この実ほど硬い殻を持つ木の実は他にない。
鬼のような殻を持つオニグルミだ、
カナヅチで叩いても余程角度が適正でなければはじけ飛んでしまう。
オニグルミは国内に自生、古代から貴重な食糧だった。
野人の家の近くの河川敷にも数本自生、大量に拾って来た。
一般的な市販のクルミはアメリカで栽培されたペルシャグルミで、剥き実でも良く売られている。
中国原産のテウチグルミも国内で栽培されているが、これらのクルミは「手打ち」の名の如く殻が割れやすく、実の量も十分だ。
オニグルミは割るのに苦労する割には悲しいくらい食うところが少ないからほとんど流通していない。
より大きなものを求めるのは人間の欲の常識だろう。
しかしだな・・
「こりゃまたどうじゃろかい~!」
・・と言うくらい濃厚で旨い。
当然生食で、石でコツコツ割りながら食うのだがその様子は「猿の蚤とり」か「カニ食い猿」に近い。
フライパンで加熱すれば割れるのだが木の実は生に限る。
生シバグリも旨いが、これほど殻も実も「生命力」を強く感じる木の実は国内にはない。
さすが御先祖様達が食べ続けて来た貴重な山の食で、日本人のタマタマ魂のようなものだ。
連日、2~3個くらい生で食べていれば気の流れも正常になり「うつ」も吹っ飛ぶかもしれんな・・・
オニグルミに比べたら普通のクルミの味がかすんでしまう。
先週の水曜日はマリンビレッジの定休日、しげちゃんのりちゃんも借り出して拾いたかったが、仕方なく1人で拾うことにした。
根気のいる木の実拾いに狩猟民族の野人は向いていないのだ。
拾い始めると・・付近から「怪しげな太鼓の音」が聞こえて来た。
そのリズムに自然に腰が動き始めた。
本能で野人の腰が動く時は太古のリズム、人類の故郷アフリカの音しかないのだ。
和太鼓やドラムでは決して野人の腰は動くことはない。
これではしゃがんでクルミなど拾っていられないではないか。
しゃがんだまま腰を振るのは辛い・・・
野人は・・「クイ・クイ~」と腰を振って踊りながらリズムの方へ近づいて行った。
続く・・