農業と食と医療の類似点 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

農業と、食と医療の在り方には類似点がある。

「成分重視」は土壌と人の体も同じで、土壌には肥料が必要、体には栄養やミネラルが必要、だから同じように投入しようとする。

成分の発見と役割は人間の科学の象徴でもあった。

長年使い続けた有機肥料からやがて化学肥料が生まれ、農業は飛躍的に効率が上がった。

それは工業にも言えることで、希少金属の発見は、科学技術に革命をもたらした。

食の分野では栄養学を中心に、ビタミン、ミネラルの世界から酵素の時代に入った。

次は何が出て来るのか見当もつかないが、人間は錬金術にも似た「抽出」にこだわっている。精製塩がそうであるように純度100%が美徳とされているようだ。

健康食品やサプリメントが溢れ、それを求める方も「天然成分」と言う言葉に弱い。

それは体にも環境にも優しく、化学物質ではないと言う考え方が浸透しているようだ。

農業も化学肥料が敬遠され、家庭菜園を中心に有機栽培が重宝され始めた。

天然成分は薬物もあれば毒物もある。化学肥料も有機肥料も自然界にとっては異物であり、土中に投入することには違いない。有機であれば環境に優しいと言うのは間違っている。




野菜や果物は薬物なしでは手間がかかり過ぎ、人の体もまた薬やサプリなしでは維持出来ないようだ。

食においても健康に良いと言う理由から、これでもかと言うほどバランス良く気を使っている。

これらのことから気付くであろうが、人は農産物にも自らの体にも「同じ方程式」を適用している。

野菜には肥料、人体には栄養を与え、同じように薬を必要とする。

人の体はそれほど脆いものではなく、植物もまた逞しい。

類似点から学ぶ姿勢があるなら、一度逆の方程式を当てはめてみたらどうだろうか。

そうすれば森羅万象の道理がわかるはずだ。