ハーイみなさん!BBIシリーズフリークのmstnです(笑)。
最初に、この記事はR&D説明会 2015年12月9日 大日本住友製薬のR&D説明会資料(PDF)を基に書かれています。この資料は86ページ構成ですが、とても分かりやすいので多くの方に最後までお読みいただきたいと思います。特に後半ではBBI608とBBI503が詳しく述べられています。
先ずこの図表をご覧ください。
43/86p 2015.12.09 R&D説明会資料(PDF 4,828KB)|がん幹細胞性が治療抵抗性を引き起こす
つまり、がんを根治するためにはがん幹細胞を何とかする必要があるのです。そして化学療法分野でもっとも期待されている薬が、がん幹細胞経路阻害剤のBBIシリーズです。具体的にはBBI608とBBI503を指します。そして遂にBBI608にはNapabucasin(ナパブカシン)という名前がつきました。それでは特長を述べたいと思います。
■ BBI608(Napabucasin) ファースト・イン・クラスのがん幹細胞性阻害剤
- Stat3をターゲットとし、がん幹細胞に関わる経路を阻害するよう設計された経口剤である
- 現在の治療法と異なり、がん幹細胞に関わる遺伝子発現を抑制する
- がん幹細胞をターゲットとし、正常な幹細胞には影響しない
- がんの再発と転移を抑制する
- 既存治療剤の作用を増強する
- がんの免疫回避を阻害する
- ※BBI608(Ph3)胃・食道胃接合部腺がん、結腸直腸がん
■ BBI503 ファースト・イン・クラスのがん幹細胞性キナーゼ阻害剤
- BBI503は患者のがん幹細胞性経路を阻害する
- BBI503はキナーゼをターゲットとし、Nanog等のがん幹細胞に関わる経路を阻害するよう設計された経口剤である
- ※BBI503(Ph2)固形がん
次に、大日本住友製薬の熱意と本気度がわかる研究開発費についてです。
12/86p 2015.12.09 R&D説明会資料(PDF 4,828KB)|研究開発費用の推移・領域配分
研究・開発領域配分(直接費)
がん領域 2006年176億円の約数パーセント
がん領域 2010年411億円の約数パーセント
がん領域 2015年539億円の約25パーセント
2015年のがん領域における開発費は、直接費だけでも2006年からの25倍、2010年からの10倍に拡大しています。
そして肝心な臨床開発戦略と製品上市計画についてです。
71/86p 2015.12.09 R&D説明会資料(PDF 4,828KB)|がん幹細胞性阻害剤の臨床開発戦略
22/86p 2015.12.09 R&D説明会資料(PDF 4,828KB)|製品上市計画(2015年12月更新)
前回のR&D説明会で社長が話されていましたが、治験を推進するためには莫大な費用がかかるようで、全てを同じように注力することは、なかなかできないようです。
ちなみに、「ボストン・バイオメディカルとがん創薬研究所が協働・競争しながら創薬活動を展開」が、大日本住友製薬のがん領域の研究開発方針のようです。具体的には以下のような薬剤となります。
- がん幹細胞 Napabucasin(BBI608)BBI503
- がんペプチドワクチン DSP-7888 WT4869 WT2725
- 核酸などの新技術 aiRNA(次世代の遺伝子サイレシング技術)
18/86p 2015.12.09 R&D説明会資料(PDF 4,828KB)|がんペプチドワクチン(DSP-7888)|DSP-7888(Ph1)固形がん、血液がん
最後に大日本住友製薬の未来予想では「がんは、近未来に不治の病から脱却する」「核酸医薬および細胞医薬の時代は来る」「低分子医薬創薬は進化する」だそうです。頼もしいですね。
▼ 続記事及びコメントをお読みください。
○ がん幹細胞経路阻害剤:ナパブカシとアムカセルチブの最新情報
(2016/10/15更新)