アメリカ在住の日系四世の男性が、たった1人でアジアの犬肉産業の現場へ潜入、その事実を記録し、命がけで犬を救う活動を行ってきました。

 

あまりに残酷な光景に直面し続け、正常な精神状態を保つことも困難な中で行う活動について、様々な思いを綴られてもいます。

 

長文になりましたが、ぜひ1人でも多くの方に読んでいただければと思います。

 

 

<記事元> LA WEEKLY

 

Marc Ching Goes Undercover to Rescue Hundreds of Dogs From Asian Slaughterhouses

 

より要約、翻訳。

 

 

マーク・チンさん(37)は、たった1人で犬食の風習のあるアジアの国々-中国、ベトナム、カンボジア、タイ、インドネシア、韓国など-を渡り歩き、犬肉産業の現場に潜入、その残酷な現状を記録し、悲惨な運命にある犬たちを救い続けている。

 

昨年9月からの8ヶ月間で6カ国を回り、その記録は動画300本、画像5,000枚に上る。

 

活動方法は毎回同じで、現地で運転手と通訳を雇い、自らは犬肉の買い手に扮して潜入、屠殺場を訪れて様子を撮影する。そして連れて帰れるだけの犬を連れて帰国する。活動中は、わずかな時間しか睡眠を取れないこともしばしば。

 

「自分は毎日血にまみれている」。

そう語るマークさんだが、はじめ屠殺場へ足を踏み入れたときに泣き叫んでいた犬たちが、自分が救出するためにやって来たと知る瞬間には喜びを感じると言う。

 

現場では、犬たちが生きたままバーナーで焼かれ、熱湯で茹でられ、首を吊るされ殴打されるといった凄惨な光景を目撃してきた。また、彼自身も業者から暴行を受け入院するなどし、「4回ぐらい死にかけた」と言う。

 

8ヶ月間の活動で349匹の犬を救出したものの、共に帰国できたケースはわずかで、多くの犬は動物病院までの長い道のりの途中、彼の腕の中で息絶えるのだという。ある時、彼は四本の足すべてを切り落とされた犬を助け出した(失血死させるのも屠殺方法の一つ)。

 

「その犬はただ出血しながら死んでいった。最期に誰かが側にいたこと、あの「地獄」で死ななかったことだけがせめてもの救いだと思う」。

 

 

マークさんはロサンゼルスで動物保護団体を設立し、主に虐待を受けた犬たちのためのシェルターを運営するほか、オーガニックのペットフード店や人間向けのホリスティック治療センターの運営も行っている。

 

シェルターでは、彼が各地で保護した犬たちがゆっくりと傷を癒している。

タイで保護された「ジャック」は、一本の足が複雑骨折していて切断せざるを得なかった。韓国の屠殺場から救出された「アニー」は、業者に足を切断された。

 

マークさんはハワイ出身の日系四世で、日本人と韓国人を両親に持つ。彼を産んだときまだ十代だった母親は、チンさんを育てられず養子に出し、中国人と日本人の養父母に育てられた。

 

十代の頃、自分自身の存在意義を見いだせずに苦しみ、薬物に手を出すなど問題行動を起こした時期があったという。しかし、それが苦しむ動物たちを救うきっかけになったと彼は言う。

 

「他者を助けることによって自分自身の存在意義を見出していくというか…助けていくうちに、バラバラになった自分の心がつなぎ合わされるように感じた」。

 

 

2015年6月、マークさんは、毎年10,000匹もの犬が殺され食されるという中国・玉林犬肉祭りについての記事を読んだ。

 

「祭りについては半信半疑だった。中国で犬を食べる習慣があることは知っていたが、その残酷な殺し方については誇張されているのではと感じていた」。

 

彼は、自分自身の目で確かめたいと思った。また、自分にできることがあればしたいと思い、妻に話した。現地の言葉も話せず、中国に何のつてもないことから、はじめは心配していた妻だったが、すぐに「思う通りにしたら」と言ってくれた。

