野人の秘薬「萬金丹」 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは




20年間愛用している野人の秘薬「萬金丹」だ。ところがこれは薬ではなく健康維持食品となっている。一見ネズミの糞のようだが臭くはない。「越中富山のアンポンタン、ハナクソ丸めて万金丹」と中学の社会の先生に習ったが、「鼻クソ丸めた」ものでもないようだ。この丸薬はバイアグラに勝る効き目・・・と言っても良いくらい凄まじい威力を発揮する。バンコクはじめ東南アジアに行く時の野人の必需品だ。期待に背いて心苦しいが、エロではなくエコの萬金丹は「胃が復活」する妙薬だ。医薬品ではないが、長年試した限りでは国内最高の胃薬だと断言しても良い。小さい頃から「正露丸」を飲まされ、あの強烈な臭いに悩まされて来た。パンシロンにワカモト、太田胃散、キャベジン、どれも効いたかどうか記憶がない。野人にとっては気休めのようなものだった。胃は元々丈夫なのだが、何しろ食の好奇心が強く、自然界のありとあらゆるものを食ってきた。毒草や食用としないと言われるものまでも。下痢もするし食い過ぎて胃もたれもたまにする。薬でもないこの萬金丹には即効性があり、今までに一度も効かなかったことがないのだ。食品だから気を使わず好きに飲んで良い。「変なもの食った~」と感じたら保険代わりにも飲む。成分は、アセンヤク、カンゾウ、ケイヒ、チョウジ、チンピ、寒梅粉、などで、ケイヒはシナモン、チンピはミカンの皮だ。相当古くから作られていたらしい。20年前鳥羽に住んでた頃、顧客の女医さんからどうしても車で浅間山の上まで連れて行ってくれと頼まれた。目的はこの萬金丹だった。彼女曰く「世界一の妙薬」を大量に買占め、ニコニコしながら一箱をくれた。試しに飲んで腹痛が一発で治ってからずっと手元に置いている。食べ過ぎの消化にも抜群だ。小粒だから飲みやすいことこの上ない。本店は伊勢神宮前のおはらい町にあり、他には浅間山の金剛証寺の茶店にしか売っていない。医薬品ではないから茶店で良いのだ。これを最初に飲んでおけばアオダイショウでも何でも食える。薬草研究家でもある野人は色んな薬草を試した。薬草は利尿と健胃のものが一番多いが萬金丹には脱帽、どの薬草も敵わない。いったい誰が考えたのだろう。ひょっとしたら天照大神かも知れない。千円と二千円の箱入りがあり、これは二千円で300粒、二年間使っても余り、50回は使えるだろう。服用の決まりもないが一回6粒平均で40円・・・・高価な漢方薬に比べたらそれこそハナクソみたいなものだ。野人の家には包帯もバンドエイドも消毒液も薬らしきものもない。あるのはこの萬金丹だけだ。