ホットペッパーを立ち上げた平尾勇司氏の講演
Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方/平尾 勇司
こちらの本を読んで以来、心酔しており、
会いたい人リストの上位の方だっただけに、
たいへん楽しみにしておりました
著書から受ける平尾氏の印象は「ザ・熱血漢」
一方、講演を始めた平尾氏の印象は、
スマートなジェントルマン
大学教授みたい
モデレーターの楠木教授の方が、よっぽど「ザ・熱血漢」
のイメージに近いかも(笑)
ところが、話し始めて、感情移入するにつれて、
抑えきれない「熱さ」が溢れ出してきた
死ぬ気で事業に没頭し、考え抜いて、突き抜けた人
のみが発する独特のオーラ
僕が講演会を聞きに行く、「生」で観ることの最大の目的は、
こういうオーラを感じること
内容としては、以前、こちらのエントリーでも書いた、
『組織に浸透させて動かす力』が、中心になっていた
■Hot Pepper ミラクル・ストーリー
-新しい事業を始めるときのバイブルー
http://ameblo.jp/motohiro0215/entry-10148767710.html
立ち上げ当時の企画書などもご披露いただいたのですが、
その時点で明確に『分散型組織を目指す』と書かれている
『現場が正しい判断を行える環境を提供する東海堂(本社のこと)と
それを利用して意思決定する現場』
と役割分担も明確で、それが、
リーダー⇒版元長⇒事業部長
というシンプルな3層構造を生み出したのだということが
よくわかった
キーになる版元長は徹底的に鍛える
その一方で、徹底して権限委譲を行う
現場のことは、現場でしか判断できない
という考え方が徹底している
当然、正社員だけではまかないきれないので、
優秀な契約社員も版元長に抜擢される
その際、契約社員に決裁権限を与えるということが、
会社の規則に反するというようなことが起こるわけであるが、
人事部と折衝し、新しい前例を作り上げていく
もうひとつ、感じたのが、仮説をもって、実証を繰り返して、
完成させていくという手法
Webの世界でいうβ版の発想が、自然と実践されている
ということ
飛び込み営業をすると、ほとんどの場合、「帰れ!」と
邪魔者扱いされる
その中で、営業成績の良い営業は、どんなトークを
しているのか?その時の表情やイントネーションは?
と徹底的にベストプラクティスを研究して、
再現可能な仕組みに変えていく
成績の良い営業に共通するのが、
「お客さんの頭の中に映像を作り出す能力」
であるとわかると、それができない営業用に、
あらかじめ映像にしたものを用意する等
繰り返し出てきた、
飲食⇒居酒屋⇒美容院⇒スクール
というのも理屈ではなく、経験則
まず、経験則による圧倒的なデータを抽象化し、
それを法則として組織に浸透させていく
その際、活躍するのが「念仏」
理屈抜きに唱えて、体に染み込ませて、実践する
そういえば、ブラジル駐在時代の上司(日本人)も
念仏好きで「販促7原則」というものをポルトガル語に訳して、
「Go Ma De A Che I Ne」と唱えさせていたなぁ
※この詳細はノウハウなので、ここには書けません...
1/9サイズの広告枠や3ヶ月連続受注も同様
試行錯誤の末、たどり着いた最適解
1/9サイズの広告枠であれば、
テンプレートで対応できるので、営業が自ら作成できる
専属のクリエイターは必要ない
飲食店の経営者は右脳型が多く、営業が単に商売だけでなく、
クリエイティブを語ることを通じて、会話の満足を生み出し、
それがクライアントとの関係強化に繋がり、結果的に、
安さを武器に攻めてくる競合に対する参入障壁になる
この一連の「ストーリー」も、すべて事前に設計されていた訳
ではなく、実践を通じて形作られたものを、抽象化して
整理しなおすとこういう「型」になっていたのだと思う
※これは、私の推測です。間違っていたら、すみません
本当に、たくさんの刺激をいただいたセミナーでした
最後に、楠木教授ノコトバ
『戦略はサイエンスではなくアートである
なぜなら、人が作るからである』
<参考>
平尾さんは、今は、エンゲージメントエンジニア
という、まさに、「お客さんの頭の中に映像を作り出す」
コンサルティングをされています