 

北京市にある「北京国際動物病院」では、ペットのほか飼い主のいない動物や捨てられた動物、そしてマークさんのようなボランティアと協力して犬肉業者から救出された犬の治療などを行っている。病院の設立者のメアリー・ペンさんによると、屠殺場に直接入り込んで活動しているのはチンさんだけだという。

 

「彼は身を危険にさらしながら、闇の市場における残酷な所業の証拠を収集しようとしている」。

 

マークさんのアジアでの活動には、一回につき、旅費や現地で通訳を雇う費用、屠殺場の事前調査費用などおよそ300,000ドルがかかるほか、救出した犬たちの移送費用や医療費など、多額の費用を要する。

 

活動が知られるにつれて寄付金を受け取る回数も増えてきたが、活動費のほとんどは、彼が展開するペットフード店やホリスティック治療センター、オーガニック・サプリメントやハーブを使用したスキンケア用品の売り上げで賄うことができている。

 

最近のプノンペンにおける活動で、マークさんは16匹の犬を救出、4匹だけが生き延びた。6月、彼は4匹をアメリカへ連れて帰るために再びカンボジアを訪れることにしている。さらには中国へ渡り、玉林犬肉祭りに反対する活動にも加わる予定だ。

 

また、現地の協力者の仲介で、とある屠殺場を閉鎖へ持ち込む方向になっており、次の訪問では20匹の犬を救出し、屠殺場を爆破・解体できればと考えている。その代わりに、事業主がベジタリアン・レストランを開店するための手助けをする。

 

彼はこう話す。「この活動は私に、思いやりについてじつに多くのことを教えてくれている。こんな人間たちを許してくれるかもしれない-そう思えるほどに、犬たちは本当に愛情深く寛大」。

 

今後もできる限り多くの命を救い続けるつもりだが、最終目標は、救出活動自体が必要なくなるよう、これらの国々に抜本的な改革をもたらすことだといい、それには動物保護法の施行がひとつのステップになるのではないかという。

 

そのために、彼は著名人の力を借りられたらと願っている。中国では以前、同国出身の元NBAのスタープレーヤー、ヤオミン選手が、動物保護団体のフカヒレ反対キャンペーンを先導したことで、その後わずか2年で国内のフカヒレ消費量が50%減少したことがあり、犬肉問題にも同様のムーブメントを起こせたらと思うからだ。

 

 

現在、マークさんは自宅での普段の生活に戻ろうとしている。アジアでの活動から戻って1週間にも満たない今、現地で撮影した凄惨な光景がとらえられた画像の数々を編集する手は震える。

 

帰国してすぐ、家族とは距離を置いた。

「とてもじゃないが、家族と共に過ごすことはできないとわかっていたから」。

家に帰るときが一番苦労するのだという。自分が目撃した現実に押しつぶされそうになる中で、再び通常の生活へ戻らなければならない。最近は、車の中で過ごすことが多い。狭い場所にいると落ち着くからだ。

 

「周りの人はセラピーを勧めるけれど、言葉にできない。ただ、言葉にならないんだ」。

 

 

~記事翻訳以上~

 

 

以下、マークさんのFBより翻訳しまとめました。
https://www.facebook.com/marcching

 

「どんな命も命」と捉えているマークさんはヴィーガンですが、他の動物の屠殺との違いは、「苦しめた方がより美味しくなる」という迷信に基づいた激しい虐待だといいます。

 

今月10日から、彼は再びアジアへ渡ることにしていて、今回は最も長い15日間で5ヵ国、19ヵ所の屠殺場を回る予定だそうです。

 

予定の中には、犬肉祭りが開催される中国・玉林市も含まれています。

多くの活動家が祭りへの抗議行動を行う中で、彼は犬肉料理の提供そのものの停止に動いており、現在、祭りの期間中に犬肉を提供する主要な食堂と屠殺場12ヵ所の一時的な閉鎖に向けた話し合いが行われています。

