恋海 ソウシ夢 「わたしの知らない桜」2 | 夜の羊の本棚

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ソーシャルゲーム”恋に落ちた海賊王” ”戦国LOVERS”の夢小説を書いています。

更新不定期。

小説らしい文章スタイルを目指しています。








自分でも、どうして最初の一年間彼女と疎遠になっていたのか、よくわからないんだ。あの頃は、遊んでしまえばだれでも友達になれたし、今まで会ったこともない友達もたくさんできたから、どんどん新しいことの起きる学校生活に夢中だったのかもしれない。
でも、ひさびさに会った彼女があんまり寂しそうだったから、放っておけなかった、っていうか・・・・放っておいたらいけない、って思えたんだ。
それまでは彼女も、たくさんいる友達のうちの一人だと思ってたんだけど、そんなことがあってから私の中での彼女の認識が変わった気がする。もちろん、その時の私は小さかったし、そんなに深く考えてなんていなかったけれどね――――













他の同年代の子たちのことは、よく知らない。学校に行き始めた頃にはすでに病弱で、誰かと親しくなるための十分な時間がなかった。それでも体の調子のいいときに学校に行けば仲良くしてくれる子はいたけれど、風邪をひいては学校を休み、治ったと思えば今度は違う病気になったりと、そんな風にしている間に他の子たちと自分との距離が開いて行き、みんながそれぞれ仲の良いグループを作るころには、その差は確実なものになっていた。
仲間外れにされたことはない、みんな優しい。いつでも誰かしら声をかけてくれる人はいたのだけれど、休みがちな自分がみんなの話題についていけるはずがなく、一緒にいても気付けば一人だけ輪の中で何も言えず取り残される。それに、一人の自分を気づかってくれるのはうれしいが、それに対して申し訳ないという気持ちがいつも心の片隅にあって消えない。


そのころからリアは、自分からみんなとの距離をあけるようになった。一人は心細いが、誰かと一緒にいてもさみしい思いをするのはもっとつらかった。



そんなときに、ソウシとカイトに出会った。今更出会った、というのはおかしいかもしれない、なぜなら家がすぐ近くで、物心ついた時にはもう二人は良く見知った人間になっていたからだ。本当に小さかったころは今より体調も良く、よくおにごっこやかくれんぼをして彼らと遊んだ。
しかしそこそこ大きな町であるここは、学校が一学年複数あり、私は彼らとは違うクラスになってしまった。とたんに会うことが少なくなり、このまま彼らとも疎遠になってしまうと思うと悲しかったが、怖くて自分から会いに行くことができなかった。他の子たちのように、ソウシとカイトも私のことを病気がちのかわいそうな子だと思って見るかもしれないと想像すると、心がわしずかまれるように鈍く痛んだ。


きっとクラスに、私よりもっと仲の良い子ができたのだろう。ソウシとカイトは男の子で、自分は女の子だから、きっとこうなることが自然なのだと言い聞かせて、幼心にも孤独に泣きそうになる心をぐっと抑える。そんな感じで1年があっという間に過ぎ、また春がやってきた。

その春のある晴れた日、偶然外でソウシに出会った。




「リア?」

「・・・ソウシ?」

ばったりと、本当に偶然だった。その日は学校が休みの日で、天気も良ければ体調も良かったため、家の近くにある噴水までなら一人で行っても怒られないだろうと一人で出てきたのだ。

「げんき? クラスが違うからぜんぜん会わないし、すごく久しぶりだね」

そう笑顔で言うソウシは、1年前最後に見た時と何も変わりなかった。聞くとソウシも、宿題を終わらせて何か楽しいことはないかと、外に出てきたところだったらしい。リアが噴水を見に行くところだと言うと、せっかくだし一緒に行こうということになり、二人で向かった。


たどり着くと、そこは既に他の子供たちの遊び場になっていた。噴水は飲み水になるため、中で遊ぼうとすると大人に怒られる。それでも八角形に囲まれた大きな噴水は、春や夏は子供たちに大人気だ。
縁の空いているところを探して二人で腰掛ける。汲み上げられては太陽の光をキラキラと反射させながら落ちてゆく水しぶきは、リアに一時寂しさを忘れさせてくれる。


「リアは、友達たくさんできた? 最近はどうしてるの?」

指先を水に付けて遊びながら、ソウシが尋ねてくる。

「・・・友達は・・・・・」

そこまで言うと、リアは口をつぐんでしまった。まさか、ひさびさに会っていきなり、友達ができなくてさびしいなんて言うつもりはなかった。そう言うのは、幼いながらも何となく恥ずかしい。だが、なぜかソウシに対してはうそをつくことができなかった。その代わり、今まで抑えていた涙がここで急に溢れそうになり、とっさにそれを隠すためにソウシめがけて軽く水しぶきをたてた。

「わ、冷たいっ」

そう言って、ソウシもはしゃいでやり返すようにリアに濡れた手を振る。
どうやら無事涙は引っ込んでくれたようで、リアは安心した。


「友達が、なかなかできないの。 私、よく病気になって学校休むんだ」

大丈夫、泣かないで言えた。笑いながら、なんてことないように明るく言ったが、それを聞いたソウシは動きを止め、キョトンとした顔でリアを見つめた。

「え?病気に?」

そしてみるみる心配そうな顔になっていく。

「病気って、何の? 休むって、そんなにたくさん?」

「・・・・うん」

それだけ答えると、リアは前を向いて黙った。
ソウシは何か考えている様子だったが、急に笑顔になると、いいことを思いついたと言うようにリアに言った。

「じゃあ、今度病気になったら、オレがおみまいに行くよ。何かお菓子も持って行ってあげるから、楽しみにしててね」

それを聞いたリアは、泣きそうだったことも忘れて思わず笑ってしまった。

「楽しみにって、病気なんて楽しくないよ」

「えぇ? ・・・・あ、そっか。じゃあ、楽しみじゃなくてもいいから、待ってて。
あ、カイトも連れて行くよ! あいつにもしばらく会ってないだろ?」

それを聞いてまた笑い声をあげるリアだったが、ソウシはどうしてリアがこんなに楽しそうに笑っているのかわからない。まじめに言ってるんだけどな、と言った風な顔で頭をかいている。



それからは、学校でも良くソウシとカイトと話すようになった。
そして、果たして6月の雨季に風邪をひいて寝込んでしまったときには、2人で見舞いにも来てくれた。

それ以来、リアとソウシ、カイトの3人で良く行動をするようになった。







リアが病弱なのは設定にあったけれど、果たしてここまで病気がちな子だったのか・・・? 
ソウシの一人称は、さすがに子供の頃は”私”とは言わないだろうと思い、旧ソーシャルの”俺”をつかいました。一応、小学生低学年くらいな設定です。

しかもこの時代、学校って、どんなふう・・・・とか考えるときりがないので、まぁ電気も出てきたりする大航海時代(?)なのでいっか、と思い、こんな感じになりました。