大学における大型選手の育成 | 楽しく考える男子バレー

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この記事を読んでからずっと考えていて、何か書きたいと思いつつ、ナカナカまとまらなくて……
でも、書かなきゃ。(笑)


【バレー】ご意見番に聞く、4年後に向けての男子バレー再建策


イロイロとキニナル点はあるのですが、まず大学バレーファンが一番「えっ?」と思ったであろう部分。


●長身の選手の育成
「高身長の選手の育成には時間がかかります。じっくりと腰をすえて育成しないと、結局はその時点でこじんまりとまとまった選手で勝ちにいくことになる。大学レベルでいうと、春リーグを取りやめるということも一つの手段でしょう。冬のインカレが終わってから、秋リーグまで時間が空いていれば、その間にじっくりと大型選手の育成ができます」


「春リーグを取りやめる」ことの真意は、どうなのでしょう?
①提案したいと思っている。
②議論が必要だと思っている。
③例として挙げただけ。


素人の私が言うのもナンなんですけれど、私は逆じゃないかと思います。
昔はよく「大型選手はじっくり育てる」という話を聞いたような気がします。
けれど、大学の現状を見ると、試合に出る機会を多くして、育成していった方がいいのではないでしょうか?
試合に出ないで上手くなることは、難しいですよね。
目先の勝利のために、大型選手を育成していない大学が多いとは思いません。


12月の全日本インカレ終了から4月の春リーグまで4ヶ月あります。
一年中試合のある高校と比べて、大学の方が「じっくり育てる」時間はあります。


「大型選手」「長身の選手」という言葉はよく使われますが、具体的にはどんな選手でしょう?
このブログにも何度か書いていますが、実際に大切なのは「身長」ではなく「指高」です。

身長が同じでも指高が5センチくらい違うことは、めずらしくありません。

195選手より190選手の方が、指高が高いかもしれません。
けれどメンバー表に「指高」が掲載されることは少ないので、身長で考えてみましょう。
一般的に思い浮かべるのは、下記のような数字ではないでしょうか?


①200以上 ②195~199 ③190~194


「①200以上」については、多くの人が「大型選手」と考えると思います。
「②195~199」については、日本では多くの人が「大型選手」と考えると思います。海外では必ずしもそうではないでしょう。
「③190~194」については、大学レベルで考えると「大型選手」と言えると思いますが、シニア代表を考えるとそうでもないように思えます。


今年度のプログラムで手元にあるのは関東1部~3部だけなので、そのメンバー表でみてみましょう。
時間の関係で、とりあえず春季1部10大学のみ。後で追加できたらします。
サバよんでいる選手・チームもあるようですが……(笑)
WSとOPの区別は、私の判断です。(笑)


①200以上 … 2人(MB2)(順大1,武大1)
②195~199 … 11人(MB7,WS2,OP1,SR1)(東海3,中大1,日体1,筑波1,慶應1,順大4)
③190~194 … 42人(MB27,WS9,OP4,SR1,学連1)(東海3,中大3,日体5,明治5,筑波2,慶應3,順大8,国士7,武大2,早大4)


195以上の選手では、13人中9人がMBです。
190以上のセッターは順大のSRが2人だけです。


大学別に見てみましょう。


東海-6人(200-:0,195-199:3,190-194:3)(MB5,WS1)
中大-4人(200-:0,195-199:1,190-194:3)(MB1,WS1,OP1,学連1)
日体-6人(200-:0,195-199:1,190-194:5)(MB4,OP2)
明治-5人(200-:0,195-199:0,190-194:5)(MB4,WS1)
筑波-3人(200-:0,195-199:1,190-194:2)(MB2,OP1)
慶應-4人(200-:0,195-199:1,190-194:3)(MB3,WS1)
順大-13人(200-:1,195-199:4,190-194:8)(MB7,WS4,SR2)
国士-7人(200-:0,195-199:0,190-194:7)(MB5,WS2)
武大-3人(200-:1,195-199:0,190-194:2)(MB2,WS1)
早大-4人(200-:0,195-199:0,190-194:4)(MB3,OP1)


「大型選手」が特定の大学に多いことがわかります。

このことから、試合に出場できない「大型選手」がいる理由は「こじんまりとまとまった選手で勝ちにいく」ためというより、チーム内の「大型選手」同士の競争によるのではないかと思います。
当然、試合数が少ないより多い方が、これらの選手の出場機会も増えますよね。


東日本インカレなどで、Bチームも出場できるようにすれば、「大型選手」に限らず、人数の多い大学の控え選手の出場機会が多くなります。
公式戦に出ることで、「大型選手」に不足しがちな経験を積めると思います。


「大型選手」がMBにかたまると出場機会は減りますから、他のポジションにコンバートされるといいですね。
けれど実際にMBから他のポジションにコンバートされるのは、大きくないために上のカテゴリーではMB起用が難しい選手が多いようです。
松本さん・富松さん・鈴木さんなど、WS・OP→MBの選手は多いのですが、MB→WSの「大型選手」は、石島さんくらいしか思い浮かびません。
高校大学くらいまでは、WS・OP・MBをかけもちできるくらいの方が、その先の可能性は広がります。


「大型選手」が多いチームでは、やはり、現時点で実力のある選手が起用されることが多く、可能性はあってもキャリアがない選手には、なかなかチャンスがまわってきません。
逆に言えば、「大型選手」が少ないチームでは、キャリアがなくても起用されるケースが少なくありません。
とりあえずMBは高くしたいとか、ありますから。(笑)


むしろ「こじんまりとまとまった選手で勝ちにいく」印象があるのは、個々の大学ではなく、東西対抗やユニバチームではないでしょうか?
東軍のメンバーは、将来性重視ではなく、関東1部リーグで活躍した選手ばかりですよね。
そこに毎年1人か2人でも、「化ける」ことを期待するような選手を入れてみると、何か変わってくるかもしれません。
ユニバ候補合宿なども。


今年のユース候補には、195~200の選手が何人かいます。

彼らが大学に進んでからも、十分活躍の場があるといいと思います。

そのために必要なことは、なんでしょう?


現時点で「春リーグを取りやめる」案は、現実的ではないと思いますが……気になったので、イロイロ考えてみました。
私は「大型選手の育成」には「Bチーム出場」「コンバート」「選抜チームの活用」が有効なのではないかと思います。


みなさんのご意見も、聞かせていただけると嬉しいです。