等航海士として、被告人Jasprit ChawlaおよびSyan Chetanは原油運送業などを目的に設立された法人であり、Hebei Spirit号の船主人被告人Hebei Spirit株式会社の指揮・監督を受ける人だ。


1.被告人Seung Min Cho、Yi Hyun Kim、Gan Tae Kimの共同犯行
 被告人Seung Min Cho、Yi Hyun Kim、Gan Tae Kimは、2007.12.6.14:50頃、仁川(インチョン)延寿区(ヨンスグ)松島洞(ソンドドン)所在、仁川(インチョン)大橋建設工事現場で互いに気象状態に対する情報を交換して、狭水路通過時の曳航方法などに対し議論した後、巨済市(コジェシ)新県邑(シンヒョンウプ)所在三星重工業三星造船所を目的地にして、引き船団を導いて出港することになったところ、上の被告人らは共同して下のような過ちを犯した。

A.被告人Seung Min Cho
 被告人は、大型海上クレーン積載艀船を引く主引き船の船長として2007.12.6.22:30頃、仁川西水道地域を通過する当時、ワイヤーの長さを200mから400mほどで伸ばして、引き船と艀船後尾に連結した三星A-1号まで全体の引き船団の長さを約700mほどの状態で長距離曳航航海をするにおいて、全体航海期間の気象状態をいつも綿密に把握して、気象状態の悪化可否を速かに確認して船団の各船長らに伝播もしくは、それにともなう対策を講じるべきで、艀船の規模が引き船規模に比べて顕著に大きいので、強風など気象状態によって曳航能力が制限、喪失になるのかどうかに留意して航海するものの、曳航能力制限または喪失時、上被告人Gan Tae Kim、Yi Hyun Kimと避航、非常投錨、操船制限ないし操船不能灯火など適切な非常措置を協議して施行しなければならないだけでなく、針路を急激に変更する場合には、曳航ワイヤーに無理を与える恐れがあり、大角度変針をならないだけでなく、船団間の相互交信に万全を期して、近接距離にある危険船舶を発見する場合、船内に設置されている超短波無線電話機(VHF)を利用して管制所および相手船舶と速かに交信を取り、衝突の危険が発生する前にあらかじめ衝突を避ける措置を講じなければならない業務上注意義務がある。
 それにもかかわらず、被告人は上のような注意義務を疎かにしたあげく2007.12.7.02:00頃、忠南(チュンナム)泰安郡(テアングン)遠北面(ウォンブクミョン)信徒北西方海上(北緯36-56.1、東経126-02.7)を航海している間、最大風速19.0m/s、波高3.4mなど気象悪化で航海に困難を体験し始めて以来、同日04:45頃、信徒南西方約5.7マイル海上で、三湖T-3号の1等航海士「控訴外5」と無線交信を通じて、仁川西水道方面に避航放棄で協議し、このために右変針を試みたが、より一層悪化した気象によって船団が東に流され避航に失敗した後、引き船と艀船の前後位置が逆さまになるなど曳航能力が深刻に制限された状態に達することになり、上のように東に流されていた同日05:23頃、引き船団の非正常的な運航状況を認知した大山(テサン)VTS担当者「控訴外29」から超短波無線電話機(VHF)チャンネル16で2回にかけて呼び出しを受けたのにこれに応じず、被告人は継続して同日05:30頃、信徒南西方約5.7マイル海上に達して、避航を諦めたまま三湖T-3号の「控訴外5」に無線交信で針路を270度で右辺針を指示して当初予定航路方向で航海を継続して試みて、艀船から南東側方向約1.4マイル距離に停泊中だったHebei Spirit号に向かって進行することになったのに、超短波無線電話機(VHF)を利用して管制所およびHebei Spirit号側に曳航能力喪失または制限可否を知らせたり具体的に衝突を避けるための交信試みを正しくせず、上のように衝突の危険がより差し迫る以前に近隣の適切な投錨地を探して、投錨など非常措置を取ることもなく、上被告人のYi Hyun Kim、Gan Tae Kimとも上のような危急状況とそれにともなう措置を協議、施行をせず、同日06:14頃、危険を感じたHebei Spirit号から交信呼び出しを受けたのに応答をせず、継続してHebei Spirit号側に流されて行って、相互間の距離が約0.36マイルになる時点の同日06:30頃、Hebei Spirit号船首左側に避けることに決心して、三湖T-3号船長の被告人Gan Tae Kimに300度で変針を指示した後、大角度右変針で進行して同日06:52頃、悪天候の中の無理な航行で曳航ワイヤーに動的荷重がたくさん掛かって、疲労強度も累積した状況で波高などに船体動揺され、曳航ワイヤーに破断力を越える過度な張力が瞬間的にかかって切れ、艀船がHebei Spirit号方向で押しかけるようにすることによって、事故防止のための適切な措置を取っていない業務上過失がある。

