石ノ目/乙一 | mokkoの現実逃避ブログ

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石ノ目/乙一
¥926 Amazon.co.jp
発行年月:2000年07月
サ イ ズ:301P 18cm

ある夏休みに私は、友人とあの山に登ることにした。
私が幼い頃、あの山に一人入って消息を絶った母親の
遺体を探すためだ。
山には古い言い伝えがあった。
曰く「石ノ目様にあったら、目を見てはいけない。
見ると石になってしまう」と。
そして、私たちは遭難した…。
斬新な文体で新しいホラー界を切り開く乙一の短編集。
書き下ろしを含め四編、ここに登場。
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2006/06/14読了分

二度目ましての作家さん。
乙一作品は「殺人鬼の放課後 ミステリ・アンソロジー2
(青に捧げる悪夢)」のSEVEN ROOMSが最初でした。
たぶん今まで読んだ本の中で一番怖かった。
ホラー好きというわけではないけれど、文章の書き方が好きだったので
購入したんだけど、タイトルから日本版メデューサの話かと思ったら
最後が全然違いました。
ホラーテイストの話は表題作の石の目だけで、他は切ない
ファンタジーといった感じです。


「石ノ目」
山に入って以降、行方不明になっている母親を探すため
友人と二人で山に入るのだが、滑落事故にあい、気づいた時には
老婆が一人で暮らす家で寝かされていた。
広い庭には、人間を石化させたかのごとく精巧に作られた
多数の石像が置かれていました。
「決して、私を見てはならない」老婆の言葉から、二人は
この老婆こそ「石の目」だと気づきます。そして・・・

「はじめ」
小学4年の時、いきもの係りだった私は誤ってヒヨコを
踏んづけて殺してしまい、学校の排水管に捨ててしまうのだが
翌日、ヒヨコの死体が発見され、学校では大騒ぎになります。
私と淳男に容疑が掛かるのだが、淳男は犯人の女の子を
目撃したと嘘をついた。
淳男は女の子を「はじめ」と呼ぶようになるのだが、
「はじめ」は小学生だけでなく、大人からも目撃されるようになり、
悪い事が起きると「はじめ」がやったと噂されるようになった。
そして・・・

「BLUE」
人形作家のケリーは、骨董屋で見せられた不思議な布地を購入し
王女、王子、騎士、白馬を作り上げた後、端切れでもう1体を作り
ブルーと名付けます。
数年後、5体の人形が骨董屋で売りに出されます。
ここからはブルー目線で話が進みます。
娘へのプレゼントとして他の4体のオマケとしてブルーも一緒に
購入されることになるのだが、ブルーは他の4体とは違って
床に置きっぱなしにされ・・・

「平面いぬ」
女子高生のユウは、刺青師を目指す友人の山田から3cmほどの
犬のタトゥーを入れてもらうのだが、この犬が動き始める。
見ている時は動かないのだが、目を離すと皮膚の上を移動している。
そのうち犬は、餌を要求し始め・・・


4作品全て、読んだあとに切ない余韻が残る不思議な話です。
好きな作家リスト入り決定です!
「平面いぬ」というタイトルで同じ内容の文庫も出ています。

平面いぬ。 (集英社文庫)/乙一
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