象亮 第三十話「クラゲりの中、モグラがこちらへムカッデます」(前編)
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象亮たちが難化妖・クライゴム・ゲドンダーといった別勢力と戦っている間、象外鬼四天王は象亮たちの研究に加えて修練を重ねていた。
象暁(象蜻蛉形態)に圧倒されたのを嘆いた象蛭が「新しい体でも300年前のように戦えるようにしなければいけない」と、自覚したためである。
象蛭「折角復活しても、パワーが落ちててはまた封印されるのがオチだからね…」
象狼「それもそうだ…おい、象烏賊と象毒蛇はどうした?」
象蛭「あいつらはクライマックスヒーローズで遊んでるわよ、本人たちはトレーニングとかいってるけど…」
象狼「まあイメトレも大事だ、元々あいつらは気分屋だから本気になるのを待とう」
象狼の期待と象蛭の不安を柳に風にする象烏賊と象毒蛇は、本当にクライマックスヒーローズで遊んでいた。
象毒蛇「おい…こんなんで本当に仮面ライダーに勝てるのか?」
象烏賊「自分が仮面ライダーならこう戦う、というイメージは大事だ」
象毒蛇「なんか言い訳に聞こえるな…」
象烏賊「嫌なら無理にやらなくていいんだぞ、あっちで象狼にしごかれるだけだから」
象毒蛇「冗談じゃねえ、あの筋肉バカにしごかれるくらいならこっちのがましだ」
象烏賊「お前は自分で訓練方法考える頭はないのかよ…」
この一言を機に例によってコントローラーで殴り合いになったのは言うまでもない。
第三十話「クラゲりの中、モグラがこちらへムカッデます」
四天王のリベンジ計画が着々と進行中の中、淳と暁は、淳宅で今後のことを考えていた。
淳「敵は象外鬼だけじゃないということがわかった、そして、仮面ライダーみたいなのもそれだけいるということがわかった」
象飛蝗赤「とりあえず俺たちに出来ることは、あの四天王を何とかすることだな…」
暁「四天王…この前おいらをこんな身体にしたバケモノ連中か…」
象蜻蛉「バケモノとは心外ね」
象飛蝗赤「いや、こいつらから見たら俺たちはバケモンなんだよ、例外なく」
淳「佐渡だったらここでいきなり「バカモン!」とかいらねえギャグ入れるんだろうな…」
その佐渡、すなわち亮は、古ぼけた地図を持ちながら綾とともになぜか悪路を歩いていた。
亮「この地図に従って、坂を登って、洞窟をくぐって、草原の先にある吊り橋を渡って、ぼこぼこする砂利道を今歩いてるわけだけど…」
綾「まるでトトロの歌みたいな道だね^^;」
亮「全く…ガンジスにもとんだところに住んでる友達がいるもんだな」
亮がこんな裏道を歩いてるのも、すべてはガンジスのお使いであった。
亮「石森市にいる間に、旧知の友人を訪ねる予定だったけどその前にカナ・ダライに襲われてそれどこじゃなくなったから代わりに生存確認を知らせてくれってのもな…」
綾「その友達たって、ガンジスくんは石森市に来るのは300年ぶりだよね…もういないんじゃないかな?」
亮「おそらくその友達は象外鬼かそれに相当する誰かだよ、おれたちの何十倍も生きてるガンジスが人間の寿命知らないはずないだろうし」
綾「そうだよね^^;」
亮「さて、そろそろ目的地近くの下り坂があるはずだが…うぷっ!」
亮は蜘蛛の巣にかかった。
亮「ぶわーっ!何かと思えば蜘蛛の巣か(ズルっ)あーっ!」
ドシャッ!
蜘蛛の巣にひっかかってテンパってるうちに、目的の下り坂についてしまったというわけである。
綾「あたし久しぶりにトトロ見たくなってきたよ^^;」
亮「人があやうく大怪我するとこだったのに暢気なもんだよ、トトロカラー(ようは、グレー)穿いてる割にはーー;」
綾「それが怪我しそうな状況の人のセリフ?ーー;」
綾はスカートを抑えながら呆れた。
ともかく、ガンジスから渡された地図にあった目的地に着いた亮はあたりを見渡した。
が、あるのは古ぼけたバス停だけ。
亮「こんなとこにバス停なんてあったんだな…」
綾「あ、見てよこれ、根子忍(ねこばす)交通だってwあのネコバスが来るのかな?」
亮「なんちゅー名前だ…ほんとにあのネコバスが来たら笑うよw」
ブブーッ
綾「あ、ほんとにバスが来たよ」
亮「普通のバスだな…」
プシュー
亮「乗ってみるか…」
亮と綾は、バスに乗り込んだと同時に異変に気付いた!
「おでかけですか?」
ズコッ!
レレレのおじさんのように話しかけてきた運転手は、モグラの象外鬼だった!
