いわゆる「B級グルメ」なる言葉が定着して久しい。
私はB級の食べ物には興味も関心もないが、B級グルメが地方の町おこしに貢献したことは間違いない事実。
その中でもB級グルメの代表選手といえば「ソース焼きそば」だろう。
誕生したのは東京浅草だが、見た目が悪いのか、育ちが悪いのか、いわゆるちゃんとした店では置いてもらえなかった。
せいぜい夏祭りの屋台ぐらいしか住む場所もなかったのだ。
どんなに高級な食材を使おうが、こだわりの麺を使おうが、ソースにまみれたとたんに全てがオジャン。
この辺りはお好み焼きやたこ焼きも同類だったのだが、彼らは西の地方で何となく人気者になったが焼きそばはずっと日陰の身で過ごしてきた。
神保町で連日大行列の人気店がある。
歩行者の邪魔にならないように歩道を隔てて並ぶ。
その大人気店は何と焼きそばの専門店なのだ。
「神保町焼きそば みかさ」さん。
テレビやグルメ雑誌でたびたび取り上げられるし、仲間の間でも評判がいいので行列に並んでみた。
営業時間は11時から麺が無くなるまでで、大体15時ぐらいで閉店のようだ。
メニューは「ソース焼きそば」と「塩焼きそば」のみ。
サラダとか、スープとか、ごはんのサブメニューもない一点勝負。
+100円でいか・えびがトッピングできる。
ソース焼きそばといか・えびのボタンをポチッ。
食券を渡すと、大盛りか並かを職務質問される。
他の客が食べている大盛りの量に圧倒されていたので並でお願いする。
お茶は卓上のピッチャーを使って入れるセルフだが、プラコップはどうも安っぽくていけない。
注文が入ってから麺を茹で、焼き始めるので提供までは時間がかかる。
10分ほど待ち出来上がりだ。
●ソース焼きそば並(900円)
ステン皿に盛られた焼きたての焼きそば。
肉多め、キャベツとモヤシはほんのちょっと、代わりに大量のネギが覆っている。
頂点には半熟の玉子。
それに、いか・えびの助っ人コンビ。
それではいただきます
卓上の薬味などはお好みで。
辛しマヨネーズ、紅生姜を加え、最後に揚玉をパラパラパラ・・・
仕上げにブラックペッパーをパッパッパッ・・・
プリッと弾けるえびや、弾力のあるいか、柔らかな豚バラも文句なしに美味い。
それに、ネギがいい仕事してるね。
次回はネギマシで注文しよう。
自家製の麺は平打ち麺。
なんだっ、この食感は!
頭の中にある「焼きそば」の味と、今食べている「焼きそば」のギャップにどうしていいか分からくなりただ狼狽えるしかない。
今まで食べてきた焼きそばとは全く別の食べ物だ。
モッチモチの麺は蒸し麺ではなく茹で麺であろう。
それに、このソースの味はなんだ!
間違いなく市販のソースではない。
だしの香りもするので和の調味料も使っていると思う。
発祥の地である浅草で食べる焼きそばとは次元が全く違う。
たかが「焼きそば」をここまで完成度の高い料理に生まれ変わらせた店主の手腕は並のものではない。
連日の大行列も納得だし、焼きそばという料理を日の当たる舞台に上げ、新たな世界への可能性を感じさせてくれるお店だった。
美味しい食事をいただき感謝をこめて
「ごちそうさま!」
【お店】
・神保町焼きそば みかさ
・東京都千代田区神田神保町2-24-3
・http://mikasain.com/