『エレンディラ』 | 本だけ読んで暮らせたら

『エレンディラ』


『エレンディラ』  G. ガルシア・マルケス/著、  鼓直、木村榮一/訳、  ちくま文庫 (1988)


ガブリエル・ガルシア=マルケスが描いた6つの短編と1つの中編を収めた文庫。



■ 「大きな翼のある、ひどく年取った男」


■ 「失われた時の海」


■ 「この世で一番美しい水死人」


■ 「愛の彼方の変わることなき死」


■ 「幽霊船の最期の航海」


■ 「奇跡の行商人、善人のブラカマン」


■「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」



どれもが幻想的・夢想的な物語だが、最初の作品はその最たるものだった。これを読んだ時は、いつだったか読んだ 『肩胛骨は翼のなごり』 を思い出した。『肩胛骨は・・・』 よりもシュールで無常だけど・・・。


6作目までの短編は、幻想的すぎて意味の判らないこと、コロンビアの人たちの心情が理解出来ないことも多々あった。

どうも何かを読み逃しているような気がする・・・? もっと根元的なことが暗喩されているのに、無知な私はそれを読み取れないのか!?


最後の7作目 「無垢なエレンディラ・・・」 はこの作品集の中では一番長くて75ページ程度。中編といえる作品。それだけにストーリーがしっかりしていて一番面白かった。主人公のエレンディラと彼女の祖母、二人の人物の心情も理解しやすい。



先日読んだ 『予告された殺人の記録』 も、この短編集の中の「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」も、この作家の作品は長いものほど、私の好みに合った。

次は長編を読んでみよう。。。