『大いなる眠り』
村上春樹訳版チャンドラー作品、フィリップ・マーロウものの第4弾。
これまでの3作については、コチラ⇒ 『ロング・グッドバイ』
『さよなら、愛しい人』
『リトル・シスター』
この作品こそが、探偵フィリップ・マーロウが初めて登場した作品。チャンドラーが描いた長編7作品中の最初を飾る作品だ。
本作、本当に出来がイイ。これぞハードボイルドの典型である。
1939年に登場した探偵フィリップ・マーロウ。
その後に登場する膨大な探偵小説の主人公の原型はこの作品で確立されたとも云われているが、まったくその通りに思える。
死に瀕した大富豪ガイ・スターンウッド老人の依頼を受けた探偵フィリップ・マーロウは、その依頼を完遂するために様々な障害を排除することになる。障害としては、カジノを経営するギャングの親玉であったり、依頼人の美貌の二人の娘であったりするわけであるが、そうした障害に遭った際のマーロウの対応・態度にハードボイルドの典型を見るのである。
ハードボイルドの主人公の存在意義は、ただひたすらに自由である、というところにある。
自由であるために必要なコト、それを追い求める。
自分以外の誰からも束縛されない。
信頼した人間、自分が認めた人間に対しては、どこまでも忠実であろうとする。
それ以上に自分に忠実であろうとする・・・。
四半世紀も前に読んだ作品だが、いま読んでも更に惹かれる。私がミステリーを、本を読み始めるきっかけとなったのがチャンドラーなんだ、と改めて感じさせてくれた。
お薦めです。