恋海 シン夢 「言葉にしないけど分かってよ」 前編 | 夜の羊の本棚

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ソーシャルゲーム”恋に落ちた海賊王” ”戦国LOVERS”の夢小説を書いています。

更新不定期。

小説らしい文章スタイルを目指しています。

タイトルは、お題サイト 恋したくなるお題 配布様 より拝借しました。

旧ソーシャル版シンさん話です。
ヒロインに振り回されて、もやもやしっぱなしのシンさん(笑)










言葉にしないけど分かってよ 前編
 





それは、とある昼の出来事だった。
いつものように食堂でみんなでわいわいとご飯を食べていたところ、お決まりでハヤテとトワの料理争奪戦が始まった。

「この肉うめー! いっただきっ!」

「あ!! ハヤテさん、今ぼくのお皿から取りましたね!?」

「肉が俺に食ってくれって言ってんだよ、しょうがないだろ」

「そんなわけないじゃないですか!じゃあ僕だって・・・・」

そう言ってトワもハヤテの皿から何か奪おうとするのだが、ハヤテはそれを巧みにかわす。

「ははっ、そんなんだから剣もダメなんだよ、おまえは」

「うう・・・・・」

「・・・・ハヤテ、いい加減にしな」

「よし、だったら俺はこれをもらう!」

たしなめようとしたソウシの声をさえぎってハヤテの肉を横取りしたのは、船長だった。

「ああーー!船長、ずるいっすよ、いきなり!」

「船長、あなたまで・・・・」

呆れた様子のソウシをものともせず、リュウガは高らかに笑うと肉をほうばる。

「はっはっは、油断大敵だぞ! 敵は一人じゃないからな」

「くっそー・・・」

「じゃあ、僕はこっちを・・・」

船長に気をとられているうちに、こっそりとハヤテのスープを皿ごと奪おうとしたトワだったが、それに気づいたハヤテがトワと反対側の皿の縁を掴んで、何とか阻止しようとする。

「させるかよ、手を離せ!」

「嫌です、これはもう僕のものです!」


どちらも譲らず、テーブルの上でスープ皿がトワの方へ近づいたり、ハヤテの方に引き戻されたり、そのたびに中のスープが危なげにゆれる。
セラはちょうどハヤテの隣にいるが、初めてみた時なんかはあまりの食べ物への執念にあっけにとられてしまった。

「おい、食いもので遊ぶな」

そうしてエスカレートしてきたところで、だいたいナギが注意しておさまる。
だが今日は、物が悪かった。
トワがナギの注意に力を弱めた時、ひときわ強く引いたハヤテの手にとうとうスープは取り返された。

「きゃ・・・!」 

「はっ、俺に勝とうなんて10年早いんだよ!」

うれしそうに宣言するハヤテだが、しかしその頭にナギの強力な握りこぶしが落とされた。

「いってえ・・・何するんだよナギ兄!」

「おまえ、今日の晩飯抜きだ」

「はあ!? なんでだよ!?」

「セラちゃん、大丈夫かい!?」

「あ・・・?」


ハヤテの真後ろに立つナギが顎をしゃくる方、つまりすぐ左手を見ると、そこには顔や肩からオレンジ色の液体を滴らせているセラがいた。
勢い良く引いたときに、中のスープがほぼ全部セラの方にとんでいったのだ。いつの間にかタオルを持ってきたソウシが、セラについたスープを拭おうとする。

「ドクター、拭くよりバスルームに行った方が早いですよ。・・・・ハヤテ、お前は覚悟はできてるんだろうな?」

「いや、だいたいトワがいきなり力を緩めるから・・・」

「ええ!? 僕だけのせいじゃないですよ!!」

低くどすの利いた声を出すシンに、ハヤテは責任転換をしようとし、トワが悲鳴に近い声をあげる。

「ハヤテ、セラちゃんに謝りなさい」

「なんで俺ばっかなんだよ・・・・悪かったな・・・・」

ぶつぶつ文句を言いつつも、ソウシに言われ不承不承謝る。

「ううん、大丈夫。もう熱くもなかったし」

ソウシから受け取ったタオルで拭き取りつつ、セラは苦笑いしながら答えた。そしてそのまま昼食を再開しようとするところを、早く流して来いとシンにフォークを奪われた。

「えぇ、でもまだ食べ終わってない・・・・」

「そんなの後でいいだろう」

全く、どうしてこいつはこんなに能天気なんだ。もっとハヤテに怒ってもよさそうなものを、当の本人があっけらかんとしていて、どうして自分が怒っているのか。普通逆だろう。

こんな調子で言いたいことはいろいろあるのだが、こんなことで熱くなる自分も癪に障るので頭の中だけにとどめておく。それにどうせ言ったところで、セラには理解できないだろう。優しいのはわかるが、こんなときぐらいは怒ってもいいものだろうとつくづく思う。

シンは溜息をつくと、

「まったく・・・・じゃあなんだ、それとも俺が洗ってやろうか?」

そう余裕たっぷりに、にやりと笑いながらセラの顔をのぞきこめば、とたんにわかりやすいほど真っ赤になる顔。

「ひ、一人で大丈夫です!行ってきます!!」

そう言ってあわてて立ち上がったセラの様子に気をよくしたシンだったが、そのあとソウシがセラに、

「トマトはかぶれたりもするからね。シンの言うとおり、早めに洗い流した方がいいよ」

「あ、そうなんですね。わかりました」

(・・・・だからどうして、お前は・・・!!)

全くもって、すべて納得いかない!と、憤るシンであった。














おっかしいぞ~、”桜”話の休憩に書くはずが、長いわ書き終らないわ・・・・。
小説書くのって、時間かかるんですね(´・ω・`)
明日には続きup予定です。話は決まってるのですが、打つ時間がぁ!!o(`Д´*)o