リトルウィッチアカデミア 23話 感想 ダイアナにしか為し得なかった贈り物 | ながめせしまに@無為

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これ知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなす。これ知るなり。

 第22話 Yesterday

 

 

 

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/ || ̄ ̄|| ∧_∧
|.....||__|| (     )     そうか・・・、ここはアーシュラ先生ではダメなんだ
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/    ダイアナでなければいけなかったんだ
|    | ( ./     /      

 

 

 

今回の注目点

 ・アッコを立ち直らせるのはシャリオかダイアナか。そして、どのような言葉が今のアッコに響くのか

 ・ドリームヒューエルスピリットについて反論しようとしたアーシュラの遮られた言葉とその真実

 

感想

アッコを立ち直らせるのはダイアナかシャリオか

 本来はアーシュラ自身が行き誤解を解くのが筋である。しかし、今のアッコにはアーシュラの言葉は胸に届かない事だろう。自身が憧れていたシャリオに裏切られたと思っている事から、その言葉に説得力を

つけるのは難しい。とすれば、やはり第三者でアッコの憧れを知り、自身もアッコと同じように才能の一部をシャリオショーで失ったダイアナしかあり得ない。

 

今のアッコに必要なのは「信じる心」である。「信じる心があなたの魔法」という言葉を伝えたシャリオ自身に対して信じる事ができなくなったことで、その言葉さえアッコの中で霧散してしまおうとしている。

 

どうすればアッコがまたシャリオを信じるようになれるだろうか。 シャリオさえ副作用のことは知らずに、ドリームヒューエルスピリットを使ってショーをしていたという真実を伝えれば、またシャリオへの信頼を取り戻す事に繋がるのだろうか。 前回の放送を見て、私はそれを伝えれば、アッコはシャリオを信じる心を取り戻せるのではないだろうかと考えていたが、今回の放送を見てその考えを改めた。

 

どのような言葉が今のアッコに響くのか

 ではダイアナは何を語ることで、アッコを励ましたのだろうか。気づいた人もいるかもしれないが、ダイアナは、シャリオはそうとは知らずに使っていたというドリームヒューエルスピリットの真相には一切触れなかった。(少なくとも作中での会話では) 

この一連の会話を見て正直驚いた。 今のアッコにそうした事実を淡々と語っても、アッコの信じる心は戻ってこなかった可能性が高かったのではないかと思えた。

 

ダイアナは当時は理由は分からなかったが、幼少時に魔法の才能を一度は失っている。その後猛烈な努力をして回復したが、その原動力になったものは紛れもなく「シャリオショーでの感動」であった。これはアッコがシャリオショーで感動した気持ちと根を同じくするものである。

 

ダイアナはシャリオショーを見て「初めて魔法というものを心から愛しいと思った」という。名門の家に生まれ幼少のころより厳しい努力を余儀なくされていたのであろう。幼いダイアナにしたら魔法というものは苦痛以外の何物でもなかったのかもしれない。しかし、シャリオは魔法というのはこんなにも素晴らしい可能性や使い道があるのだと、ダイアナにその可能性を示したのだ。

 

だからこそ、あの時シャリオショーを見た感動をどんな苦しい時でも信じることができ、そこに嘘は一つもなかったと思えたのだろう。その感動こそどんな苦境であっても自分を支えていた。

 

母親の病死、魔法が使えなくなった事、そしてキャベンディッシュを守ること、そうした重圧は幼いダイアマにはあまりに重いものである。 ダイアナが、キャベンディッシュの当主になるためだけならきっと耐えられなかったと言うように、ダイアナの胸の中にはいつもシャリオショーで見たあの感動が常に寄り添っていたのだ。

 

ダイアナにしか為し得なかった贈り物

 このダイアナの告白は、シャリオを信じる心に揺らぎが生じていたアッコの信じる心を取り戻すのに、大きな勇気を与えたに違いない。自分と同じように、あの時シャリオショーを見て感動した心は嘘じゃない、信じて良いのだと、アッコの信じる心を勇気づけ太鼓判を押すような言葉であった。そして、気持ちのわだかまりを溶かした。

