火の呼吸で一生負けない脳をつくる無敗脳ヨガ道場の辻です.
“オリンピックの魔物”に対する私の意見が聞きたいというリクエストがありましたので,私なりの意見を明記させていただきます.
かなり長くなりましたので,前編と後編に分けて記事にしました.
………
“オリンピックには魔物が住んでいる”という言葉を良く聞きます.
もちろんオリンピック会場に実際住み着いているわけではありません.
これは,極度の緊張状態の中,選手本人の心の内側から生まれてくるものです.
練習中は生まれないのに,どうして本番,特にオリンピックで魔物は出現するのでしょうか?
まず練習とオリンピックの環境の違いから,脳の恐怖反応を司る「扁桃体」の興奮レベルが一気に高まります.
「扁桃体」の過剰興奮が“魔物”という幻影になってアスリートのパフォーマンスを低下させているのはまず間違いないといえます.
いつもは何気なくこなしている動作でも,この「扁桃体」の過剰な興奮により交感神経が活性化し,
アドレナリンの過剰分泌につながり,結果,震えや硬直現象を引き起こしてしまいます.
長期記憶は大脳の様々な部位で記憶され,過去の失敗した場面,情景や匂い,音などが酷似したシチュエーションで呼び覚まされます.
これを心理学では“フラッシュバック”と呼びます.
この脳の負のルートが活性化しないようにするトレーニングもいくつか存在します.
ただ記憶は完全に抹消することは物理的に不可能です.
ですので,オリンピックは魔物が出没する場所,そういう前提で心の準備をしている方が競技中のパニックを軽減させることができます.
例えていうなら,ホラー映画を1回目観た時よりも2回目はあまり驚かないと思います.
それは,どの場面で恐怖のシーンが出てくるかあらかじめ情報として知っているからです.
魔物は出てこない方がベストですが,出てくる率が高いものであり,出てきた場合の対処法が重要になってきます.
対処の仕方が分かれば,それほど慌てることもなくなってきます.
プレッシャーを感じると筋肉は硬直し,手に汗をかき,心拍数が高まります.
脳が身体に命令してこういった緊張状態を作り出しているのですが,
この緊張している状態を悪い状態だと人間が判断してしまった場合,さらにこのプレッシャーの負のサイクルが回り出します.
つまり,プレッシャーを悪いものと評価しないメンタリティーも合わせて必要になってきます.
これは普段の練習からプレッシャーをかけたトレーニングで養っていきます.
そしてストレスには大きく次の3タイプがあり,どのストレスによりプレッシャーを感じるのかを科学的に分析していきます.
①身体的ストレス
②認知的ストレス
③情動的ストレス
どのストレスに弱いかは個体差があり,一律的なヨガのグループレッスンやメンタルトレーニングの限界はこういったところにあります.
本格的なメンタルトレーニングは,パーソナル・プログラムであるのは絶対条件です.
上記,ストレス刺激を加えた計測を行い,安静状態からの変化,ストレス刺激後のリカバリーを様々な生体情報から分析していきます.
この分析をしっかり行わないと,当然改善に向けたトレーニングは行えません.
私が分析に力を入れているのはこういった理由からです.
これは,魔物が出てきた場合への対処法ですが,合わせて,魔物がなるべく現れないようにするためのトレーニングも行っていきます.
(後編に続く )
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