B.被告人Yi Hyun Kim
 被告人は、8人の船員らが乗船している艀船の船長であり、引き船団の船団長として、ブームの高さが約140mに達する大型クレーンの特性上、航海中風の影響を非常にたくさん受け取るのが予想されるだけでなく、引き船団の長さが約700mに達するという点を考慮して航海期間全体の気象状態をあらかじめ綿密に把握して気象悪化および危険発生可否を迅速に確認した後、超短波無線電話機(VHF)を利用して、管制所、相手船舶および船団の各船長らと伝播しなければならないだけでなく、それにともなう対策を互いに議論するべきで、強風などによって引き船らの曳航能力が制限、喪失になるのかどうかを常に留意して見回さなければならなく、肉眼および艀船に設置された装備を利用して自ら警戒義務を忠実に履行する一方、艀船にはレーダがないので、引き船船長らともいつも交信して予想される危険要素らをあらかじめ把握することによって、適切な時点に避航または非常投錨など関連措置を船団の船長らと互いに議論して引き船船長らが非常措置を施行するのに助力して、緊急状況発生時、艀船に設置された停泊装備の錨を適切に使用して引き船団を停止させることによって衝突を回避しなければならない業務上注意義務がある。
 それにもかかわらず、被告人は上のような注意義務を違反して、2007.12.6.13:46頃、Boram職員の「控訴外3」から気象悪化に対する文字メッセージ(当日午後最大風速13m/s、波高1-2m、翌日午前最大風速13m/s、波高1.5-2.5m)を受けても、上被告人のSeung Min Cho、Gan Tae Kim などと気象状態に対して特別な議論をしないままそぞろに出港し、同じ月7.04:00以前頃、気象悪化で眠りから覚めた後クレーン操縦室に上がり、引き船らが曳航能力を正常に発揮できなくて難しく航海しているということと、約3マイル前方にHebei Spirit号が停泊した事実を確認し、同日04:45頃、船団相互合意の下に仁川西水道方面で右変針し避航を試みたが、気象悪化で失敗して、引き船団が東に継続して流されていた状況であったのにも、前方に対する警戒義務および引き船船長らとの協議助力義務を疎かにして、引き船団と危険船舶のHebei Spirit号との距離がわずか0.39マイルで近接した時点の同日06:52頃まで、大山(テサン)VTSまたは相手船舶に緊急交信を試みたり、船舶の船長らと非常投錨など衝突回避のため必要な協議および措置を取らず、同日06:52頃、近接距離で三星T-5号と艀船を連結する曳航ワイヤーが切れて、艀船がHebei Spirit号方向で押しかける状況で、甲板長「控訴外4」に当時海域の水深および海底地形などを考慮して十分な把駐力(Holding Power)を発揮することができるように12節ほどの長さで錨を投錨するように指示しないで、5.5節ほどだけ投錨後制動するようにして、錨の把駐力が正常に発揮されることが出来ない状態で艀船をHebei Spirit号方向に継続して押しかけるようにするなど、事故を防止するための適切な措置を取っていない業務上過失がある。

C.被告人Gan Tae Kim
 被告人は、副引き船(三湖T-3号)の船長であり、引き船団の一員として気象状態をあらかじめ綿密に把握して、風浪注意報発効など気象状態悪化可否に対し速かに確認して船団の各船長らと相談するべきで、強風などによって曳航能力が制限、喪失になるのかどうかを常に留意して航海をしなければならなく、気象悪化によって危険が予想される場合、船長が直接操舵室に臨んで操船するべきで、超短波無線電話機(VHF)で相互交信に万全を期しなければならなく、また近接距離にある危険船舶発見時、管制所および相手船舶と速かに交信を取って衝突の危険が発生する前にあらかじめ互いに具体的にいかなる方法で衝突を避ける措置を取るのかに対し協議および施行するべきで、警戒義務を忠実に履行して予想される危険要素らをあらかじめ把握することによって、適切な時点に避航または投錨、操船制限ないし操船不能灯火など必要な措置を取り、船舶の衝突を防止しなければならない業務上注意義務がある。
 それにもかかわらず、被告人は上のような注意義務を違反して、2007.12.6.23:50頃、寝室に降りて行った後、同じ月7.01:10頃、当直員の2等航海士「控訴外33」から気象悪化などの問題で呼び出しを受けて操舵室に上がって同日02:00頃また寝室に帰り、引き船団が避航に失敗したまま東に継続して流された同日05:30頃に操舵室に臨むなど、危険状況の中で船長として直接操船しなかっただけでなく、その時は引き船団と約1.4マイル距離に停泊していたHebei Spirit号との衝突危険性を認識できないが、同日06:14頃にはHebei Spirit号からの交信呼び出しに応答もせず同日06:29頃、自らHebei Spirit号を呼び出ししたのに引き船団の曳航能力が深刻に制限されている事実をきちんと知らせないなど、事故を防止するための適切な措置を取っていない業務上過失がある。

その8:
http://ameblo.jp/neko-guruma/entry-10411745705.html
補足文:
http://ameblo.jp/neko-guruma/entry-10411747116.html