象亮 第二十六話「ALEX!はぐれ象外鬼来襲!」(前編) | ミドさんのばった寿司

象亮 第二十六話「ALEX!はぐれ象外鬼来襲!」(前編)

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象亮・ミドケイド・サムライジャーの共闘から十日余り、象外鬼も「なぜか」なりをひそめておりしばしの平穏が亮たちには訪れていた。


亮は、剛の自宅「川崎輪業」にいた。


この日の亮は、なぜかディケイド版南光太郎のような黒一色のライダージャケットを着ていた。


対して、剛は士版霞のジョーのようなGジャンにジーンズ姿。


もう今日の話のネタがバレバレといっても過言ではないスタイルである。


亮は、入口のところにあるHONDA・CBR1000RR(平成ライダーマシンのベース車としておなじみ)をロードセクターみたいにしたバイクが気になっていた。


亮「なあ、あのロードセクターっぽいのは誰のだ?」


剛「あれかい?あれはね…」


ザッ、ザッ、ザッ…。


「すいませーん…あれ、剛君だけか、おやっさんは?」


仮面ライダーBLACK第一話の南光太郎を思わせるグレーのライダージャケットにジーンズ姿の長身小麦肌のアラフォー男性が店に入ってきた。


剛「どうも哲夫さん、オヤジは今配達でいませんよ」


哲夫と呼ばれた男性は、困った顔をする。


哲夫「そうか…しまったな、今日中にテツオセクターを引き取って行きたいんだけど…」


剛「鍵はオヤジが全部持ち歩いてますが…すぐ戻ってくると思うんでもし時間よろしければ」


そう言って、剛はパイプいすを差し出す。


哲夫「じゃ、お言葉に甘えて待たせてもらうよ」


哲夫は、パイプいすに腰掛けた。


このナイスミドルが、今回のキーマン・高村哲夫である。




第二十六話「ALEX!はぐれ象外鬼来襲!」




剛は、哲夫の応対を済ませると亮のいる茶の間のほうへ向かう。


剛「お待たせ、で、さっきの話の続きだけど…」


亮「もう見ただけでわかったよ、ロードセクターの持ち主はあの人だろ?」


剛「やっぱりわかったか…^^;」




いっぽう、店内でおやっさんの帰りを待つ哲夫は、ふとバトルホッパーにそっくりな緑色のバイクを発見。


哲夫「剛君、ちょっといいかな?」


剛「はいー、今行きます」


剛は、再び哲夫のほうへ向かう。


剛「どうなさいました?」


哲夫「いや、用って言うほどではないんだけど…このバトルホッパーみたいのが気になってね」


それは、亮のリョウホッパーであることは言うまでもない。


剛「そいつは僕の友達のマシンですよ^^ちょうど今奥にいますんで…」


剛はそう言うと、奥にいた亮を手招きする。


亮「どうした?」


亮は招かれるままにのこのこと出てくる。


剛「彼がそいつ(リョウホッパー)の持ち主の佐渡亮、通称亮さんです」


亮「あ、ども、はじめまして^^ゞ」


亮は剛のキラーパスに戸惑いつつも哲夫に会釈する。


剛「こちらはさっき話してた大型バイク(テツオセクター)の持ち主・高村哲夫さん」


哲夫「はじめまして、高村哲夫です、よろしく」


さすがにこちらは初対面の少年にも余裕の対応を見せる。




それからしばらく談笑。


最初はらしくもなく人見知りした亮も、歳は離れてるとは言え類は友を呼ぶかのように共鳴したのかあっさり馴染んだ^^;


亮「哲夫さんが入ってくる前に剛と話してたんですよ、このバイクに乗ってるのはきっと筋金入りの仮面ライダー好きなんだろうなと^^」


哲夫「ははは、熱狂的というわけではないけど当たっているよ」


剛「でもそれ言ったら亮さんだって人のことは言えないよなw」


亮「おっと、これはとんだヤブヘビーー;」


亮は、舌を出しつつ頭をかいた。


終始和やかな雰囲気の中、象飛蝗はひとり亮の中で不穏な気配を感じる。


象飛蝗(なーんかこのおっさんから象外鬼の気配がするんだよな…妙に覚えのある)


ブロロロロー…キキッ!


バタン!


おやっさん「ふー、やっと配達が終わっ…おお、哲夫か」


哲夫「おやっさん、しばらくです」


剛「今日中に引き取りたいって言って来たんで待ってもらってたんだ」


おやっさん「また急だな、仕事の都合か?」


哲夫「ええ、明日から新店の準備でバタバタするので今日くらいしかうかがえないと思ったので」


亮「新店って、なんの店やってるんですか?」


哲夫「キャピトラっていうステーキ屋だよ、本店は今住んでる江東区で、大学時代にいた夕張にも出店してるけど今度念願だったこっちにも 出店することになったんでよろしく」


おやっさん「哲夫の実家は市内にあってな、就職で東京のほうに行ってむこうで起業して今度地元のここ石森市にオープンするというわけだ」


哲夫「おやっさんにはこっちにいたころから世話になってるからね、帰省の都度見てもらってるんだ」


おやっさん「かつては図体だけ立派なお調子者の問題児だったが、中身も立派になったもんだ」


哲夫「図体だけって…相変わらず言い方きついですねおやっさん^^;」


おやっさん「そうかい?まあ、故郷に錦を飾れてよかったじゃないか」


哲夫「いえいえ、錦を飾れるか飾れないかのとこにたどり着いただけで自分はこれからですよ^^ゞ」


おやっさん「お、言うようになったな^^」


亮・剛はスケールのでかい大人の話にただただポカーンとし、相槌を打つのが精いっぱいの状態になっていた^

^;


