医学用語と日常用語の似て非なるもの 「遠位、高位と前方」 | 交通事故弁護士ブログ

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遠位と高位、前方、この用語、よく交通事故ででてきます。

日常用語ではでてこない言葉だけに、困惑される方が多いのではないでしょうか。




[遠位]

まず遠位ですが、これは、一本の骨の両端が、心臓に近いか遠いかで区別する用語です。心臓を中心として、遠いと遠位、近いと近位。


例えば右脛骨遠位端骨折(みぎ けいこつ えんい たん こっせつ)という診断名があったとします。

これは、右脚の下肢にある「脛(すね)という骨」(脛骨)の「はしっこ」(端)が骨折しました、どっちのはしっこかというと、「心臓から遠い方、つまり、足首に近い方」(遠位)です、という趣旨です。


逆に、右脛骨近位端骨折(みぎ けいこつ きんい たん こっせつ)という診断名があったとします。

これは、右脚の下肢にある「脛(すね)という骨」(脛骨)の「はしっこ」(端)が骨折しました、どっちのはしっこかというと、「心臓から近い方、つまり、膝に近い方」(近位)です、という趣旨です。




もう一つ、鎖骨遠位端骨折(さこつ えんい たん こっせつ)という診断名があったとしましょう。鎖骨というのは、肩の骨と胸の骨(あばらぼね)を繋ぐ骨です。肩に近い方が心臓から遠いから遠位、首に近い方が心臓に近いから近位ですから、鎖骨遠位端骨折というのは、鎖骨のうち、肩に近い方の端っこ部分が骨折しました、という診断です。



なぜ、こういう区別をするかというと、遠位か近位かで、予想される障害がいろいろと異なってくるからです。

たとえば脛骨の骨折というと、たいていは近位端骨折です。つまり、膝に近い方です。ここには側副靭帯や十字靭帯があり、これらの靭帯が同時に損傷することが多いです。膝に近いので、変形性関節症 となる可能性が高いとおもわなければなりません。

これに対し、鎖骨というのは、もともと骨折しやすい骨で、たいていは中央部が折れることが多く、保存療法、つまり自然と治癒するのを待つことがほとんどですが、遠位端骨折の場合は手術適応になる事が多いといわれています。




[高位]

遠位という用語が、あまり日常用語に使われないのに対し、「高位」というのは、日本語として、色々な意味でつかわれています。一番多い使われ方は、「偉い!」という意味でしょう。

ところが、この高位は、交通事故でも使われるのです。特に後遺障害で使われます。この場合は、脊椎、脊髄等の位置関係を指します。例えば『椎間板ヘルニアの診断は、画像によるヘルニアの高位と、神経学的高位が一致することにより確定診断となる』などです。

この場合の高位というのは、高い場所とか偉い人という意味ではなく「位置」とか「ポジション」という意意味です。

日常用語でいうと、画像でヘルニアとなっている位置と、その神経症状となっている位置が一致していれば、ヘルニアが原因で神経症状になっているといえるという趣旨です。

まぎらわしい使われ方ですね。






[前方と後方]

前方と後方、これも日常用語でよく使われますが、交通事故でもよく使われます。前方固定術と後方固定術という使われ方です。

前方固定術でいう「前方」というのは、体の前の方という意味で、頸椎の前方から入って、関節のずれを修正して固定してしまうという手術です。

これに対し、後方固定術というのは、首の後ろからボルトなんかをうち込んで頸椎を固定させるという手術です。

この場合の「前」と「後ろ」は、日常用語と同じ使われ方をしています。