アジアで稼ぐ「アジア人材」になれ! | キャリアカウンセラー 工藤 倫子のブログ ~RINKO KUDO~

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「夢をカタチに!」 私と一緒に夢を探しませんか?

皆さまこんばんは。

いつも私のブログにお立ち寄り頂き

ありがとうございます。




今日ご紹介するこちらの本、とってもお薦めですよ。



学生さんや女性に特にお薦めかもしれません。


というのも、「日経新聞は毎日欠かさずに読んでいる」

というビジネスパーソンにとっては「当たり前」という部分が

多いかもしれないからです。



とは言え、様々な角度から非常に分かり易く、かつ沢山の情報が

詰まっていますから、経済や世界情勢に詳しい方にとっても改めて

自分の立ち位置や今後を考えさせられる本だと思います。



アジアで稼ぐ「アジア人材」になれ!/パク・スックチャ
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著者は


長らく日本に住む者として、私は日本人という国と

日本人のポテンシャルを信じている。

日本には文化があり、歴史があり、清潔で便利だ。

日本人は親切で勤勉だ。

生まれた時から日本に住み、これらのものを当然

だと思っている人も多いだろう。

しかし世界規模で見れば、日本や日本人の持つ

アドバンテージは信じられないほど大きい。



と最初に記した上で、前半は、日本という国と日本人に

今欠けていること、今すぐ取り組むべき課題を沢山の

データと事例を元に取り上げている。



著者がその中で、何度も繰り返し述べているのは、

今のままだと日本人は「そこそこ」の生活はもう出来なくなる

ということ。



日本人の賃金は「そこそこ」の仕事を担うには高すぎる。

日本人の人件費は、世界トップレベルで高い。


近年の日本人は「そこそこ」働き、「そこそこ」の人生を

求める傾向が強いと言われている。

しかし今や企業は賃金の安い外国の人たちにそれほど

生産性の高くない労働を委託するという選択肢を持ち

始めた。


もはや、ほどほどに働いて、そこそこの生活をする、

といった選択肢は残されていないのである。

実際、がむしゃらに働くことなく、まずますの生活が出来て

いるのは世界で日本くらい。



これは、この本を読まなくても多くの人が感じていることだと思う。



ただ、そういう事実を「自分事」と受け止めて、危機感を抱いて

いる人がどれ位いるか・・・となると、そう多くはないかもしれない。



おそらく、世界情勢に敏感で

「だから今こういう動きをしておかないとマズイ」


と考えて行動している人は、もうはるか先を行っている。



自分事として受け止められない原因は多数あると思うが


「分かっているけど、だからと言って具体的に何をしたらいいか

分からない」


「英語は苦手だから自分はグローバル人材になどなれない」


「うちの会社にはまだまだ影響はないだろう」


という考えが挙げられるだろうか?

要するに、「他人事」だということ。



その根底には、まだまだ「余裕」があるからなのだろうと

いつも感じてしまう。


この本には様々なデータや数字が用いられているが

その中のひとつで、私が注目したのは


カネボウ化粧品が2010年12月

「東アジア五都市に住む女性にライフスタイル調査」

結果を公表した結果。


この調査で明らかになったのは、東京で働く女性と

他のアジアの都市の女性とのメンタリティの格差である。


「大切にしている時間は」という問いに対し、東京以外の

四都市では「健康の時間」や「仕事の時間」「勉強の時間」

を挙げる女性が多かったものの、

東京の女性だけは「趣味の時間」を重視するという。


また東京の女性は仕事において「プライベートとの両立」

「人間関係」が大切だと答えたが、他の四都市では

「高い収入」や「自分の成長」を重んじるという。



この背景には、もちろん国民性や経済状況、文化の違い

等もある為、結果だけを見て東京の女性は・・・とは語りたく

ないし、これが良いとか悪いとかという問題でもない。



ただ、今後、当たり前だが、こういう価値観の違う女性たちと

同じ仕事をしていくこともあるということ。




そして、この本の後半では巨大なチャンスの塊である「アジア」を

どう生かすことが出来るかということを検証している。



アジアの特徴として頭に置いておかなくてはならないのはその

人口規模である。


NAFTA(北米貿易自由協定=アメリカ、カナダ、メキシコ)の4,4億人

EU(欧州連合)の5.0億人といった経済圏と比較すると、6倍以上の

33億人にものぼる。


また、先進国と違い、一人あたりのGDPが低い。2009年のアジア

1人あたりの名目GDPは4391ドルであり、NAFTAの同3万6708ドルと

比べると8分の1未満だ。


アジアには爆発する可能性のある未開のマーケットが膨大に

残されている。



という部分に関しては、インフラビジネスからK-POP

イスラムマーケットのことまでとても分かり易く解説されている。



この本の素晴らしい点は難しい用語や略語も注釈や索引等

を使用せず、文章内にきちんと分かり易く書かれていることだ。


日経新聞を読んだことがない人から最前線で活躍されている

ビジネスパーソンまで、とても読みやすい本だと思う。



そして最後は


高度情報化社会では「生涯学習」が不可欠。

そして国民の意識を高めるためには、やはり教育が一番

大事だと思う。



「そこそこ」の努力では、「そこそこ」の生活の維持すら

覚束ないということを肝に銘じておかなくてはならない。

リスクを取らない方がリスクなのだ。



とまとめている。



そして、


「あとがきにかえて」

3.11からはじまる「日本の奇跡」



の部分は、この様なビジネス書にも関わらず

涙が止まらない。



危機はイノベーション(革新)を生む強い原動力となる。



最後のこの言葉は誰しもが納得する言葉だと思う。



人間は窮地に追い込まれて初めて、とてつもない力を

発揮するものだ。


今こそ、日本人の素晴らしい能力が生かされる時が来たの

だと思う。


日本に生まれたこと、日本人であるということを誇りに思い

グローバルな視点で、本気で日本の為に働きたいと思う。


そういう意味では「アジアで稼ぐ」というより

「アジアで活躍出来る」という表現の方が私はしっくりくる

かもしれない。



こういうビジネス書は鮮度が命。

実際、この中で紹介されている日本企業の取り組みに関しては、

もう既に方向転換している企業もあるかもしれない・・・。



興味をお持ちの方は、是非お早目に読んでみて下さいね^^。