 

アッコは自分が飛べなくなったことの原因がシャリオショーだったとか、アーシュラがシャリオであることを隠していたこととか、そういう事を嫌に思っていたわけではない。シャリオショーを見て感動した事が、嘘のように思えてしまうことに怯えていたのだろう。だからこそダイアナの言葉は届いた。

 

もし本来筋を通すべき立場のアーシュラがアッコを見つけてもそばにいたとしても、誤解はとけたかもしれないが、アッコの信じる心は戻ってこなかった可能性がある。あの場に必要だったのは紛れもなくダイアナであり、ダイアナしかアッコの信じる心を取り戻せる存在はいなかったのだ。

 

ドリームヒューエルスピリットについて反論しようとしたアーシュラの遮られた言葉とその真実

 前回、一番気になったのがこの遮られた部分にあるドリームヒューエルスピリットの真実であった。可能性として、クロワがドリームヒューエルスピリットの全容を知らずに、誤解が生じている可能性(クロワにも救いを見出すルート)が高いのではないかと考えていた。そしてコメントを頂き気づいた、クロワがアーシュラを騙す形で利用したという説も有力な仮説であると思うようになった

 

結果は、クロワはアーシュラに全部を語らず、都合の悪い部分を隠す形で使わせ、シャリオの心に深い傷を負わせることとなった。クラウソラスに選ばれなかったクロワは、もうこの頃から独自にクラウソラスに匹敵する手段を研究していたことが分かる。

 

クロワの最大の目的は何としてもグラントリスケルを手に入れ、忘れ去られようとしている魔法を復権させることであり、そのためには手段さえ選ばないような心境まで追い込まれいたようだ。

 

シャリオの皆を喜ばせることが、いつか七つ目の言の葉に繋がるという考えは、クロワには理解できず、茶番で遊んでるようにしか彼女の眼には映らなかったようだ。そういう意味ではお互いが歩み寄れなかったのは不幸である。クロワは焦るあまり、色々な可能性を試してみたかったのだろう。しかし、シャリオは自分はそんなたいした魔女ではないし、これしか出来ないと どこか自信なさげである。

 

クロワに告げられた言葉通り、シャリオがいくらショーをやっても人々の関心は次第に薄れ、それが同時に魔法の衰退を意味するもののように思えたことで、シャリオもまた信じる心を失い始めていた。

 

ドリームヒューエルスピリットの副作用を知り使えなくなり、その後シャリオはますます精神的に追い詰められるようになっていた。

 

このストレスが臨界に達した時、クラウソラスの魔法で月に大魔法を向けて放ち、月に十字の傷を入れる事件を起こす。この時、会場にいた客は倒れるが、クロワの魔法で記憶を消去されている。この結果、クラウソラスはシャリオを所有者として相応しくないと判断したのか、木になって枯れるように消失してしまった。

 

この時のシャリオはどんな気持ちだったのだろうか。七つの言の葉を集め、グラントリスケルを手に入れなければならず、魔法界の未来を一人で背負わされている心情だったのではないだろうか。

 

しかし、その重責にやがては心も疲弊しやつれ、自分のような力のない魔女にはこのような重責はとても耐えきれないという意識が深層心理にあったのかもしれない。そして、そうした重責からの逃避の気持ちが、発作的にあのような行動を取らせてしまったのではないかと思う。 

 

一見すると天井知らずに上がる観客の期待に耐えかね、やつあたりでもしたかのように見えるシーンではあるが、そこに至るまでの一連の積み重ねを踏まえると、衝動的にすべてから逃避したいという思いが発作のように現れたというように思える。

 

信じる心があなたの魔法と口にするシャリオだが、この時自分を信じられなくなる一線を超えてしまった瞬間だったのかもしれない。自分さえ信じられなくなったために、シャリオの魔法の原動力は霧散し、クラウソラスを持つに相応しい魔女として認めらなくなったのではないだろうか。

 

 

以下は第23話 yesterday の作中で明らかになったことのまとめ

 

