2016年6月22日(水)
現在妻は、陽子線治療を行っています。
気管にある腫瘍を除去するためです。
しかし、妻が罹患した腺様嚢胞癌というものは予後が不良で、例え手術で癌細胞を取り除いても再発・転移しやすい癌といわれています。
僕は以前、喉頭全摘か陽子線治療かで悩んだ時の記事で今回の治療で癌は根治しないと書きました。
(その時の記事がこちら→喉頭全摘手術 or 陽子線治療)
本当は根治できればそれに越したことはないのですが、再発・転移した時にあらかじめ対策ができていれば、ショックを和らげることができると思うからです。
ただし、金銭的な面もあるのでこれからの治療は慎重に選択していかなければなりません。
そういうこともありまして、
現在僕が思い描いている構想というか計画を書こうと思います。
これは未来の治療につなげるための計画です。
そして、平均寿命まで生きるための計画です。
■陽子線治療後の展開
細胞の遺伝子検査の実施
癌幹細胞にはそれぞれ接着分子というものがあります。(タンパク質の分子)
この特徴を表す言葉が「癌幹細胞マーカー」と言います。
最近になって、癌の種類によって異なることがわかってきています。
胃がん:CD44
大腸がん:CD44、CD133
乳がん:CD44
白血病:CD34
悪性脳腫瘍:CD133
例えばCD44という分子。
このタンパク質の中でも色々な形があって、触手の短いものと長いものがあります。
実はこの触手が長いものが、癌幹細胞が長く生きられるための理由と関係しているらしいです。
しかもこの長いものは、転移にも影響があるらしいです。
(詳細は以前ご紹介したこちらで解説してます。→NHK サイエンスZERO 癌幹細胞)※youtubeより
注目はその特性を打ち消すことができる治療薬が既に世に出ているのです。
そう、スルファサラジンです。(潰瘍性大腸炎や関節リウマチの治療薬)
これが癌に効くか期待されています。
では、腺様嚢胞癌はどのような分子が発現しているのでしょうか。
以下の研究文献にCD44の記載がありましたのでご参考までに
唾液腺腺様嚢胞癌の肺転移に関する因子の研究
こちらの文献を見ると、
「肺転移を起こす機構が存在することがわかり、その候補としてCD44の発現が有力であるがこの分子のみによって制御されているとは考えにくい。」
と記されています。
妻の腺様嚢胞癌の癌幹細胞マーカーがわかれば、今後治療の前に効くものなのかの判断ができると考えています。
■再発・転移した場合
1.動脈塞栓術
動脈塞栓術をご存じでしょうか。
カテーテルで癌の血管を詰まらせて壊死させるという方法です。
ゲートタワーIGTクリニックスライド説明
http://www.igtc.jp/chiryou/presentation.html
あの山下弘子さんが治療を受けたことは有名なお話しです。
彼女は癌が肺転移し、咳で苦しいときに受けた治療法です。
治療後はすっかり調子が元に戻っていました。すごいですね。
また、カテーテル治療ということで、一般的な治療の範囲となり保険適用なのが嬉しいところでもあります。
受けるための条件もありますが、頭頸部や転移性肺癌でも治療が可能と思われます。
ただし、病院が大阪にあるため通うにはそれなりの準備が必要です。
それに、このカテーテル治療は高い技術が必要で、現在は有名なH先生が現役でご活躍されていますが、それがいつまで続くかという懸念があります。
この治療は今後に期待しているBNCT(ホウ素中性子補足療法)やウィルス療法が治療できるまでの延命策として今のところ考えています。
2.BNCT(ホウ素中性子補足療法)
現在まだ治験や加速器の調整段階ですが、1年後、2年後、先進医療として認められれば、治療を行う候補として有力と考えます。
妻は陽子線治療をしていますが、再発した場合にも治療ができる可能性を秘めています。
3.ウィルス療法
現在は膠芽腫患者の治験や、進行性嗅神経芽細胞腫患者、前立腺癌患者の臨床研究中ですが、今後安全性が確認でき、頭頸部も治療ができる時代が来ると期待しています。
(こちらも前回の記事で紹介してます→ウィルス療法に期待)
まだまだ、これから新しい治療法が出てくるかもしれません。
腺様嚢胞癌は進行が比較的遅いという特徴を最大のメリットととらえて、未来の医療に期待して生きて行きましょう。