
“火の山”への旅から戻った妖鬼の皐月と魂追いの少年縁は、
再び村で暮らし始めるが、縁は行く先も告げず、
ふらりと遠出することが多くなった。
あることがきっかけで、一緒に暮らすことになった河童の子ネネは、
なぜか皐月に反発ばかり。
周囲では妖絡みの事件も発生し、皐月の日常は気苦労が絶えない。
そんな中、縁には旅先で邂逅した川の主との“約束の時”
が刻一刻と迫っていた……。
県境を守る鬼の少女の物語、最終章。
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いよいよ最終章となりました。
本作は連作短編集の形をとってます。
「妖鬼の話」
少年の視点で皐月の奮闘?ぶりというかオバカっぷりが
優しくも可笑しく描かれてます。
「県境にて」
皐月の子育て奮闘記
縁との間に出来た子ではないですよ。
似たようなものだけど、この子が前作の後半に出てきた河童の
生まれ変わりになるのかなぁ~
河童のねねが皐月に反抗的な態度をとるのは
きっと元であるネネコの記憶が染み付いてるのかなぁ~
女なんだよねぇ~(^◇^;)
そして後半では集落で謎の流行病が発生し、動物が死んだ。
何もできない皐月に非難が集中して・・・
「石の中の水妖」
ねねが川から持ち帰った石には外国の妖が封印されていた
それに気付いた猫先生は術を解こうとするのだが
妖の話を聞いているうちに、予想外の事がわかるのだが・・・
そして縁は少年から大人へと成長していくのだが
皐月に内緒にしている前作での約束が縁に大きな陰を落とす。
「里の果てに」
生き屏風に登場した妖狐が登場します。
妖狐は縁が抱える問題を見抜きます。
図星を突かれた縁は道の主との約束の事を教えます。
そして突然消えた縁。
その後、猫先生に頼んで雪にしてもらった男が再登場。
この男。実は・・・
「道連れ」
流行病を救いたいために札を納めに行く途中の男が
道士と出会い、身の上話を聞くのだが・・・
更に、皐月とねねの旅が描かれている。
皐月に反抗的な態度は取るものの、縁が大好きだという
気持ちだけは同じ。
そんな旅の途中のお話。
「紫陽花の中の邂逅」
紫陽花は陸に上がったアメフラシが植えている。
前に紹介されていたこの話が結構気に入っていたのだが
そんな妖系の話が載っている本を読んでいた男が
庭の紫陽花の下から出てきた河童に驚いて・・・
これも皐月とねねの旅の途中のお話。
二人の旅は、どれくらい続いているのだろう
皐月と一緒の布団も、その子供の小布団に変わっていた。
この頃には妖の姿も滅多に見られなくなったらしい。
そして二人と馬は縁の気配を探して旅を続ける。
前作での約束を知っているから、縁の恐れも知っているから
いつ来るか、いつ来るかとビクビクしてたんだけど
その時はあまりにもあっさりとやって来た。
その約束を皐月もねねも知らない。
それでもかすかな縁の気配を感じて、縁を探す旅を続けている。
この独特の読後感をどう説明したらいいんだろう・・・
わずかな希望にすがって?信じて?の旅
これがずっと続いていくのは二人にとってどうなんだろう
妖は長く生きるから、その後も旅を続けるんだろう
そう思わせる終わり方だし・・・
いいんだけど、何というか切なすぎる。
妖鬼と人間と河童が一時、家族として過ごし
その絆はしっかりと繋がっている。
そう思いたいんだけど、やっぱり切ない。
ある意味究極の選択的な話だとも思う。
皐月とねねは約束の内容を知らないでしょ。
知らないから探し続けるってことだものね・・・
たとえ縁が約束をしなかったとしても人間だから
妖である皐月とねねは、いつかは縁の死を見ることになる。
目の前で老いていく縁を見続けることになる
けれど、突然消えた縁は道の中でそのまま存在し続けるから
確かに気配は感じられるけれども、触れ合う事はできないよね
記憶の問題もあるし・・・
それを考えるとやはり切ないのですよ。
バリバリ感情移入してるし・・・(^◇^;)
優しくて切ないお話でした。
そういえば・・・
カバーイラストのねねは、ちゃんと河童してるんだけど
読んでいる時のねねのイメージがどうしても
ピンクの河童になってしまって困りました(^◇^;)
