ページ数:302P
発売日:2015年10月
大学生の遼一は、想いを寄せる先輩・杏子の夜道恐怖症を
一緒に治そうとしていた。
だが杏子は、忘れたい記憶を消してくれるという都市伝説の怪人
「記憶屋」を探しに行き、トラウマと共に遼一のことも忘れてしまう。
記憶屋など存在しないと思う遼一。
しかし他にも不自然に記憶を失った人がいると知り、
真相を探り始めるが…。
記憶を消すことは悪なのか正義なのか?
泣けるほど切ない、第22回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞作。
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霊感検定シリーズが好みだったので、他のシリーズも
読んでみようと思って、絶賛されている本作を購入。
ジャンル的にはホラーになるのかなぁ~
記憶屋絡みの3つのエピソードです。
忘れたい記憶を消してくれるという都市伝説の怪人。
他の都市伝説と違って目撃証言がなく、話も広がらないので
都市伝説のサイトではマイナーな部類に入るらしい。
遼一が初めて記憶屋を知ったのも、幼い頃に祖母や友人たちが
大切なことを忘れてしまった時に記憶屋が出たかねぇ~と
噂していたという思い出だけだ。
しかし、幼馴染が不自然に記憶を失っていた。
目を腫らすほどに泣いた次の日には、その記憶をなくしていた。
けれど事が事なだけに、遼一は、それ以上話を聞かなかったし
記憶屋と結びつけて考えてはいなかった。
やがて大学生になった遼一は、夜道恐怖症のせいで
遅い時間は外を出歩けない先輩に想いを寄せた。
時間がかかっても一緒に治そうと親身になっていたのに
先輩は記憶屋を探し、そしてトラウマと共に
遼一の事も忘れてしまう。
記憶屋に記憶を消してもらった人は、それでいいかもしれない。
けれど、忘れられた人の想いはどこに持っていけばいい?
遼一は、記憶屋の存在を否定しながらも調べ始めるのだが
自分の記憶が抜け落ちている事に気付いて・・・
どのエピソードも記憶屋に依頼してまで消したかった記憶とは
何だったのかという事と、納得しきれない遼一の気持ち。
最初は、夜間恐怖症の先輩。
2つ目は、弁護士さんの話。
これが一番切なくて、優しくてウルっとしました。
3つめは、記憶屋を調べていて入手した情報から
チャット仲間の協力を得て、記憶屋と接触したと思われる
高校生に会いに行く話。
最後は記憶屋の正体が明かされる。
なんかねぇ~
絶賛されてるらしいけど、それにはちょっと疑問符がつくかも。
弁護士さんの話は確かに感動しました。
優しさを描かせたら、この人が一番じゃないかとさえ
思いましたよ。
記憶を消したい理由はそれぞれで、その事に関しては
なるほどねぇ~と思ったんだけど、遼一がちょっとシツコイ?
勝手に記憶を消された事に納得いかないこともわからなくはないけど、
読みながら、記憶屋の正体に気付いてしまったし
最後がちょっとねぇ・・・
おかげで消化不良だわぁ~
この盛り上げ方と、最後に失速するのって
恩田さんを連想してしまった(^◇^;)
あぁ~やっちゃったって感じで・・・
しかし!どうやら3巻まで読んで初めてわかるような
作りになっているらしい。
他のレビューをみたら、やられた感が半端ないと・・・
ってことは、この1巻も伏線かぁ・・・
文章は好みなんだけど、組み立て方というか
構成というか、ちょっと苦手かもしれない。
ってことで、続きはいいや(^◇^;)