とある行きつけのバー、閉店… | 旅ログ~とある京都フミンの奇妙なおでかけ☆

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とあるフミンの「おでかけ」にまつわる四方山噺☆

とある4月の土曜日の夕暮れ時…いつものように京都から一足飛びに意識を飛ばして、愛する東京の街を一路、行きつけのバーへと歩きます。


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東京は元麻布。仙台坂上のこのあたりは古くからの屋敷町…のはずが、おや?いつものあの紳士は今日はいずこへ!?


そして…いつものあのイタリアンレストランが無くなっている!!
何とも目立たない入り口ですが、週末の土曜日のウェイティングバーは常連客で賑わって…いたはずのこのレストランは、なぜか廃屋になっていて宇宙人役のピエール瀧と若者がUFOの前で会話をしています。そしてスポンサーもわが京都の地元企業サントリーから、浦和レッズでお馴染み三菱自動車へと変わっています。これは一体…


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TOKYO FM系で1992年より21年続いたトーク番組「SUNTORY SATURDAY WAITING BAR AVANTI」が、2013年3月30日をもって終了していたのを知ったのは、その直後でした。


$(((旅ログ)))~とある京都フミンの奇妙なおでかけ☆-AVANTI CLOSED


私がこの番組を聴き始めたのが1993年か94年の夏頃で、新聞の「ラジオ欄」を見ていてこの番組が珍しく「怪談特集」をやっていたので、怪談好きな私がついつられて聴いてみたのがきっかけでした。

ゲスト ( 常連客 ) にSMAPの草◯剛などを招いてそこはかとなくメジャー感を出していましたが、内容的には本格的な怪談番組とは比ぶるべくもなく、常連客との怪談にまつわる軽い感じのトークで1時間終了といった、さしては怖く無い内容でした。


夏の逢魔が時の怪談番組と思って聴いてみたのでいささか期待はずれではあったのですが、夕暮れ時のバーでの軽いおしゃべりのひととき、という落ち着いて小洒落た雰囲気が気に入って、それからは仕事や用事等の都合で聴けない時以外は、毎週この番組を聴くようになりました。


特に紳士 ( CV:団しん也 ) と常連客であるリスナーが店に向かう途上で偶然出会って、街の雑踏の中を店へと向かういつものオープニングは好きでした。現実にその雰囲気を味わおうと、東京に行った際にわざわざ仙台坂上を訪れてエライ目に遭った事もありましたが…あのオープニングを聞くためにこの番組を聴いていたと言っても過言ではないですね~。


$(((旅ログ)))~とある京都フミンの奇妙なおでかけ☆-仙台坂上


それにしても21年も続いていたとは…バブル期礼賛で悪名高い「ホイチョイ・プロダクション」が制作に関わっているということで、番組に漂うそこはかとない「バブル臭」が、バブル期の明と暗を実体験として知る者としては少々鼻につきましたが、3ヶ月ごとにスポンサーの顔色を見ながら改編が行われる栄枯盛衰の激しい放送業界において、一社提供で21年も放送継続していたというのは今さらながら驚きです。


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未だにこんな事やってるんですね…(^Д^;)


その間に、私がこの放送を聴く形態も自宅ステレオのFMラジオから、パソコンのインターネット用ラジオ聴取アプリの「radiko」やMP3プレイヤー付属のFMラジオへと変遷いたしました。個人でパソコンを所有してインターネットからラジオを聴く時代が来るなんて、放送開始当初では考えも出来なかったでしょうね。


また21年も続いたという事で、ネットで検索してみるとこの番組の終了を惜しむ「常連客」の嘆きが多数見られます。そして3月30日の放送が最終回にもかかわらずいつもと同じような放送内容だったりしたので、後継番組を聴いて始めて番組終了を知ったリスナーが私を含め多数いるようです。

これが放送が始まった当初の1990年代だったら、新聞のラジオ欄やFM雑誌の「終了マーク」を発見して、番組終了を事前に知る事になるのでしょうが、新聞のラジオ欄が扱いが小さくなって紙面の見にくい場所に移動してしまってあまり見なくなっていたり、愛読していたFM情報誌(※)が廃刊になってしまっていたり、あるいはリアルタイムで聴かずにインターネットの動画サイトにアップされた放送を後日聴取するようになっていたりと、リスナーの多くを占める ( であろう ) 情報の収集能力の高いはずのネットユーザーが、意外とラジオの情報についてはいわゆる「情報弱者」になってしまっているのも、ラジオ・公共メディアとの付き合い方が昔とはガラッと変わってしまっているんだなぁ、という事を実感しました。


あと後継番組についてですが、第一回目の内容が各界からのゲストとのテーマに沿った軽いトークがメイン、といった前番組と同じような形態だったので、TFM側としてはまだまだ元麻布でのバー経営を続けたかったのが、スポンサーのサントリーが急に降りると言いだして急遽閉店。やっと見つかったスポンサーが自動車メーカーだったので、ガレージ経営に業務変更…といった内情だったのかなぁとも想像します。

もしかしたら後継スポンサーが自動車メーカー一社じゃなくて、もっと別な業種のメーカーだったり、あるいは複数企業による提供だったら、「サントリー」の名前を外しての営業続行もあったのかもしれませんが、これは想像の域を超えませんね。


何はともあれTFMの番組スタッフさんと「紳士」役の団しん也さん、21年間お疲れさまでした。夕暮れ時の東京での心休まるひと時をありがとうございました。


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番組終了イベントにて




※注

かつて存在したFMラジオ局の番組表や番組紹介を主とした雑誌。TVガイドやザ・テレビジョンなどのTV雑誌のFMラジオ版と考えれば分かりやすいでしょうか。FMラジオが主に音楽番組を中心に編成されている事から、音楽雑誌としての側面もあります。

音楽を聴く主な媒体がFMラジオやアナログ盤レコードだった1970~80年代が全盛期で、番組内で流される楽曲の局順や演奏時間などの詳細が掲載されていた事から、お小遣いが少ない、または地方在住で近くにレコード店がない ( 当時は通販産業も未発達 ) などの理由でレコードが思うように買えない音楽ファンが、FMラジオから流れる楽曲をカセットテープで録音して楽しむ「エアチェック」をする際に非常に重宝されました。「FM STATION」や「FMレコパル」などといった雑誌が大手出版社の小学館などから出版されていました。中には数十万部の発行部数を誇る雑誌もあったとか…。

その後音楽を聴く媒体がCDに移った1990年代に入って各誌が軒並み休刊、現在は「FM FAN」が会員限定の定期購読誌「FM CLUB」として形を変えて唯一刊行中だそうです。

あと一部の新聞でも土曜や日曜の発行版に一週間分のFM番組表が掲載されていた事がありました。私の住む地元・京都の地方紙「京都新聞」では、毎週土曜日に翌週一週間分のFM番組表がかつては掲載されておりました。紙面2面の全面を使ってかなり詳細な番組情報が掲載されて大変重宝しておりましたが…いつの間にか無くなっていました (´_`。;) 。


記事参照:

Wikipedia 日本語版「サントリー・サタデー・ウェイティング・バー」「FM情報誌」の項
団しん也 オフィシャルサイト http://danshinya.com/