
発行年月:2001年01月
サ イ ズ:359P 15cm
シナリオライターの卵、恭司がアムステルダムで遭遇した
バラバラ殺人事件。
在外日本人社会の濃密で澱んだ空気が生んだ犯罪が、
不思議な糸で大阪の殺人につながってゆく……。
ふたつの水の都をいろどる、奇怪な薔薇のイメージは
なにを意味するのか?
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テーマ読み2作目は、有栖作品。
積んでてよかったぁ~(´▽`) ホッ
幻想という言葉に惹かれたんだけど
これはねぇ~mokkoの好きな幻想とはちょっと違いました。
そして有栖作品ともイメージが結構違った。
どうやら有栖川裏ミステリだそうなので
いつものアリスシリーズみたいな感じを想像して読んだらダメです。
っていうか、大阪が水の都ってのは知りませんでした。
最初に大阪で起こるバラバラ死体遺棄事件。
サラっと書かれて、その後、話はアムステルダムに飛びます。
ところが次の事件がなかなか起きない。
アムステルダムの町の様子や恭司と町に住む日本人との交流が
深過ぎずにいい感じだったりする。
そして、知らなかったのだが、オランダってソフト・ドラッグが
名物だったんですねぇ~
そうなんです。
幻想って、いわゆるソフト・ドラッグで飛んだ描写が含まれる。
結構親切に書かれてます。
初めての時にバットトリップして以来、手を出してなかった恭司に
経験者の日本人たちが準備から整えてくれて、手助けしてくれる。
そして飛び始めると、言葉遊び?印刷遊び?とかが始まる。
ページの中で文字が躍ってたり、「薔薇」の文字が
赤い字になってたり・・・
なんか、こういうの前にも見たなぁ~(^◇^;)
そして、とうとう事件が発生。
アムステルダムの運河でバラバラ死体が発見される。
しかも被害者は友人の水島だった。
何故彼が殺されなければならない?
しかもバラバラにされて・・・
恭司は、その日も麻薬愛好の会で楽しく飛んでいた。
ってことは、アリバイがあるってこと。
しかし、偶然にも違和感に気付いた恭司は事件を調べ始め
一人の友人に疑いの目を向けるのだが・・・
本作ではバラバラ殺人が、アムステルダムと大阪と
もう1つ、作中作という形で恭司の作品でも描かれる。
そして最後まで犯人は明かされないで終わる。
白黒つけたい人には、辛い作品かもしれない。
mokko的には、絶対にコイツが犯人だって思ってるから
スッキリはしないものの、自己消化できてます(^◇^;)
最後の方で、最初に書かれたバラバラ死体遺棄事件の事に触れます。
なるほど、そういうことだったのかぁ~と思うんだけど
ネタバレになるので書けません。
何かの本だったかで、死者を弔うのは残された者の
自己満足というか、自分を納得させるための儀式のようなもの・・・
みたいな事が書かれてたような気がする。
作中にあったんだけど、運河にバラバラ死体をバラバラに
捨てる事について、語ってる場面があって
そのことを思い出しました。
それもある意味、残されたものの感傷になるのでしょうか・・・
別の意味で余韻の残る作品でした。
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