シャリオ

 グラントリスケルは、みんなを喜ばせる素敵な魔法に違いないと考えて言の葉を集めていた。そして、人々を笑顔にすることが、七つ目の言の葉を蘇らせることに繋がると考えていた。

 

もともとは街の通りで大道芸のような形でこじんまりとショーをしていたが、ある時プロデューサーに目を付けられて、規模の大きいショーをやるようになった。次第に観客の要求するショーの水準が高くなり、エキサイトなショーを求めるようになり、より強い魔法を必要とされた。

 

そんな中、クロワに、研究中の魔法ドリームヒューエルスピリットを試すように提案される。ドリームヒューエルスピリットはシャリオの魔法を進化させる事に成功する。日本でアッコやダイアナが見たショーでもドリームヒューエルスピリットが使用されていた。

 

しかし、ドリームヒューエルスピリットには副作用が存在し、シャリオはそれを知らさられずに使っていた。

シャリオはステージの大小に関わらず、常に皆を笑顔にしたいという思いで魔法ショーをやっておりこの時もそういう気持ちでやっている。

 

ドリームヒューエルスピリットの副作用を知ってからは、一度も行使していない。そのため、規模の小さい魔法しか使えず、次第に観客は飽きて大掛かりな魔法ショーを求めるようになった。この要求に応えられないシャリオーはストレスを抱えることになる。

 

クロワとの決別の際に言われた、ショーは廃れ忘れ去られる=魔法は忘れられる という刷り込みがシャリオの中でも意識として芽生え、退屈にしている観客を見て焦りを覚えるようになった。

これが臨界に達した時、クラウソラスの魔法で月に大魔法を向けて放ち、月に十字の傷を入れる事件を起こす。この結果、クラウソラスは、枯れ木になって消失してしまった。

 

 

 ダイアナに真実を打ち明けたシャリオは、アッコの側にいてやることより、優先順位が高いとしてクロワのもとへ向かう。クロワのもとを訪れたシャリオはノワールヒューエルスピリットの研究がいよいよ最終段階に入ったことを告げられ、それを阻止すべくクロワと対決することになる。

 

 

クロワ

 クラウソラスを持つシャリオが道端でショーをやっている事に不満を抱いていた。言の葉探しを手伝ってはいたが、ショーをやっているシャリオを手伝う様子はない。

 

ドリームヒューエルスピリットの副作用をシャリオに知らせず、自らの研究の試験として利用していた。この頃から人工クラウソラスを作る気で動いてることが分かる。副作用は一部の才能を失う。

 

クロワの最優先の目的は魔法界の活気を再び取り戻すことにある。そのためドリームヒューエルスピリットの副作用をたいして問題にしていない。理由は、魔女にならない一般人が魔法の才能の一部を失っても問題ない、異端視されるシャリオショーをわざわざ見学しにくる魔女は基本的に想定していないからである。

 

クロワの視点では、シャリオは真剣に力を欲しているように見えていない。だからこそ、七つ目の言の葉をなかなか見つけられないといように考えている。 クラウソラスを手に入れたシャリオにはグラントリスケルを手に入れる義務があると考えている。

 

にも関わらず、ショーをやっているシャリオに不満を持っており、他の魔女と同様にシャリオショーをふざけたものと見ている。 ショーは廃れ忘れられる=魔法は忘れされるというように考えている。

 

シャリオとクロワ

 二人の顕著な相違として、ショーに対する考え方が異なっている。人々を喜ばせることがシャリオの夢であり、人々を喜ばせることが七つ目の言の葉を見つけることに繋がると考えているシャリオ。

しかし、クロワはショーなど馬鹿げたことであり、一刻も早く真面目に七つ目の言の葉を探すことが大事と考えている。

 

原因 → 結果 というように、自分の信じる考えに沿って行動していればいつか結果に結びつくと考えるシャリオ。一方、

結果 → 原因 というようにクロワは考えているように見受けられる。結果を出すために、自分の考えではない事でも、結果に結びつく可能性があるなら何でも行動して、結果に繋げようと焦っているように見える。

 

