喉頭全摘手術 or 陽子線治療 | 0.1%以下の希少がん ~妻の気管癌(腺様嚢胞癌)についての備忘録~

0.1%以下の希少がん ~妻の気管癌(腺様嚢胞癌)についての備忘録~

2016年4月15日。妻が36歳で腺様嚢胞癌と告知されました。
このブログはそんな病気とどう向き合って生きていくかを
綴っていきます。
希少がんということで同じ境遇の方々のご参考になれば幸いです。

2016年5月10日(火)
 
先日、近くの大学病院の先生に連絡をとり、国立がん研究センター東病院への紹介状を書いて頂きました。
そしてこの日に放射線科のA先生へ受診しに行きました。
 
今回は妻のお父さんも同席です。
 
陽子線治療が始まると毎日病院へ通うことになります。
病院へは自宅から車で約40分ぐらいかかります。
以前お父さんが通院の送り迎えをご協力頂けるとおっしゃってくれました。
 
仕事があるので、大変助かります。
感謝感謝です。
 
さて、治療方針のことですが、
実はまだこの時は手術か陽子線かで迷っていました。
 
お父さんと妻は喉頭全摘出を希望。
僕は陽子線治療喉頭温存を希望。
 
僕が温存を希望する理由は、
他の癌に比べ、予後が悪く手術しても再発・転移する可能性があるからです。
 
手術すると声を失います。まだ36歳です。
子供とお話しもできなくなります。
もし、そこまでして癌が再発・転移してしまったら妻は耐えられるでしょうか。
 
後に画期的な治療法が発表され、治癒できたら後悔しないでしょうか。
 
僕が目指しているのは根治ではなく、どれだけ平均寿命まで延命することができるかです。
 
癌の特性上、根治するのは困難だとわかりました。だとしたらどれだけ延命できるか。
 
今回陽子線で根治できるとは思っていません。
 
あくまで気管にある腫瘍を取り除いて、気管切開した穴を塞ぐ可能性を作ることが僕の目的です。
 
ここで、僕の気持ちを少し書かせて頂きます。
 
僕の思い描いている目標は、一般的な日常生活に近い生活を送れるようにすることです。
つまり、どれだけQOLを高めて生きられるか、になります。
※QOLQuality of Life):「生活の質」と訳され、人間らしく、満足して生活しているかを評価する概念。
 
そこでQOL維持を実現させるべく、行う行動を課題化します。
課題化することで今後の対応方針を検討し、改善へ向けた最善の治療が行えればと思っています。
 
そんな簡単なことではないと百も承知ですが、やらないよりか、やったほうがましということで。
 
実は課題1はもう完了しています。(以下に記載します)
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QOL維持への課題
■課題№1(呼吸困難)
<問題>
 肺炎は治っているはずだが、咳が止まらない。睡眠不足。窒息寸前。 
<原因>
 気管に肉芽腫があり気道が狭くなっていた。
<対処>
 窒息を防ぐために気管切開し、気道を確保する。
 生検を行い、肉下種の正体を知る。
<対処後>
 窒息の改善。咳の解消。睡眠不足の解消。
 カフ付きカニューレからレティナへ変更後、少しだが声が出るようになった。
 肉下種の正体が腺様嚢胞癌と判明(新たな問題が発生)
 
■課題№2(痰排出による体力低下)※一部検討中
<問題>
 気道確保のため気管切開をしたが、むせ込むと痰がでて服が汚れたりする。
 結果的に外出や体を動かす機会が減ってしまっている。(免疫低下のリスクあり)
 ストレスも溜まっている。
 慣れれば痰がでなくなると言われているが、いつかは不明。
<原因>
 気管切開部からの痰。
<対処>
 陽子線治療を行い腫瘍を除去し、レティナの蓋を閉めて口から痰を出せるようにする。
 免疫力の低下は市販のサプリメントや食事療法で補う。
 (玄米菜食、キノコ類、豆乳、四足歩行動物の肉控えめ、ブロリコ、酵素スムージー)
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口から痰が出せるようになるかは今のところわかりません。
まずは気管の腫瘍を除去し、癌の進行を少しでも防ぐことができればと思っています。
 
もし予後の良い癌で、喉頭全摘すれば根治可能というのであれば、僕も声より命ということで全摘を選択したと思います。
 
でも腺様嚢胞癌はそううまくはいきません。
ブログでほかの方々の体験談を見ていても残念ながら
再発・転移を繰り返しているのが事実です。
 
さて、話しを元に戻します。
 
妻は全摘出を希望しているため、僕が再発・転移の話しをすると医者じゃないんだからわかったような口きかないでと言って、少しケンカをしてしまいました。
 
一旦埒が明かないので先生に聞こうという形で落ち着きました。

そして先生に呼ばれ、全摘か陽子線か決めるために腺様嚢胞癌について以下のことを聞いてみました。
 
「再発・転移の可能性を減らしたいので喉頭全摘を考えています。
 陽子線だと全摘と比べてガン細胞が少し残るというので全摘のほうが
 リスクが減ると思っています。」
 
すると先生はおもむろに
「今回の癌の特性上、再発・転移の可能性はどちらを行っても一緒です。」
 
妻とお父さんの表情が一瞬固まったように見えた。
僕も半信半疑でしたが、先生から言われると説得力がありました。
 
それならやっぱり陽子線のほうがいいに決まってる。
僕は思いました。
 
そして妻が
「陽子線治療してもそのあと手術はできますか」と質問
 
「場所と状況によって、手術ができるか判断するので何とも言えません」
 
たしかに転移が複数見つかった場合は全身に散らばっている可能性があるため、基本的に手術ではなく、抗がん剤治療になると本やネットに書いてあったことを思い出した。
 
「もし気管に癌が再発した場合、喉頭全摘出の手術は受けれますか」と妻。
 
「それは可能です」
 
妻がその言葉を聞いて、少し落ち着いたようだった。
 
一旦、先生に癌と診断されてから約1か月経過しているので、現在の体の状況を確認したいと伝えました。
 
CT撮影とPET検査を希望しましたが、PET検査は予約になるということでしたので5/18に予約を入れてもらいました。
 
僕は陽子線を受けてもらいたいが、妻はどう感じただろうか。
人生を左右する選択だからよく考えて決めることにしました。