亮「し、象外鬼!?」
象飛蝗「あれ?おまえ…象土竜(しょうもーる)か!?」
象土竜「いかにも…あれ?その声は象飛蝗緑か?」
綾「それでさらにバッタ君の知り合いかい!w」
象土竜は、象飛蝗銀(象飛蝗の兄)やガンジス同様お綾の封印を逃れた象外鬼である。
逃れた理由は、他の二人同様当時石森市を離れていたから。
ただし、他二人が武者修行だったのに対してこの男は労働者に憑依して佐渡金山で金掘をしていた。
現在は、20年前に事故で命を落とした私営バスの運転手兼社長に憑依して、彼が残した根子忍交通を切り盛りしていた。
根子忍交通とは、当時流行っていたとなりのトトロのネコバスにあやかってのものらしい。
亮「あれ?象外鬼って一度誰かに憑依したら一生そのままじゃないのか?」
確かに、それは本編中でも散々述べてきたとおりである。
象土竜「それは正しくない、肉体が限界を迎えるまでさ」
象飛蝗「つまり亮がドラクエのくさったしたいみたいになったあたりに、俺がようやく自由の身になるというこった」
亮「おいおい、スミス(くさったしたいが仲間になった時の名前)はねえだろ…せめてリビングデッドにしてくれ」
綾「あんま変わんないってーー;」
ちなみに、くさったしたいよりリビングデッドのほうがステータスは高めである。
亮「どっちにしろ綾ちゃん、おれが死んだら絶対こいつごと丁寧に火葬してくれ、こいつは火が嫌いだから確実に道連れに出来る」
綾「物騒なこと言わないでよーー;」
その頃の淳たちは、すっかりマターリとしていた。
淳「暁ちゃんがライダーだってこと、純にはばらさないほうがいいよね?」
暁「あいつより口が重い華にも教えてないからね…純に教えたらペラペラ喋りそうだから止めておいて」
淳「ははは、了解」
暁「さてと、そろそろ夕方だから帰りますか…」
暁が淳の部屋から出ると、純とはち合わせる。
純「あらあっきー、来てたんだ」
暁「まあね、ちょいとあんたの兄さんに用があってね…」
純「隠さなくてもいいよー、この前から兄貴と付き合ってんでしょ?」
暁「ば、バカ!違うって!」
結局どっちにしろライダーの正体のプライバシーに関して純は厄介だということだった^^;
純「あっきーがお姉ちゃんならあたしは安泰だぁw」
淳と暁がくっつくすなわち結婚したら、自動的に暁は純の姉となる。
暁「そんな同い年とは思えないくらいうっさい妹なんかいらんわorz」
暁は、頭を抱えた。
淳「おいおい、同い年とは思えないくらいうっさい妹と二十年近く暮らしてる俺の立場は?--;」
暁「あ、悪い^^;」
昼間兄妹の家を後にした暁は、ふと考えた。
暁「しかしなんであのうっさい純と、大人しい淳さんが双子の兄妹なんだか…信じられんなあ…」
象蜻蛉「兄弟なんてそんなもんでしょ」
暁「そうかな?」
象蜻蛉「うちも兄弟多かったけど、どいつもこいつも性格バラバラだったからね…大人になったら住んでるとこもバラバラ」
暁「それはそうでしょ^^;」
象蜻蛉との「はたから見たら独り言にしか見えない会話」も慣れてきたと言ったところで…街中は騒ぎになっていた!
「出たー!」
「クラゲの化け物だー!」
街中では、クラゲの象外鬼・象水母(しょうじぇりーふぃっしゅ)が暴れていた!
ほどなくして、暁もそんな光景に出くわす。
象蜻蛉「あいつは…象不死鳥んとこの連中!」
暁「この状況…ほっとくわけにはいかないようだね!」
暁は、亮も淳もいないこの状況にして初めて、自ら率先して象暁に変身!
掛け声もなければ変身ポーズもない、亮がいたらいらねえダメ出しを喰らいそうな変身であったが。
暁「何やってんだー!」
象暁は、なぎなたを片手にダッシュ!
象水母になぎなたで先制攻撃をかます。
「仮面ライダーだ!」
暁「みんな、早く逃げるんだー!」
象暁の呼び掛けに応じて、野次馬は一目散に逃げた。
暁「ったく、クラゲだなんて厄介な…せい!」
スカッ!
暁「えやっ!」
スカッ!
暁「おらっ!」
スカッ!
暁「…全っ然当たらない…」
象蛭「ほっほっほ、この前みたいにコテンパンにやられる私たちじゃなくてよw」
現れたのは、象蛭!
暁「あんたは…!」
シュルルル!
暁「ぐっ!」
象暁は、象蛭に気を取られた隙に象水母に首を掴まれる!
そして、あっという間に四肢も拘束される始末。
暁「くっ…苦しい…」
象蛭「ほっほっほ、無様ねえ…。」
バン!バン!バーン!
突如、逆方向から銃撃!
象蛭「むっ!誰!?」
淳「俺だ!」
現れたのは黒フォーム(命名・ストリームフォーム)の象淳!
<後編へ続く >