しかし、もともと言の葉はどこかに隠されている宝箱のようなものではなく、体験が鍵となるものであるからクロワの言い分には強引さを感じる。ショーを続けてもクラウソラスが輝かないことを判断材料にして、ショーの継続が言の葉の体験には繋がらないというように判断した可能性も僅かにはあるが。

 

 

ダイアナ

 アーシュラがシャリオだという事を独自に調べ突き止めていた。ドリームヒューエルスピリットの事、及びその副作用の事、町であったアッコとの事、クロワの事、これらを全てをおそらく聞かされたと思う。もともと独自に調査していたこともあり、このことで彼女の中で全てが繋がり得心がいったのではないだろうか。

 

ダイアナは副作用や過去の事よりも、傷ついているはずのアッコを追い掛けず一人残してきたこと、そしてアッコの側にいなければいけないタイミングで、アッコの力にはなれないと弱音を吐いたシャリオに失望している。ダイアナのいうことはもっともである。筋としてはアーシュラが行くべきなのである。しかし、前述のようにアーシュラではきっと出来なかったであろう。

 

アッコを見つけたダイアナは、アッコの持っていない唯一のシャリオのプレミアカードを見せ話し始める。

自分がシャイニーシャリオに憧れていた事。シャリオーショーで才能の一部を失ったことは不幸の事故だったが、同情はしないと。何故なら、失った力は取り戻せるとダイアナ自身が証明している。

 

 

 ダイアナが諦めなかった理由

 まだ幼かったダイアナはキャベンディッシュに相応しい当主となるためだけの理由しかなければ、きっとできなかったという。ダイアナの年齢を考えればこれも自然である。

 

ダイアナはシャリオショーに魅せられた。胸が奮え喜びが溢れた。魔法というものを心から愛しいと思った。シャリオが与えてくれた感動、それこそが魔法を失ったダイアナを支えた一番の思い。

 

 しかし、魔法を学び、周囲の期待を知るほどダイアナの魔法はシャリオから離れていった。大人にならねばいけないと思い、大切なシャリオカードに蓋をしてしまった。それでもルーナノヴァに通ったのは、シャリオが通った学校であったから。

 

臆面もなくシャリオが好きだといえるアッコがダイアナは羨ましかった。そのくせ魔法も勉強もまるで駄目。後先考えず行動して周囲に迷惑をかけてばかり。けれど、アッコはダイアナには出来ないことをやって見せた。

 

アッコの魔法には不思議な魅力があった。ルーナノヴァを去ろうとしたのも、そんなアッコから逃げたい思いも心のどこかにあったのかもしれない。それはアッコが自分よりシャリオに近い存在かもしれないという現実からの逃げとも言っている。

 

信じる心があなたの魔法。アッコの信じる心をダイアナも信じると告げ、アッコにカードを譲る。アッコの魔法は誰よりも強いと励まし、自分は信じているとアッコを勇気づけた。

 

 

サブタイトル yesterday  

 このサブタイトルはこれまでのサブタイと比べると、少し違和感を感じた。yaesterdayが今回のエピソードのどの部分を指すのか、少し考えてみたのだが、言葉通りに捉えるとどうしてもそれに当たる部分が見当たらない。そこでこの言葉から思い浮かべる超有名な歌があるので真っ先に調べてみた。

 

すると、なんとなく今回のエピソードとかぶるような歌詞の内容がある。和訳は様々にあるだろうが、アッコの心情にかぶせて解釈できるように思える。

 

 

アッコにあってシャリオにないもの

 

 シャリオークロワに無くて、アッコ-ダイアナ(仲間)に有るもの。アッコとシャリオは二人とも『信じる心』は持っていた。 しかし、今回のエピソードを見て気づいたことがある。当時のシャリオにはなくて、今のアッコにはあるもの。それは、『自分を信じてくれる存在』 ではないだろうか。

そう考えると、シャリオがいくら一人で頑張っても、七つ目の言の葉の扉を開けなかった事に得心がいく。

 

 

 

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|.....||__|| (     )     ワガンディアでは不満も述べたけれど
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/    今回のエピソードを見てとても感動した
|    | ( ./     /       最後まで頑張れリトルウィッチアカデミア

 

 

 

 

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