訳:紀田順一郎・桂千穂
ページ数:494P
発売日:1994年04月
変わり者として有名なロンドンの医師、ジョン・サイレンス博士。
神秘学に詳しい彼のもとには、心霊現象に苦しむ人々が
助けを求めてやってくる―。
前世の記憶に操られた男の奇怪な体験を描く「いにしえの魔術」、
30年振りに母校を訪れた男を襲う恐怖「邪悪なる祈り」、
ミイラの呪いの謎に迫る「炎魔」など、ジョン・サイレンス・シリーズ
6編を完全収録。
近代英国恐怖派を代表する作家ブラックウッドの傑作短編集。
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初めましての作家さん。 Mirokuさんにいただいた本です。
心霊現象や神秘学に詳しい医師ジョン・サイレンスのもとに
持ち込まれ色々な怪現象の相談をまとめた6編の短編集。
「いにしえの魔術」
凡庸な男が、何気に途中下車して立ち寄った街で
体験した怪奇な現象とは・・・
やはり、妖しいものの代表格は猫さんですよねぇ
しかも、その猫さんの使い方がいい。
何が隠されているのかってのが、すっごく気になって
つい夢中で読んでしまいました。
中世の魔女伝説をこんな風に繋げるなんてぇ~
「霊魂の侵略者」
何かに取り憑かれたようなユーモア小説家を救うべく
犬と猫をお共に、相談者の屋敷に泊まり込むが・・・
心霊現象を起こりを観察する為に、犬と猫をお供に・・・
なるほど、犬と猫の行動の違いが面白い
猫が敏感なのがよくわかりましたよぉ~
動物たちの動きや目線で、何かがいる場所を予想するって
賢いなぁ~
最後の犬のシーンが、可哀そうとか思ったけど
治ってよかったぁ~
「炎魔」
退役軍人からの依頼で、助手と一緒に
彼の館を訪れるが・・・
なかなか本当の事を語りたがらない元軍人
心霊現象をひたすら拒否してるようなのだが
屋敷の敷地のある部分が、よくボヤを起こすらしく・・・
助手のハバードが、やたらとサイレンス博士を尊敬していて
敷地内の植林地をまるで何かが見えるように追いかける
博士を必死に追いかける。
その正体が古代エジプトの炎の精霊だったとわ・・・
結末が恐ろしかったぁ~
「邪悪なる祈り」
30年ぶりに母校を訪れた男が体験した恐怖とは・・・
プロテスタントの寄宿学校で、厳しい規律の中での学園生活。
当時は辛かっただろうけれど、過ぎてしまえば懐かしい
と思っていたら、とんでもないことになっていた。
信仰に守られていたはずの学園の裏では・・・
わりとありがちなお話ではあるけれど、結構好きです。
「犬のキャンプ」
無人島でキャンプをすることになった仲間を
獣が襲ってきて・・・
キャンプには助手のハバードも参加しているのだが
サイレンス博士は、別行動だったんだけど
何かが起きるのを予期していたようです。
無人島で生活をすると野生が目を覚ますらしい。
溜まりに溜まった情熱が具現化した先には・・・
解釈が面白かったです。
「四次元空間の囚」
存在感の薄い奇妙な依頼人が博士の下を訪れたのだが
案内役の下男は何かを感じたらしく・・・
これは苦手な話です。
何かのはずみで別の次元に入り込んでしまうのが
癖のようになってしまい、戻ってこられなくなったらと
その恐怖を語るのだが・・・
いやぁ~心霊現象専門の医師と言ったら
やはり変人扱いされるんだろうけれど
悩んでいる人にとっては、経験豊富で知識のある博士は
頼もしい存在なのでしょう。
内容的には面白いんだけど、なんせ依頼人の体験談だから
話を聞き出すまでがまどろっこしいというか長い。
まぁ~当人も困惑していて、想像を交えて話したくなるのを
博士が何度も事実だけを話すように誘導する。
博士も疲れるだろうけど、読んでるこっちも疲れました(^◇^;)