
1993年 日本ファンタジーノベル大賞の
最終候補作となり、話題になった本です。
帝都・東京 その誕生から29年。
東京には夜を灯す明かりが増え始めていた。
闇に怯えていた人たちは、わずかな明かりの灯る闇の中を
出歩くようになる。
そんなころ、突如として現れた火炎魔人や、闇御前、
魂売りや首遣いにより引き起こされる怪奇事件・・・
新聞記者の平河は、怪奇な事件を追ううちに、
公爵家のお家騒動に行き当たる。
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2003/09/22読了分
心と心が交差した時、生まれるものは
決して幸せだけではない。
人の心の純粋さ、醜さ、隙間・・・
夜は人のものになったのか?
そして、怪奇事件の裏側に潜むものとは・・・
黒衣(くろご)の語りのように進められる物語に、
いつの間にか引き込まれていました。
妖しくてゾクゾクしました。
怪奇モノかと思って読んでいたけど
残虐な事件は起こるし、お家騒動は出てくるし
現実と妖しい世界の境目がわからなくなる。
それでも情景描写も人物描写も丁寧でキレイなので
頭の中で勝手に映像が湧き上がる
時代の薄暗い感じにワクワクしました。
ここには色々な闇がある。
そうやって引き込まれて、あっという間に
読んじゃいましたが、最後にはやられましたぁ~
心と心が交差した時、そこから何かが生まれる。
夜が夜でなくなったとき、何かが起こる。
東亰異聞 下 (幻冬舎コミックス漫画文庫)/小野 不由美