そして亮は色々な意味で勝てない人に初めて出会った、と感じた。




哲夫「じゃ、来月の一日にオープンなんでよろしくお願いします^^」


おやっさん「おう、食べざかりのこいつらとか連れて駆けつけるよw」


おやっさんから鍵を受け取ると、哲夫はさっさと帰って行った。


亮「うーむ…おれもああいった雰囲気の大人になりたいね」


剛「亮さんが哲夫さんみたいに?そうなりたかったらまず綾ちゃんいじりをやめることだね」


確かに、好きな女の子をいじめるのは小学生の芸風である^^;


亮「痛いところを…それ言ったらおめえのパンチラ程度で鼻血出す癖を直す方が先だろ」


そんなのはマンガのキャラクターくらいしか例がないが…^^;


おやっさん「俺から言わせてもらえば、そういうくだらんことでいちいち喧嘩するのをやめることから始めることだな」


あまりにもピンポイントな意見に亮、剛ともに撃沈。




いっぽう、こちらはバイクで移動中の哲夫。


明らかに哲夫の声でない関西弁が聞こえてくる。


「なんやろ…あの緑色の頭の小僧から俺のような気配があるんや、象外鬼か?」


哲夫「象飛蝗白金(しょうほっぱーぷらちな)、それは本当か?」


どうやら、哲夫も亮のように象外鬼が憑いているようだ。


象飛蝗白金「ああ、もしかしたらあの小僧…」


哲夫「とても象外鬼がついてるようには見えないけどな…」


象飛蝗白金「アホウ、ありゃ顔以外はお前のガキの頃にそっくりやで、どっかとぼけたとことかな」


哲夫「そうかな?」


象飛蝗白金「あいつが憑いとるんかな…」


哲夫「あいつって?」


象飛蝗白金「俺には緑(ぐりーん)ちゅう弟がおるんやが、その気配に似とるんや」


哲夫「弟…まさか、あの少年…」


象飛蝗白金「そのまさかかもしれへんで…」


哲夫は、何かを思い出していた。




ここで、急に場面は22年前の秋になる。


背の高い哲夫そっくりの少年が空き地でサッカーボールを思いっきり高々と蹴りあげ、象外神社の方向へ飛ばしてしまう。


その空き地は象外神社の隣にあり、奥には綾の家が見える。


しかし、緑の屋根が目立つ亮の家は見当たらない。


少年は仲間にどやされ、しぶしぶボールを取りに向かう。


ボールは象外神社の床下にあったが、少年は床下で取り乱す。


次に這い出たときは、仮面ライダーBLACKの右半身を銀色と黒、右半身を黒と緑(Cアイは緑)にしたような風貌の飛蝗の化け物となっていた。


まるで、亮が象亮になったあの日のように…。


その後、銀色の仮面ライダーと象外鬼のような怪人が戦う画が入る。


しかし、どれも夜の映像である。


そして、三葉虫・サーベルタイガー・翼竜・半魚人の象外鬼のような化け物に取り囲まれた「最終決戦」といった感じの場面となる。


果たしてこいつらは象外鬼なのか、そして銀色の仮面ライダーは少年時代の哲夫と象飛蝗白金なのか…。




その日の夜、亮は綾に哲夫の話をした。


亮「おれがなりたい大人は、間違いなくあの人だな」


綾「へそまがりのりょーくんがそこまで言うってことはよっぽどかっこいいんだろうなあ…」


亮「ときどき剛の家に顔出してるみたいだから、行けば会えるか…あ、新店準備で忙しいっつってたっけか…」


綾「でも、そのステーキ屋に行けば会えるってことだよね?」


亮「まあね」


綾「りょーくん、一緒に行こうw」


亮「言われなくてもw」


象飛蝗「なあ、水差すようで悪いんだけどよ…」


亮「んだよバッタ、お前さっきから落ち着きねえぞ」


亮は象飛蝗がいつになく動揺していたことを察知していた。


象飛蝗「いやな、あのおっさんだけどよ…象外鬼の気配がしたんだよ」


亮「お前、哲夫さんが象外鬼だって言いたいのか?」


象飛蝗「そうじゃねえ、いつもと違うことがあってな…」


綾「いつもと違うこと?」


象飛蝗「なんつったらいいのかな…俺みたいな気配がした」


亮「お前みたいな気配ねえ…」


綾「ねえ、その哲夫さんって人もライダーなんじゃない?」


亮「確かにおれなんかよりずっとライダーにふさわしい人だけど…そんな都合のいいことがあるか?」




亮の家の表には、テツオセクターにまたがった哲夫がいた。


哲夫「ここ、昔空き地だったんだよな…」


象飛蝗白金「せやな…あれからもう二十二年か…時が経つのは早いもんや」


やはり先ほどの回想は哲夫であった。


象飛蝗白金「あの時封印が解かれたのは俺をはじめとしたはぐれ象外鬼だけや、もしかしたら本体の封印が予定通り解けたのかも知れんで…」


哲夫「そういえばお前、あの頃「約二十年後に封印が解けるで」って言ってたよな…てことはだ、あいつらももしかしたら…」


象飛蝗白金「大いに可能性ありやで」


哲夫の表情がマジになったが、今日はもう遅いので引き揚げることにした。


哲夫「さて、帰るか…ん?」


哲夫は、かつて空き地だった場所の民家に停まる緑色のバイクが目についた。


哲夫「まさか…亮くんの家か?これ?」


象飛蝗白金「ここまで偶然重なるのも珍しいで…これは運命やで、確かめた方がええ」


哲夫「…そうだな」


哲夫は象外神社にバイクを停め、亮の家の玄関に立った。



<後編へ続く