 

閉鎖が実現した場合には、その食堂および屠殺場を封鎖し、彼が主宰する団体名が書かれたバナーと、祭りの期間中は営業していない旨を記した張り紙をすることにしています。

 

マークさんのインタビューを交えて活動を紹介した動画ニュースです。

(※一部虐待のシーンがあります)

 

 

 

タイでの救出活動の様子。この子は「グレース」と名付けられました。

 

As I sit and look into the sky, all I have are tears. All I am is the blood of hundreds of lives. All I am is a star, that broke from the night and fell - never finding Earth. The journey, it has been about documentation. About going under cover into the most intense and cruel dog meat slaughter operations. To expose. To bring truth. To use the torture and abuse, as the path to change and put animal protection laws into place. The mission, it is about speaking out against torture. About using your heart, and the faith we have inside to bring light into a place where death resides. It took me six different trips. Five times of me almost dying. And over fifty slaughterhouses, to compile what I believe will be the key to ending the dog meat trade. Within this time, we have done some of the most intense, and most beautiful rescue work ever. These dogs, they would die without us. They are not farm dogs. They are not dogs on the street or strays. They are dogs that are pulled from the brink of darkness. Each of these dogs have been tortured. Many have no legs. Some have no feet. Today she was saved. Bound. Beat to a pulp with sticks. Her name is Grace. And in 30 days she will becoming home to the foundation. Coming home, to be a symbol and a flame - of what our country stands for. Freedom. #Trip6 #theheartofrescue #MarcChing #ThisIsForTheDogs http://www.animalhopeandwellness.org/donate.html

Marc Chingさんの投稿 2016年4月20日

 

 

カンボジアでの救出活動の様子。

 

While I felt my destiny laid across the border. I chose instead to give the day and my heart to a dog. In my life I watch more death then anyone I know. In my life I witness hangings. Beheadings. Burnings, and torture. In the end, life is still life. And why one life speaks out to us more then the next, I cannot vocalize. Maybe I was just tired of death. Maybe my heart, maybe it just could not bleed anymore. At village point, while waiting for the contact to lead us forward. A dog snatcher who had just stolen two dogs. He delivered and was paid his bounty. I sacrificed the whole day and the movement. I sacrificed the research and the planning. It was the way she looked at me. It was her collar, and the dog tag they cut and threw to the ground beneath me. In that moment, I thought of my own dogs. In that moment, I thought of how scared they would be. I thought how they would search the night, and comb the darkness to find me. As they bound her mouth and tied her feet. As they strung her up and held the sheers to cut below her knees. I felt desperate. I felt helpless. The movement - or a dog. In the end I chose the dog. Fate. #Trip6 #therearehappyendings #MarcChing #theheartofrescue http://www.animalhopeandwellness.org/donate.html

Marc Chingさんの投稿 2016年4月19日

 

 

こちらのリンクもマークさんの活動についての動画で、一部閲覧注意になります。

 

https://www.facebook.com/marcching/videos/vb.1269777534/10209515425023730/?type=2&theater


http://www.laweekly.com/news/marc-ching-goes-undercover-to-rescue-hundreds-of-dogs-from-asian-slaughterhouses-6939260

 

 

韓国の屠殺場から救出された「アニー」。業者に足を切断された

 

 

 

タイで保護された「ジャック」。一本の足が複雑骨折していて切断せざるを得なかった

 

 

 

韓国の屠殺場から救出された「ラッキー」。吊るされ金属パイプで殴られ、殺される寸前で救出された。回復までに4ヶ月を要した

 

 

 

足を切断され、マークさんの腕の中で息を引き取った犬

 

 

 

犬たちの死に際して、マークさんはこう綴っています。

 

「彼らは、私の腕の中で最後の一呼吸をした。私は頭を下げ、祈り、泣いた。

 

彼らの死に、最後の一呼吸に、美しさを見た。

彼らの最後の日々に、最後の時に、手を握り寄り添うことができたことを誇りに思う。

 

多くの命が無惨に殺されていくのを目の当たりにすることは、本当に耐えがたい。

 

私は彼女を抱き、遥か遠い世界の話、私の息子や愛犬の話を聞かせた。

そして最期の時、「君は美しい。愛している」と語りかけた。

 

虐待で顔を失い、名もない彼女は、気品のある美しい子だった」。

 

 

そして、自身の思いをこう吐露しています。

 

「屠殺場は、常に激しい暴力で満ちている。同行した現地ガイドでさえ、これまで気にも留めてこなかった生き物のために涙を浮かべている。

 

この世に「地獄」と呼ばれる場所があるとしたら、ここだ。

もしも「天国」が存在するのなら、殺された犬たちがそこへ向かうことができるよう願う。

 

『こんな残酷な光景を目にして、よく正気でいられるな』と動物愛護活動家の友人に言われた。

 

私は正気なんかじゃない。

 

毎日、自分は誰だったかを忘れてしまう。自分の子どもたちのことも。

 

毎晩目を閉じると、屠殺場の光景が、犬たちの叫び声がよみがえり、押しつぶされそうになる。彼らの死が、私から離れることはない。

 

毎日、これは現実じゃないと自分に言い聞かせる。
しかし次の瞬間、吊るされ、殴られ叫び声を上げる犬たちを見つめる自分がいる。とても冷静ではいられない。


強い人間と思われるかもしれないが、強さなど、ここでは無意味だ。

 

勇敢な人間と思われるかもしれないが、彼らの死が目前に迫ると、言葉を発することもできない。

 

「ヒーロー」と思われるかもしれないが、私はヒーローからは程遠い人間だ。

抱えきれないほどの死を見つめては、涙を流す」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~まとめ以上~

 

 

こんな素晴らしい方がいらしたのですね。日本に縁のある方でもいらっしゃいます。


今日、彼はFBで、今回の旅を最後にアジアでの活動を終了すると告げました。

 

「虐殺を見るのはもう耐えられない。私は弱すぎる。

限界まで追いつめられ、自分の人生が狂ってしまう。

自分自身を救わなければならない。

 

でもこれが自分の決断。皆さんにはどうか失望しないでほしい。臆病者だと思わないでほしい」。

 

ただ、今後も自身が収集してきた記録を元に、犬肉取り引きの禁止を求める活動や、すべての動物たちの権利を守る闘いは継続していくとのことです。

 

彼はきっと特別強いわけでも勇敢なわけでもなく、彼の投稿を読んでいると、むしろ他者への共感力が強く、優しく、繊細な方という印象を受けます。

 

出発の際には躊躇しながらも、「他の誰も行かないのなら、自分が行かなければ」という思いで、誰しもが目を覆い耳を塞ぎたくなるような現場へ出向いてこられました。

 

犬たちの苦痛を、多くの死を一身に受け止め、希望、絶望、無力感、様々な思いを背負いながら暗闇に閉じ込められた犬たちを救い、この問題に光を当ててきたマークさん。

ただただ、敬服と感謝の思いでいっぱいです。

 

アジアでの最後の活動が無事に終わるように、彼が心の安らぎを取り戻すことができるように、そして彼の願い、世界中のたくさんの人の願いが届き、残酷に命を奪われる子たちがいなくなるよう切に祈ります。

 

 

※追記※ 2017年2月 

 

マークさんはこの後、再びアジア各国に足を運び、現在も潜入調査や救出活動、食肉処理場の閉鎖や中国における飼い犬のマイクロチップ装着無料キャンペーンなど精力的に活動を行っています。



★マークさんのFB

https://www.facebook.com/marcching

 

★マークさんの団体「The Animal Hope and Wellness Foundation」のサイト

http://www.animalhopeandwellness.org/

 

 

 

 

★更新★【中国】「玉林犬肉祭り」廃止を求める署名まとめ

 

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